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居住用財産の3,000万円特別控除と借地権

安田 亮

おはようございます!代表の安田です。


居住用財産を売却した際に適用される「3,000万円の特別控除の特例」は、譲渡所得を大きく圧縮できるため、転勤や相続などの理由で不動産を売却する場合に広く活用されています。本記事では、この特例の適用範囲の一つである借地権について、適用の可否や実務上の留意点を解説します。


3,000万円特別控除の概要この特例は、居住していた家屋や、その家屋とともに敷地(所有地または借地権)を売却した際に、所有期間の長短に関わらず譲渡所得から3,000万円を控除できる制度です(租税特別措置法第35条)。


借地権の取扱いと特例の適用関係借地権付きの居住用財産を売却する際、土地の取得者(底地所有者)と借地権者の関係によって適用関係が異なります。

  • 借地権の贈与とみなされるケース借地権者以外の者が底地を取得し、その取得者と借地権者の間で地代の授受が行われない場合、取得者は借地権者から借地権を贈与されたとみなされる可能性があります(昭和48年11月1日付直資2-189)。

  • 贈与とみなされないケースただし、借地権者と底地の取得者が「借地権者の地位に変更がない」旨の申出書を税務署に提出した場合、贈与とはみなされません。


<具体的な事例>

例えば、父から相続した居住用家屋と借地権を母と子がそれぞれ1/3と2/3の割合で共有し、後に子が地主から底地を取得したとします。この場合、母と子がともに家屋と土地を売却し、申出書を提出した場合、特例の適用関係は以下のようになります。

  1. 母(借地権1/3持分)は自身の持分に対し3,000万円控除を適用可能

  2. 子(借地権2/3持分と底地取得者)は、自身の持分に対し3,000万円控除を適用可能

  3. 子が所有する底地のうち、母の借地権部分に対応する部分についても、子は特例の適用を受けることが可能


<実務上の留意点>

  • 借地権が関係する場合、特例適用の可否を判断する際には、税務署への申出書の提出が必要かどうかを確認する

  • 借地権の持分や売却の際の関係性を明確にすることで、特例適用に関する誤認を防ぐ

  • 申告時には、適用要件を満たしているかどうか、契約書や土地・建物の所有権証明書類を準備しておく


まとめ居住用財産の3,000万円特別控除は、譲渡所得税の負担を軽減できる有益な制度ですが、借地権が関わる場合は、底地の取得者との関係や税務上の取扱いを慎重に判断する必要があります。申告時には、適用要件を満たしているか確認し、必要に応じて税務署へ申出書を提出することで、円滑な適用を目指しましょう。



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