top of page

従業員社宅の家賃と消費税

安田 亮

おはようございます!代表の安田です。


企業が従業員向けに社宅を提供する場合、従業員が家賃の一部を負担するケースがあります。

この負担額は、消費税法上「非課税売上げ」に該当しますが、計上漏れが散見されていることが指摘されています。国税庁はこの点について「申告書確認表」に注意喚起を追加し、適切な処理を求めています。本記事では、非課税売上げ計上の重要性と具体的な対応方法について解説します。


<社宅家賃の非課税売上げとは?>

住宅の貸付けに関する家賃は、消費税法上、非課税とされています(消法別表第2 十三)。

この非課税の対象には、企業が従業員向けに借り上げた社宅も含まれます。つまり、企業が社宅として従業員に貸し付ける場合、その家賃収入は「非課税売上げ」として計上する必要があります。

例えば、企業が不動産会社から10万円で社宅を借り、従業員に2万円を負担させた場合、

  • 企業の消費税処理

    • 10万円:非課税仕入れ(不動産会社への支払い)

    • 2万円:非課税売上げ(従業員からの徴収)

企業が従業員から家賃の一部を徴収する方法としては、直接の支払いや給与天引きがありますが、どちらの場合も消費税の計算上は非課税売上げとして処理する必要があります。


<計上漏れが発生する原因>

非課税売上げの計上漏れが生じる主な原因として、次のような処理方法が挙げられます。

1.社宅家賃の相殺処理

企業が従業員から受け取る社宅家賃を「支払家賃」の勘定科目と相殺し、結果として非課税売上げを計上しないケースが多く見られます。この処理を行うと、企業の消費税申告に影響し、課税売上割合の誤算や仕入税額控除の過大適用につながるリスクがあります。

2.非課税仕入れのマイナス処理

従業員からの支払いを、企業が不動産会社等へ支払う家賃の「非課税仕入れ」としてマイナス計上すると、結果として非課税売上げが適切に認識されない可能性があります。


<国税庁の対応と企業の注意点>

国税庁は、企業が非課税売上げを適切に計上するよう、「申告書確認表」に「従業員から受け取る社宅家賃等」という項目を追加し、申告時の確認を促しています。特に以下の点に注意が必要です。

  • 非課税売上げを適切に計上する

    • 「現金預金/雑収入(受取家賃)」として処理する

    • 「現金預金/支払家賃」として相殺する処理は避ける

  • 仕入税額控除との整合性を確保

    • 仕入税額控除の適用範囲を正しく把握し、誤った控除を行わない

  • 国税庁の申告書確認表を活用

    • 令和5年4月1日以降の事業年度から、申告書確認表に「従業員から受け取る社宅家賃等」を含めることが求められている


<まとめ>

従業員負担の社宅家賃は、消費税法上、企業の「非課税売上げ」として計上しなければなりません。

しかし、相殺処理などにより適切な計上がされていないケースが多発しています。今後、税務申告において誤りを防ぐためには、非課税売上げの計上ルールを正しく理解し、適切な処理を行うことが重要です。

企業の経理担当者は、国税庁の「申告書確認表」を活用し、消費税計算におけるミスを防ぐよう注意しましょう。

神戸 税理士 確定申告 顧問契約 会社設立 freee

 
 
 

Comentarios


bottom of page