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  • 安田 亮

GM課税の対象となり得る利益等の開示事例

おはようございます!代表の安田です。


2024年4月1日以降、グローバル・ミニマム課税(GM課税)制度が適用されることに伴い、企業はこの新制度に基づく法人税等の会計処理と開示に関する対応を求められています。具体的には、国際財務報告基準(IFRS)を任意適用する企業が2024年3月期の有価証券報告書において、GM課税の影響を具体的に開示する事例が見られました。


<GM課税制度の背景>

GM課税制度は、多国籍企業が国際的に最低限の税率を確保するために導入されたものです。これにより、各国の税率差を利用した税負担の回避を防ぎ、公平な競争環境を確保することを目的としています。


<修正IAS第12号「法人所得税」の要件>

2023年5月23日に公表された修正IAS第12号では、GM課税のモデルルールに基づく法人所得税のエクスポージャー(潜在的な影響)に関する開示を求めています。これにより、企業は次のような情報を報告期間末時点における定性的・定量的な情報として開示する必要があります:


定性的情報

  1. GM課税制度によってどのような影響を受けるか

  2. 主な法域に関する情報

  3. 定量的情報:


GM課税の対象となる可能性のある利益の割合とそれらの利益に適用される平均実効税率

GM課税が適用された場合の企業の平均実効税率の変化


<開示事例の傾向>

本誌が2024年3月期の有価証券報告書を確認したところ、以下のような開示事例が見られました。


デンソー(東プ、輸送用機器、トーマツ)

「アラブ首長国連邦等にある子会社で税負担が最低税率(15%)を下回る可能性がある」としつつも、連結財務諸表への影響は「重要性がない」と記載。


パナソニックホールディングス(東プ、電気機器、あずさ)

翌連結会計年度以降、GM課税の対象となる可能性のある国・地域として主に米国を挙げ、仮に当連結会計年度に同制度が適用された場合の米国のGM課税対象利益およびその実効税率を具体的に開示。具体例として「約1,400億円及び約△2%」と記載。


これらの事例は、企業がGM課税制度の影響を評価し、透明性のある情報開示を行なっていることを示しています。


<実務上の注意点>

企業は、GM課税制度に対応するために次の点に注意を払う必要があります:


情報収集と分析

子会社や関連企業からの情報収集体制を整え、適切なデータを基に影響を評価することが重要です。


会計処理の適用

修正IAS第12号に基づく定性的・定量的な情報の開示要件を満たすために、会計処理の適用方法を理解し、適切に実行する必要があります。



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