有報と事業報告等の一体開示の議論
- 安田 亮
- 10月13日
- 読了時間: 2分
おはようございます!代表の安田です。
今回は、企業のディスクロージャー実務に関わる重要なテーマ、有価証券報告書(有報)と事業報告等の「一体開示」および「一本化」 の議論についてご紹介します。
1. 一体開示と一本化とは?
一体開示:有報と事業報告等をひとつの書類としてまとめて開示する仕組み
一本化:有報提出企業について、事業報告等の開示を免除する仕組み
すでにEDINETでは、一体開示された有報を提出した場合に事業報告の電子提供が不要となる「EDINET特例」が設けられています。
2. 議論の背景
法務省・法制審議会では、株主総会の3週間前開示を巡る議論とあわせて、一体開示や一本化の是非が本格化しています。
賛成意見:
実務効率化につながる
一体開示が進まない現状を踏まえると、一本化が不可欠
懸念点:
事業報告にしか記載されない固有の情報が失われる可能性
有報のみに一本化しても、情報の質が担保できるかが課題
3. 今後の方向性
事務局案では、
一体開示を進めるために、事業報告等に固有の開示事項を削除し、有報に統合する案が示されています
ただし、この方法では実質的に一本化と変わらず、追加的な効率化は限定的との指摘もあります
一本化を進める場合には法改正が必要であり、施行まで3年以上かかる見通しです
まとめ
現状、一体開示を実施する企業はまだ存在していません
実務効率化の観点から一本化を望む声が強まっています
ただし、情報の質をどう確保するかが最大の論点です
少なくとも短期的には、株主総会の後倒しや一体開示推進に向けた対応を進めるのが現実的と考えられます
当事務所では、開示制度の動向や企業法務に関する会計・税務面の影響についてもサポートしています。将来的な制度改正を見据え、今から準備を進めたい企業様は、ぜひご相談ください。

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