住宅リフォーム減税の床面積要件が40㎡以上に緩和|令和8年度改正のポイントを税理士が解説
- 安田 亮
- 5月28日
- 読了時間: 7分
おはようございます!代表の安田です。
中古住宅の活用や住まいの性能向上を考えるうえで、住宅リフォーム減税はぜひ押さえておきたい制度です。耐震改修、省エネ改修、バリアフリー改修、子育て対応改修など、一定のリフォームを行なった場合に、所得税から一定額を控除できるため、リフォーム費用の負担軽減につながります。
令和8年度税制改正では、この住宅リフォーム減税について、適用期限の延長と床面積要件の緩和が行なわれました。適用期限は令和10年12月31日まで3年延長され、さらに一定の場合には、改修工事をした家屋の床面積が40㎡以上50㎡未満であっても、住宅リフォーム減税を適用できることになりました。
今回は、令和8年度改正後の住宅リフォーム減税について、特に床面積要件の緩和を中心に、実務で確認したいポイントを整理します。
住宅リフォーム減税とは?
住宅リフォーム減税とは、既存住宅について一定の改修工事を行った場合に、居住を開始した年分の所得税から、一定額を控除できる制度です。既存住宅について特定の改修工事を行なった場合、居住の用に供した日の属する年分の所得税額から工事費用の10%相当額を控除できる制度と整理されています。
つまり、単にリフォームをすれば何でも対象になるわけではなく、対象となる改修工事を行ない、所定の要件を満たした場合に、所得税の税額控除を受けられる制度です。
住宅ローン控除とは異なり、リフォーム内容に応じた税額控除として活用される点が特徴です。
適用期限は令和10年12月31日まで延長
住宅リフォーム減税は、時限的な制度として期限が設けられています。令和6年度改正では適用期限が令和7年12月31日まで延長されていましたが、令和8年度改正により、さらに3年延長されました。改正後は、令和10年12月31日までに居住の用に供した場合に適用できます。
リフォーム工事は、計画から契約、施工、入居まで時間がかかることもあります。そのため、適用期限が延長されたことにより、これからリフォームを検討する方にとっては、制度を活用する余地が広がったといえます。
対象となる改修工事
対象となる主な工事は次のとおりです。
住宅耐震改修工事
バリアフリー改修工事
省エネ改修工事
多世帯同居改修工事
耐久性向上改修工事
子育て対応改修工事
控除率はいずれも10%です。ただし、対象工事限度額は工事の種類によって異なります。
たとえば、住宅耐震改修工事は250万円、バリアフリー改修工事は200万円、省エネ改修工事は250万円、子育て対応改修工事は250万円が限度額として示されています。
また、省エネ改修工事とあわせて太陽光発電設備を設置する場合には、カッコ書きでより高い限度額が示されています。
床面積要件が40㎡以上に緩和
今回の改正で特に重要なのが、床面積要件の緩和です。
改正前は、住宅リフォーム減税を適用するには、原則として改修工事をした家屋の床面積が50㎡以上であることが求められていました。これに対し、令和8年度改正では、一定の場合に限り、床面積が40㎡以上50㎡未満の住宅でも対象となるよう見直されました。
都市部のマンションやコンパクトな中古住宅では、床面積が50㎡未満というケースも珍しくありません。今回の改正により、これまで床面積要件で対象外となっていた住宅でも、リフォーム減税を検討できる可能性が出てきました。
40㎡以上50㎡未満の場合は所得要件に注意
ただし、床面積40㎡以上50㎡未満の住宅については、誰でも対象になるわけではありません。その年の合計所得金額が1,000万円以下である場合に、40㎡以上50㎡未満の住宅でも住宅リフォーム減税の対象となります。
一方、その年の合計所得金額が1,000万円超2,000万円以下の場合には、従来どおり床面積50㎡以上が要件となります。さらに、合計所得金額が2,000万円を超える場合には、住宅リフォーム減税そのものを適用できません。
つまり、床面積要件は所得金額によって次のように整理できます。
合計所得金額1,000万円以下
→ 床面積40㎡以上でも対象になり得る
合計所得金額1,000万円超2,000万円以下
→ 床面積50㎡以上が必要
合計所得金額2,000万円超
→ 住宅リフォーム減税は適用不可
対象となる工事にも注意
床面積要件の緩和は、すべての住宅リフォーム減税に同じように適用されるわけではありません。40㎡以上50㎡未満でも対象となるのは、次の改修工事をした家屋です。
バリアフリー改修工事
省エネ改修工事
多世帯同居改修工事
耐久性向上改修工事
子育て対応改修工事
一方で、住宅耐震改修工事については、そもそも床面積要件が設けられていないとされています。そのため、リフォームの種類ごとに、床面積要件の有無や緩和の対象になるかを確認する必要があります。
令和8年1月1日以後の居住開始分に遡及適用
今回の床面積要件の緩和は、令和8年度改正ですが、適用開始時期にも注意が必要です。
バリアフリー改修工事、省エネ改修工事、多世帯同居改修工事、耐久性向上改修工事、子育て対応改修工事をした家屋について、令和8年1月1日以後に居住の用に供する場合に適用できます。
さらに、改修工事自体が令和8年1月1日より前であっても、居住を開始したのが令和8年1月1日以後であれば、改正後の床面積要件で住宅リフォーム減税の適用可否を判定するとされています。
この点は実務上かなり重要です。工事日ではなく、居住開始日を基準に判断する場面があるため、令和7年中に工事を行ったケースでも、令和8年以後に居住を開始していれば、改正後の要件で検討できる可能性があります。
具体例で考えるとわかりやすい
たとえば、合計所得金額が900万円の方が、床面積45㎡の中古マンションについて省エネ改修工事を行ない、令和8年1月以後に居住を開始したとします。
改正前の50㎡以上要件だけで考えると対象外になりそうですが、改正後は、合計所得金額1,000万円以下であり、床面積が40㎡以上であるため、他の要件を満たせば住宅リフォーム減税を検討できます。
一方、同じ45㎡の住宅でも、合計所得金額が1,500万円の場合には、40㎡以上50㎡未満の緩和対象にはならず、床面積50㎡以上が必要です。この場合、床面積要件を満たさず、住宅リフォーム減税の適用は難しくなります。
このように、床面積だけでなく合計所得金額との組み合わせで判断することが重要です。
実務で確認したいポイント
住宅リフォーム減税を検討する際には、少なくとも次の点を確認しておきましょう。
まず、リフォーム内容が対象工事に該当するかを確認します。次に、工事費用と対象工事限度額、控除率10%を確認します。
さらに、床面積が40㎡以上50㎡未満の場合には、本人の合計所得金額が1,000万円以下かどうかを確認する必要があります。また、居住開始日がいつかも重要です。令和8年1月1日以後に居住を開始していれば、改正後の床面積要件で判定できる可能性があります。
必要資料も早めに準備を
住宅リフォーム減税の適用には、工事内容や住宅の床面積、居住開始日などを確認する資料が必要になります。具体的には、次のような資料を早めに整理しておくとよいでしょう。
工事請負契約書
工事内容が分かる明細書・見積書
増改築等工事証明書などの証明書類
登記事項証明書など床面積が分かる資料
居住開始日を確認できる資料
合計所得金額を確認するための所得資料
特に、床面積40㎡以上50㎡未満の住宅で適用を検討する場合は、床面積と所得要件の確認が重要になります。
申告前に確認すべき注意点
令和8年度改正後は、従来以上に細かな確認が必要になります。特に、次のようなケースでは注意が必要です。
床面積が40㎡台のマンションをリフォームした場合
令和7年中に工事し、令和8年以後に居住を開始した場合
子育て対応改修工事の適用を検討している場合
省エネ改修と太陽光発電設備の設置をあわせて行なう場合
合計所得金額が1,000万円前後の方
「50㎡未満だから対象外」と即断してしまうと、改正後の適用可能性を見落とすおそれがあります。一方で、40㎡以上なら誰でも対象というわけでもないため、所得要件と工事内容を合わせて確認することが大切です。
まとめ
令和8年度税制改正により、住宅リフォーム減税は令和10年12月31日まで3年延長されました。
また、床面積要件も緩和され、一定の改修工事については、その年の合計所得金額が1,000万円以下であれば、改修工事をした家屋の床面積が40㎡以上50㎡未満でも住宅リフォーム減税の対象となります。
対象となるのは、バリアフリー改修工事、省エネ改修工事、多世帯同居改修工事、耐久性向上改修工事、子育て対応改修工事です。一方、合計所得金額が1,000万円超2,000万円以下の場合は床面積50㎡以上が必要で、2,000万円を超える場合は適用できません。なお、住宅耐震改修工事については床面積要件が設けられていません。
今回の改正により、都市部のコンパクトな中古マンションなどでも、住宅リフォーム減税を活用できる可能性が広がりました。リフォームを検討している方は、工事内容・床面積・合計所得金額・居住開始日をセットで確認し、適用漏れがないよう早めに準備しておきましょう。




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