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【令和8年4月開始】関連者間取引の「書類保存特例」詳細が判明|申告期限までに根拠資料を準備しないと青色取消リスクも

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 5月13日
  • 読了時間: 4分

おはようございます!代表の安田です。


令和8年度税制改正で創設された「企業グループ間の取引に係る書類保存の特例」について、改正法人税法施行規則により詳細が明確化されました。これにより、内国法人(青色申告法人)は、関連者との一定取引で、契約書等に支払額の算定根拠などの記載が不足している場合、不足事項を明らかにする書類を取得・作成して保存する必要があります。


特に実務で重要なのは、対象となる事業年度が令和8年4月1日以後開始事業年度である点に加え、保存すべき書類は確定申告期限(延長時は延長期限)までに準備が必要という点です。「後で整える」では間に合わない制度設計であり、グループ内取引(無形資産・シェアードコスト等)が多い企業ほど早期対応が求められます。


本記事では、公認会計士の視点から、制度の対象・必要書類・期限・実務対応のポイントを整理します。


1. 制度の全体像:契約書等に“算定根拠”がない場合に補完書類が必要

本特例は、青色申告法人が関連者との間で一定の取引を行なった場合に、注文書・契約書・見積書などの「取引関連書類」に、対価の額の明細や計算方法等の一定の記載事項がないとき、その不足事項(特定事項)を明らかにする書類(特定事項記載書類)を取得または作成し、整理して保存することを求めるものです。


そして、保存されていない場合は青色申告の承認取消事由等となり得ます。単なる書類の話に見えますが、税務リスクは重い点が要注意です。


2. いつから適用?令和8年4月1日以後開始事業年度の関連者間取引が対象

適用対象は、施行日(令和8年4月1日)以後に開始する事業年度に行なう関連者間取引です。3月決算企業の適用初年度は、令和8年4月1日〜令和9年3月31日に行った取引が対象になります。


3. 最大の実務ポイント:書類の準備は「確定申告期限まで」に必要

保存すべき書類は、確定申告期限(延長した場合は延長期限)までに準備する必要があります。


加えて、特定事項記載書類は、原則として「起算日(事業年度終了の日の翌日から2月経過日)」から7年間、納税地等で保存する整理です。

つまり実務フローとしては、取引発生→(期中)証憑整理→(期末後)不足事項の補完→申告期限までに完了が前提になります。


4. 「関連者」の範囲:国内外を問わず、持株関係・実質支配関係など

関連者は、国内外を問わない法人で、青色申告法人との間に

  • 持株関係

  • 実質的支配関係

  • これらが連鎖する関係

等があるものを指す、とされています。


グローバル企業では海外子会社・海外親会社との取引が多いため、税務部門だけでなく、経理・法務・購買・シェアードサービス部門との連携が不可欠です。


5. 対象取引は2類型:無形資産(工業所有権等)と一定の役務提供(シェアードコスト等)

対象となる関連者間取引は、次の2つです。


① 工業所有権等の譲渡又は貸付け(無形資産)

保存すべき書類に求められる記載事項は、

  • (A)工業所有権等の明細

  • (B)工業所有権等が青色申告法人で果たす機能

  • (C)対価の額の明細および対価設定の方法

要するに、何を、どの目的で使い、どういう根拠で金額が決まったかを説明できる形が必要です。


② 一定の役務提供(経営管理、研究開発、広告宣伝、専用資産の維持管理等)

役務提供は類型に応じて、

  • 事業活動の内容

  • 負担する費用額の計算方法

  • 役務提供の明細・内容

  • 対価の明細・計算方法

などの記載が求められます。


実務で特に該当しやすいのが、いわゆるシェアードコスト(費用配賦)や、グループ本社の経営管理費、IT費用、研究開発費の配賦などです。


6. 電帳法との関係:メール等の電子取引で取得した場合は“電帳法で保存”

重要な例外として、メール等の電子取引(電帳法の定義)により記載事項を取得した場合、本特例は適用されず、電子帳簿保存法(電帳法)に基づき保存する整理です。

「紙で補完する」ではなく、電子保存要件に沿った運用設計が必要になります。


7. すぐ使える実務チェックリスト(導入前の棚卸し)

  1. 関連者(国内外)の一覧と、対象取引(無形資産/役務提供)の棚卸し

  2. 契約書・請求書等に、明細・計算方法・設定方法が書かれているかの確認

  3. 不足がある取引は、特定事項記載書類(補完資料)を「どこが作るか」決める(税務/経理/法務/事業部)

  4. 申告期限までに準備する工程表を作る(延長がある場合は期限も反映)

  5. 電子取引の場合は電帳法保存の要件を満たしているか確認


まとめ:制度開始は2026年4月期から。算定根拠を申告期限までに揃える体制づくりが必須

関連者間取引の書類保存特例は、グループ内取引で算定根拠が契約書等に十分記載されていない場合に、補完書類(特定事項記載書類)の取得・作成・保存を求める制度です。


適用は令和8年4月1日以後開始事業年度からで、書類準備は確定申告期限までに必要となります。無形資産取引やシェアードコスト取引が多い企業は、税務・経理・法務・現場を横断して、早期に運用設計を進めることが重要です。


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