国民年金と厚生年金の損益分岐所得
おはようございます、神戸市中央区のfreee専門会計事務所の若手公認会計士・税理士の安田です。
年金破綻問題の報道が止みそうにありませんが、国民年金と厚生年金(最低標準報酬月額)の比較をしてみようと思います。
(書きながら色々調べていたら1時間くらい掛かってしまいました。。。)
これは自営業、もっと言うと、自分で事業を持っていて、法人化するかどうかを選択できる人を前提としています。また、私が住んでいる兵庫県神戸市を前提とします。
更に、ややこしいので、独身 or 共働き(配偶者は扶養の対象外)とします。
また、法人化しても役員報酬をかなり抑えても生活が出来るくらい、別の個人事業や配当収入などがあることが前提です(縛りが多すぎますが、ご了承ください)。
国民年金&国民健康保険 vs 厚生年金&協会けんぽ
という組み合わせになるので、年金と健康保険の観点から比べてみようと思います。
まずは年金から。
【国民年金】
国民年金保険料は16,410円/月となっています。
これを40年間払い込んでももらえる年金は約78万円/年(≒65,000円/月)です。
【厚生年金】
最低の標準報酬月額(58,000円)だと、会社負担+自己負担の金額が16,104円/月となり、国民年金より安くなります。会社負担分も自分のお金と言えますので、総額を保険料とみなします。
そしてこの水準で40年間払い続けた場合のもらえる年金は約93万円(≒77,500円/月)となります。
【年金だけで比較した結果】
厚生年金の方が、掛金が安いにもかかわらず(少しだけですが)、受給額は毎月12,500円程度多いという結果になりました。ただ、年金額は将来が見通せないので、この程度の差であれば有意な差はないと考えた方が良いかもしれません。
ですので、こちらでの差はないとみなします。
では健康保険料はどうでしょうか?まずは簡単な協会けんぽの方から。
【協会けんぽ】 ← 厚生年金の人はこちら
最低の標準報酬月額だと、会社負担+自己負担の金額が5,882円/月となります。
【国民年金】
計算が複雑で私自身あまりなじみが無いので、計算式は省きますが、確定申告書の総所得金額に比例して高くなります。
では、5,882円/月よりも高くなるラインはどこでしょうか?
これは年間所得がおおよそ61万円のところで一致します。総所得金額は、各種所得控除の控除前の金額ですので、基礎控除や生命保険料控除が適用される前です。
仮に事業所得だけだとすると、青色申告特別控除額65万円を控除した後の金額が61万円ですから、収支で言えば、126万円以上の黒字であれば協会けんぽの保険料を超えてしまいます。
【健康保険だけで比較した結果】
総所得金額が61万円を超える場合、法人化して協会けんぽに入った方がお得。
ですが、法人化すると赤字でも掛かってくる税金があります。住民税の均等割です。
これが最低7万円/年(≒6,000円/月)かかります。また、法人化すると自力で申告書を作成・提出するのは普通の人には不可能ですので税理士費用も掛かりますが、超シンプルな会社でも、単発の申告で年間10万円+税(≒9,000円/月)は掛かるでしょう。
全て合計すると、、、協会けんぽでの保険料5,882円+最低税金6,000円+最低税理士報酬9,000円≒21,000円/月となります。
国民年金でそれを超える年間総所得のラインを計算してみると、、、約180万円になります。
【今回の記事の結論】
総所得金額が年間180万円(青色申告特別控除前の年間総所得が245万円)を超える方は、法人化して最低限の役員報酬を取った方が社会保険の観点から考えるとお得となると考えられます。
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