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「人的資本」の開示が拡充
おはようございます!代表の安田です。 近年、企業の「人的資本」に関する情報開示への注目が高まっています。金融庁は2026年3月期の有価証券報告書から、従業員に関する情報開示をさらに拡充する方針を示しました。今回は、その内容と実務への影響について整理します。 1. 開示拡充の背景 金融庁は2025年8月に開催された金融審議会の会合で、企業戦略と関連付けた人材戦略や従業員報酬の方針を開示対象に加える方針を明らかにしました。これまでの「従業員数・平均年齢・平均給与」といった基本的な情報に加え、企業の人材戦略を財務情報と並んで投資家に示すことを狙いとしています。 2. 新たに求められる開示内容 新制度では、以下の点が追加されます。 企業戦略と関連付けた人材戦略の説明 従業員給与・報酬の決定方針の記載 平均年間給与の前年比増減率の開示 非正規雇用労働者に関する給与決定方針の説明(重要性が高い場合) 特に、飲食業など非正規雇用比率の高い業種では、開示の充実が期待されています。 3. 開示箇所の変更と整理 従来は「企業の概況」に含まれていた従業員情報が、今後は
安田 亮
11 分前


上場企業のコーポレートガバナンス動向
おはようございます!代表の安田です。 今回は、東京証券取引所が2025年9月25日に公表した「2025年3月期決算会社の定時株主総会の状況」を参考に、企業開示や株主対応の最新動向を整理します。 1.招集通知の早期開示が進む一方で、依然として課題も 今回の調査対象は、2025年3月期決算会社のうち6月末までに定時株主総会を開催した2,223社です。そのうち、総会開催日の28日前までにTDnetで招集通知を開示した企業は20.9%(前年比+0.8pt)と、前年からわずかに上昇しました。 特に時価総額が大きい企業ほど早期開示の傾向が顕著で、 5,000億円以上の企業:61.9% 1,000億円以上5,000億円未満:36.5%と、規模による明確な差が見られます。 これは、ガバナンス体制の充実度や内部統制の整備状況が開示スピードに直結していることを示しています。中小規模の上場企業では、監査や開示体制のリソースが限られているため、早期開示が難しい現実もあります。 2.電子提供制度の普及で「紙の発送削減」が進行 電子提供制度(2023年度から全面導入)により
安田 亮
24 時間前


グロース市場の新基準案
おはようございます!代表の安田です。 今回は、東証グロース市場の上場維持基準見直しについてご紹介します。 1.背景:成長市場としての位置づけ再確認 東京証券取引所(東証)は2025年9月26日、グロース市場の上場維持基準見直し案に関するパブリックコメントを開始しました(意見募集期間は10月26日まで)。現行では「上場10年経過後に時価総額40億円以上」が維持要件ですが、今回の見直しでは、「上場5年経過後に時価総額100億円以上」という、より厳格な基準に引き上げる案が示されています。 これは、グロース市場が「高い成長を目指す企業の市場」という本来の目的を明確化し、投資家の信頼を確保する狙いがあります。 2.新基準の適用時期と経過措置 新基準は、2030年3月1日以後に最初に到来する事業年度末から適用される予定です。 基準未達(時価総額100億円未満)の場合 → 1年間の改善期間が設けられます それでも基準を満たさない場合 → 原則として6か月間の監理・整理銘柄指定を経て上場廃止 ただし、追加期間を設ける成長計画を開示した企業には、例外的に上場を認め
安田 亮
7 日前


ASBJ「のれん」に関する第3回公聴会
おはようございます!代表の安田です。 今回は、2025年9月に開催された企業会計基準委員会(ASBJ)の第3回公聴会について解説します。テーマは「のれんの非償却化」でした。 1. 公聴会の概要 開催日:2025年9月18日 出席者:監査法人の実務家・学識経験者 議題: のれんを一定期間で償却する方式 償却せず減損テストのみで評価する方式(非償却化) それぞれのメリット・デメリットについて議論されました。 2. 監査人の立場 監査法人からは、以下のような意見が出されました。 非償却化の利点 スタートアップM&Aなどでは、買収後短期間で成否が明確になることが多いため、減損テストで「適時に」「正確に」価値を評価する方が実態に合う 非償却化を導入するなら、PPA(取得原価配分)の厳格化や、外部専門家を活用した体制整備が不可欠 懸念点 非償却化を続けると、のれんが貸借対照表に積み上がり、純資産の過半を占めるリスクがある この場合、経営陣が追加的なM&Aを躊躇する可能性もある 3. 学識経験者の意見 大学教授からは、実証研究の結果を踏まえて非償却化を支持しな
安田 亮
10月24日


有報の「総会前開示」未実施企業の本音
おはようございます!代表の安田です。 今回は、 監査役協会の最新調査結果 をもとに、有価証券報告書の総会前開示に関する最新動向をご紹介します。 1.「総会前開示」とは? 上場企業では、有価証券報告書(有報)の開示を株主総会の開催前に行う「総会前開示」が推奨されています。金融庁や東京証券取引所は、投資家保護やガバナンス向上の観点から、総会の3週間前までに有報を開示するよう求めています。 しかし、この取り組みは企業側にとって、監査の早期完了や社内の情報精査など、実務的な負担を伴うものです。 2.監査役協会の最新調査結果 日本監査役協会は2025年9月30日、3月・4月決算企業を対象に実施したアンケート結果を公表しました。回答企業は1,095社に上り、そのうち総会前開示を実施しなかった企業は441社(全体の約4割)でした。 未実施の理由(複数回答)は次の通りです。 理由 回答割合 社内体制が未整備のため 73% 監査人との調整がつかなかったため 24% 意義を見出せなかったため 20% 株主総会の想定問答の作成が間に合わなかったため 6%...
安田 亮
10月16日


有報と事業報告等の一体開示の議論
おはようございます!代表の安田です。 今回は、企業のディスクロージャー実務に関わる重要なテーマ、有価証券報告書(有報)と事業報告等の「一体開示」および「一本化」 の議論についてご紹介します。 1. 一体開示と一本化とは?...
安田 亮
10月13日


会計監査確認手続のデジタル化
おはようございます!代表の安田です。 2025年9月8日、大手監査法人が共同で設立した「会計監査確認センター合同会社」と、外資系金融機関でも広く利用されているトムソン・ロイター株式会社が、監査業務における銀行残高確認手続のデジタル化推進に向けた協働を開始しました。...
安田 亮
10月12日


SSBJが示した「重要性の判断」の考え方
おはようございます!代表の安田です。 今回は、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)が8月29日に公表したハンドブックに盛り込まれた「重要性の判断」についてご紹介します。 1. 公表の背景 SSBJは、サステナビリティ情報開示に関する実務の理解を促すため、ハンドブックを追加...
安田 亮
10月4日


東証、市場区分の見直しと要件緩和の方向性
おはようございます!代表の安田です。 東京証券取引所は、グロース市場の上場維持基準を大幅に見直す方針を公表しました。従来は「上場10年経過後に時価総額40億円以上」とされていましたが、2030年以降は「上場5年経過後に時価総額100億円以上」へと引き上げられる予定です。...
安田 亮
10月2日


プライム市場における英文開示
おはようございます!代表の安田です。 今回は、東京証券取引所が公表した「英文開示の実施状況」に関する調査結果をご紹介します。海外投資家とのコミュニケーションを重視する企業にとって、非常に重要な動きですプ。 1. 英文開示義務化の背景...
安田 亮
9月29日


リースの「借手」「貸手」の定義が改正
おはようございます!代表の安田です。 今回は、令和7年8月に公布・施行された改正財務諸表等規則等における「リース会計基準の借手・貸手の定義改正」についてご紹介します。 1. 改正の背景 今回の改正は、企業会計基準委員会(ASBJ)が公表した改正移管指針や「リースに関する会計...
安田 亮
9月25日


有報における「人権」情報の開示が拡大
おはようございます!代表の安田です。 近年、企業の有価証券報告書(有報)における「人権」関連の開示が急速に広がっています。サステナビリティ経営やESG投資の広がりを背景に、労働環境や人権対応が企業価値の評価に直結するようになってきました。 1. 開示件数の増加...
安田 亮
9月14日


最終回)適用時期・経過措置・準備ロードマップ
おはようございます!代表の安田です。 本日は新リース会計基準シリーズ最終回です。 1. 適用時期と早期適用 本基準は2027/4/1以後開始の期首から適用(早期適用:2025/4/1以後可)。 2. 主な経過措置 従来の第13号の経過措置を継続適用可...
安田 亮
9月12日


第4回)財務諸表・指標・開示
おはようございます!代表の安田です。 本日は新リース会計基準シリーズの4回目です。開示等を取り扱います。 1. 表示(借手) 使用権資産の表示: ①対応する原資産の科目に含める ②「使用権資産」として区分表示——のいずれか リース負債・利息費用は区分表示または注記 2....
安田 亮
9月11日


第3回)貸手の処理・セール&リースバック・サブリース
おはようございます!代表の安田です。 本日は新リース会計基準シリーズの3回目です。貸手の会計処理とセール&リースバック・サブリースを取り扱います。 1. 貸手の分類と判定 ファイナンス vs. オペレーティングは従来踏襲 ファイナンス判定: 現在価値基準:貸手リース料のPV...
安田 亮
9月10日


第2回)借手の会計処理
おはようございます!代表の安田です。 本日は新リース会計基準シリーズの2回目です。借手の会計処理を取り扱います。 1. 初度認識(リース開始日) リース負債:未払のリース料の現在価値(固定リース料、指数・レート連動分、残価保証の支払見込、購入オプション行使価額、解約違約金等...
安田 亮
9月9日


第1回)新リース会計基準の全体像
おはようございます!代表の安田です。 今週は新リース基準に関してのシリーズを書いていきます。 1. なぜ今、基準が変わるのか 2007年に整備された従来基準(企業会計基準第13号)は当時の国際基準と整合的でしたが、その後IFRS16(2016年)と米国基準Topic...
安田 亮
9月8日


公認会計士試験の「バランス調整」
おはようございます!代表の安田です。 土 曜日なので内輪ネタ的なものを。 金融庁の公認会計士・監査審査会が公表した「公認会計士試験のバランス調整」について解説します。これは、会計士試験の合格者の資質や能力をより正確に評価するために行なわれる見直しです。 1. 背景...
安田 亮
9月6日


「再リース」の新リース基準における取扱い
おはようございます!代表の安田です。 今回は、リース取引における日本特有の商習慣である 「再リース」 について、最新の会計基準との関係を整理してみます。 1. 再リースとは? 再リースとは、リース契約の解約不能期間終了後に、当初と同程度の年間リース料で1年間の契約を結び直す...
安田 亮
9月3日


「継続企業の前提」評価基準が変わる?
おはようございます!代表の安田です。 今回は、今後の監査実務や会計実務に大きな影響を与える可能性のある、「継続企業の前提」評価の見直しについてご紹介します。 1. 何が変わるのか? 国際監査基準(ISA570)の改訂を受け、企業が「継続企業の前提(Going...
安田 亮
8月29日
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