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SSBJが示した「重要性の判断」の考え方

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 10月4日
  • 読了時間: 2分

おはようございます!代表の安田です。


今回は、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)が8月29日に公表したハンドブックに盛り込まれた「重要性の判断」についてご紹介します。


1. 公表の背景

SSBJは、サステナビリティ情報開示に関する実務の理解を促すため、ハンドブックを追加発行しました。今回の更新では 12の参考情報が新たに収録され、その中で「識別したリスクおよび機会に関する情報の重要性判断」が大きな注目を集めています。


2. 重要性判断の基本的な考え方

重要性の有無は、単に数値基準で判定するものではありません。むしろ、投資家など主要な利用者の意思決定に影響を与えるかどうかが基準となります。

具体的には以下の2つの観点を組み合わせて評価します。

  • 定量的要因:キャッシュ・フローへの影響、市場シェアなど

  • 定性的要因:企業の立地、予期しないトレンド変化や差異など


3. 影響規模と発生可能性のマトリクス

ハンドブックに掲載された図表では、情報の重要性を「潜在的な影響の規模」と「発生可能性」の2軸で整理しています。

  • 規模が大きく発生可能性が高い情報 → 重要性ありと判断される可能性が高い

  • 規模は小さいが他の情報と組み合わせると意思決定に影響し得るもの → 重要性ありと判断される場合がある

つまり、単体では小さな事象でも、他の情報と併せて総合的に見ると重要性が認められる可能性がある、という考え方です。


4. 実務への影響

今回のハンドブックは正式な基準ではなく、あくまで参考情報です。しかし、企業がサステナビリティ開示を進めるうえで、重要性をどう判断し、どう説明するかは投資家対応や企業価値に直結します。

特に以下の点に注意が必要です。

  • 開示内容を「量」だけでなく「質」でも評価すること

  • 財務情報と非財務情報を組み合わせて意思決定影響を検討すること

  • 社内での重要性判断プロセスを文書化し、説明可能にしておくこと


まとめ

SSBJが示した「重要性の判断」は、企業にとって開示方針を整理するうえで有益な指針です。今後の開示実務においては、単なる基準遵守ではなく、投資家にとって本当に意味のある情報をどう選び出すかが問われることになるでしょう。



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