令和8年度税制改正「消費税」のポイント
- 安田 亮
- 6月13日
- 読了時間: 5分
おはようございます!代表の安田です。
令和8年度税制改正(消費課税)では、インボイス制度の経過措置が次の方向で大きく見直されます。
2割特例は終了し、個人事業者向けに「3割特例」を新設
適格請求書発行事業者以外からの仕入れに係る8割控除等は、7割→5割→3割へ段階縮小しつつ延長
越境EC(少額輸入)やプラットフォーム課税、暗号資産、非居住者向け国内不動産役務など、国境をまたぐ取引への課税整理
以下、要点をまとめます。
1. インボイス制度「2割特例」は終了、個人事業者は「3割特例」へ
<2割特例の適用期限>
売上税額の2割を納付税額とできる「2割特例」は、令和5年10月1日~令和8年9月30日までの各課税期間が対象です。
<新設>個人事業者向け「3割特例」
改正では、免税事業者からインボイス登録を行った(又は課税事業者選択で免税点制度が使えなくなった)個人事業者について、令和9年・令和10年に含まれる各課税期間に、売上税額の3割を納付税額とできる「3割特例」が創設される予定です。
すでに2割特例を使っている個人事業者も、引き続き3割特例の適用が可能
申告上は、確定申告書に適用を受ける旨を付記する方式(手続は比較的簡便)
3割特例から簡易課税へ「スムーズに移行」できる措置
3割特例の適用を受けた課税期間の翌課税期間について、その確定申告期限までに「簡易課税制度選択届出書」を提出すれば、翌々課税期間から簡易課税の適用を受けられる仕組みが示されています(2割特例→簡易課税への移行も同様)。
「3割特例で当面はシンプルに申告 → 事業規模や業種を踏まえて簡易課税へ」まで見据え、届出タイミングを管理することが重要です。
2. 8割控除等は「7割→5割→3割」へ段階縮小、しかも要件が厳格化
適格請求書発行事業者以外からの仕入れでも、仕入税額相当額の一定割合を控除できる経過措置(いわゆる8割控除等)は、控除割合を縮小しつつ適用期間を延長する改正が予定されています。
<控除割合と期間>
令和8年10月1日~令和10年9月30日:70%
令和10年10月1日~令和12年9月30日:50%
令和12年10月1日~令和13年9月30日:30%
<「適用上限」が10億円 → 1億円に引下げ>
さらに重要なのが、適格請求書発行事業者以外からの課税仕入れの合計額が、年(又は事業年度)1億円(現行10億円)を超える場合、超過部分は経過措置を適用できないという厳格化です。
適用開始は令和8年10月1日以後開始課税期間が予定されています。
今後は「非登録先からの仕入れ」を前提にした運用は、控除率低下によりコスト増要因となります。取引先のインボイス登録状況の棚卸し、契約・発注フローの見直しが早期に必要です。
3. 越境EC(少額輸入)に新たな課税整理:「特定少額資産の譲渡」
通信販売等により、国内以外から国内へ発送される税抜1万円以下の資産の譲渡を、新たに消費税の課税対象とする枠組み(「特定少額資産の譲渡」)が示されています。
制度としては、
登録を受けた「特定少額資産販売事業者」の取引について、輸入時課税を課さない措置
ただし、輸入時に課税された場合には、保存書類を要件に「売上側の消費税額を控除」できる仕組み
など、輸入課税と国内課税の二重課税を調整する設計が示されています。
適用は令和10年4月1日以後の予定です。
4. 物品販売にも「プラットフォーム課税」を拡大(第2種PF事業者)
越境取引の実務では、プラットフォームが取引の中心になることが多い点を踏まえ、国外事業者が国内で行なう資産の譲渡等について、一定の場合にプラットフォーム事業者が行なったものとみなす枠組みが示されています(「第二種プラットフォーム事業者」)。
当該取引の対価が 税込50億円超 の場合、届出義務
国税庁長官が当該PF事業者を第2種PF事業者として指定
こちらも 令和10年4月1日以後適用予定
5. 暗号資産:非課税は維持、課税売上割合の計算が変更
暗号資産の消費税上の整理については、金融商品取引法等の改正を前提に、次の見直しが示されています。
暗号資産の譲渡は引き続き消費税非課税(位置付けは「有価証券に類するもの」へ整理)
課税売上割合の計算では、暗号資産の譲渡対価の5%相当額を対価の額に算入
暗号資産の貸付けも非課税とし、所要措置
適用時期は、改正法施行日の属する年の翌年1月1日以後の暗号資産の譲渡等が予定されています。
6. 非居住者向け「国内不動産の役務提供」は輸出免税の対象外へ
非居住者に対して行なう、国内に所在する不動産に係る役務提供等(例:仲介手数料等)について、輸出免税の適用対象から除外する見直しが示されています。
適用:令和8年10月1日以後に行われる資産の譲渡等
経過措置:令和8年3月31日までに締結した契約に基づく取引は適用しない
不動産関連業(仲介・管理・コンサル等)は、取引先が非居住者の場合、税区分の判定を再点検する必要があります。
7. その他の改正(実務で影響が出やすいもの)
記事では、次のような実務的論点も挙げられています。
再生資源等に係る「帳簿保存のみで仕入税額控除」の特例見直し(特定金属くず等の扱い)
消費税の貸倒れ範囲に、事業再生の手続に基づく債権切捨てを追加
輸出免税の証明書類として、輸入国の輸入許可書等(電磁的記録含む)の保存追加
金・白金地金の課税仕入れに係る本人確認書類の範囲拡大(特定在留カード等)
まとめ:令和8年改正(消費税)は「経過措置の縮小」と「国境取引の捕捉」が軸
令和8年度改正の消費課税は、国内事業者にとっては
2割特例終了→個人は3割特例(令和9・10年)
8割控除等が段階縮小(70→50→30)+上限1億円へ厳格化(令和8/10~)
という、インボイス経過措置の“次のステージ”への移行が最大の論点です。
一方で、越境EC・プラットフォーム・暗号資産・非居住者取引など、国境を越える取引への課税整備も同時に進みます。
当事務所では、
インボイス経過措置(2割/3割特例、控除割合縮小)の影響試算
取引先の登録状況の棚卸しと請求・発注フロー整備
越境取引・非居住者取引の消費税区分チェック
などのご相談に対応しています。自社への影響が気になる場合は、早めにご相談ください。




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