おはようございます!代表の安田です。
納税者(法人)が一括譲渡した土地と建物(土地付き中古住宅)の対価の額が、消費税法施行令45条3項に規定する「課税資産の譲渡の対価の額と非課税資産の譲渡の対価の額とに合理的に区分されていないとき」に該当するか否かが争われた事件について紹介します。
事件の概要
納税者は、一括譲渡した土地と建物の譲渡対価を、消費税法施行令45条3項に基づく「合理的な区分」として、過去に販売した物件の固定資産税評価額等に基づく実績率で算定しました。これに基づき、売買契約書には土地代金額や建物代金額、消費税額が記載されていました。
一方、国は、納税者の算定方法では合理的な区分が行なわれていないと主張し、リフォームによる交換価値の増加を反映した「土地と建物の各売上原価の比で按分する方法(国算定方法)」を用いて消費税の更正処分を行ないました。
裁判の経過
一審(東京地裁):納税者敗訴
二審(東京高裁):納税者敗訴
納税者はこれらの判決を不服として、最高裁に上告受理の申立てを行なっています。
消費税法施行令45条3項のポイント
消費税法施行令45条3項では、事業者が課税資産(建物等)と非課税資産(土地等)を同時に譲渡した場合、その譲渡対価が「合理的に区分されていないとき」は、全体の譲渡対価に対して課税資産の価額が占める割合を乗じて課税標準を算定するとされています。
まとめ
本件は、一括譲渡した土地と建物の対価の合理的な区分に関する争いです。納税者と国の算定方法の違いにより、消費税額の算定が異なるため、最終的な判断は最高裁に委ねられています。企業はこの判例を参考にしつつ、適切な区分方法を用いて税務処理を行うことが求められます。
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