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特定税額控除規定の不適用措置と通算法人

安田 亮

おはようございます!代表の安田です。


特定税額控除規定の概要

特定税額控除規定とは、法人が研究開発や設備投資などに関して一定の税額控除を受けられる制度です。ただし、中小企業者等以外の法人がこれを適用する場合、「特定税額控除規定の不適用措置」が設けられています(措法42の13 ⑤)。


グループ通算制度適用法人の扱い

グループ通算制度を適用している法人は、特定税額控除規定の不適用措置の適用要件の一つである継続雇用者給与等支給額の判定を個社ごとに行なう必要があります。この要件を満たさない場合、税額控除の適用を受けることができません。


上乗せ要件の厳格化

次のいずれかの条件に該当する法人は、継続雇用者給与等支給額の増加割合について、より厳しい「上乗せ要件」を満たす必要があります。

  • 資本金10億円以上かつ常時使用従業員数1,000人以上

  • 常時使用従業員数2,000人超

これらに該当する場合、継続雇用者給与等支給額の増加割合が1%以上でなければなりません。


グループ通算制度適用法人の判定方法

グループ通算制度を適用している場合、グループ内のいずれか1社でも「資本金10億円以上かつ従業員1,000人以上」に該当すれば、グループ全体で上乗せ要件を満たす必要があります。

この判定においては、対象年度終了日時点での「通算完全支配関係」が基準となります。つまり、対象年度の最終日にグループから離脱していた企業については、上乗せ要件の判定に影響を与えません。


実務への影響と留意点

企業グループ全体の税額控除適用可否に影響するため、グループ内の各法人は次の点に注意が必要です。

  • 雇用者給与の増加割合を事前に把握する

  • グループ内での資本関係や従業員数の変動を適切に管理する

  • グループ全体の税務戦略を考慮し、上乗せ要件に対応する

特に、大企業グループにおいては、一部の法人が基準を満たさないだけで全体の控除適用が制限される可能性があるため、慎重な管理が求められます。


まとめ

本記事では、特定税額控除規定の不適用措置について解説しました。特に、グループ通算制度を適用する法人にとっては、グループ内のいずれかの法人が資本金要件や従業員数要件を満たすかどうかが、控除適用の可否を左右する重要なポイントとなります。実務対応として、グループ全体での雇用計画や税務戦略の見直しが必要になるでしょう。



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