おはようございます、神戸市中央区のfreee専門会計事務所の若手公認会計士・税理士の安田です。
昨日、一昨日と研修を受けてきたのですが、面白い裁判事例があったので少しだけ書いてみようと思います。
①親子で歯科医院を経営していた方の事例
以前から親が歯科医として開業しており、地盤を築いていた医院に、歯科医免許を取得した子が合流したというケースで、それぞれの顧客を完全に分けて売上を記録していて(費用は何かの基準で按分していたのだと思います)、売上を分けて申告していたケースで、
「その売上は全て親に帰属する、子は雇われていたに過ぎない」という判決がありました。
簡潔に書くと、理由は「その歯科医院は親が地盤を築いたので、親が経営者で、子は従業員とみなすのが妥当」と。
一方に売上を集中させた方が税額(所得税・消費税)が増える事例だったのでしょうね。
こちらは正直納得がいかない事例です。
②関西電力消費税申告漏れ事件
関西電力が247億円の消費税を5月末までに納付するも、申告書の提出が漏れていて(担当者が体調不良で申告書を提出せずに帰ってしまい、引継ぎも忘れていたとか?)、無申告加算税12億円を課された事例。かなり有名で、私も以前聞いたことがありました。
「納付していても、申告しなければ無申告加算税が掛かるのか?」という点をきちんと確認するために、関西電力は念のために訴訟を起こしたようです。
ただ、やはり名前の通り、申告していなければ無申告なので、無申告加算税が課されるという最高裁判決が出ました。
一担当者に丸投げしている管理職の方も多いと思うので、気を付けましょうという教訓を与えてくれる事例です。
こちらは納得いく判決です。
③武富士贈与事件
2000年ごろの事件ですが、武富士の元会長夫妻が長男に株式を贈与した時の事件。
長男を台湾に住ませ、日本の非居住者として日本の贈与税が掛からないようにした上で株式を贈与し、それが租税回避行為とみなされ、1,330億円も追徴課税がされたケース。
法律の要件に則っていたのに課税され、不服として訴えを起こしましたが、見事勝訴。
逆に400億円の利子税を上乗せされて還付を受けたという事案です。
税法に税金が掛からない要件を明確にして、その通りにやっているのに、「税法の穴を突いて脱税している」なんて言われたらたまったものじゃありませんよね。
最高裁は「租税法律主義」を貫いたということです。
このケースは金額が大きいので問題になりましたが、皆様の税務調査でも調査官は似たようなことを言ってくる可能性は大いにあります。
「実質的には」とか「この取引の本当の目的は」とか、かなり無理のある主張をしてきますので、客観的事実だけを説明するのがベストです。