おはようございます!代表の安田です。
インボイス制度が本格的に運用される中で、多くの企業が採用活動の一環として内定者に支給する「入社契約金」の消費税上の取扱いに悩んでいます。このような入社契約金が消費税法上どのように扱われるかについて解説します。
入社契約金の性質
入社契約金とは、内定者に対して入社を約束させるために支給される金銭で、通常は引越し費用ではなく、入社前に一括して支給されます。所得税法上、これは「役務の提供を約する契約金」に該当し、「給与等」には含まれません。
消費税法における位置づけ
消費税法上、役務提供が課税仕入れとして認識されるためには、インボイス発行事業者からの請求書が必要です。入社契約金は役務提供を約束する対価と見なされますが、支給先がインボイス発行事業者でない場合、仕入税額控除の要件を満たしません。
過去の取扱いと現在の課題
インボイス制度導入以前では、3万円未満の取引や請求書が取得できない特定の事情がある場合、帳簿保存だけで仕入税額控除が可能でした。しかし、新制度ではこれが適用されないため、入社契約金に関する仕入税額控除は基本的に不可能です。
経過措置の適用
ただし、令和8年9月30日までに行なわれた支給については「仕入税額相当額の80%」、令和8年10月1日から令和11年9月30日までに行われた支給については「仕入税額相当額の50%」を控除可能とする経過措置があります。この適用には、区分記載請求書等に類する請求書と特定の帳簿の保存が求められます。
実務上の注意点
請求書管理: 支給先がインボイス発行事業者であることを確認する
帳簿保存: 経過措置の適用を受ける場合、必要な書類を確実に保存する
法改正への対応: 今後の法改正や経過措置の終了に備え、制度変更を注視
まとめ
インボイス制度の運用において、入社契約金は消費税法上特有の取扱いが求められます。
企業はこれを正確に理解し、必要な対応を講じることでリスクを回避し、税務コンプライアンスを維持することが重要です。

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