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グロース市場の新基準案

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 2 日前
  • 読了時間: 3分

おはようございます!代表の安田です。


今回は、東証グロース市場の上場維持基準見直しについてご紹介します。


1.背景:成長市場としての位置づけ再確認

東京証券取引所(東証)は2025年9月26日、グロース市場の上場維持基準見直し案に関するパブリックコメントを開始しました(意見募集期間は10月26日まで)。現行では「上場10年経過後に時価総額40億円以上」が維持要件ですが、今回の見直しでは、「上場5年経過後に時価総額100億円以上」という、より厳格な基準に引き上げる案が示されています。


これは、グロース市場が「高い成長を目指す企業の市場」という本来の目的を明確化し、投資家の信頼を確保する狙いがあります。


2.新基準の適用時期と経過措置

新基準は、2030年3月1日以後に最初に到来する事業年度末から適用される予定です。

  • 基準未達(時価総額100億円未満)の場合 → 1年間の改善期間が設けられます

  • それでも基準を満たさない場合 → 原則として6か月間の監理・整理銘柄指定を経て上場廃止

ただし、追加期間を設ける成長計画を開示した企業には、例外的に上場を認める柔軟措置も用意されています。もっとも、東証の分析によると、改善計画が長期化するほど市場評価が下がりやすく、3年以上の長期計画を掲げる企業の平均時価総額は市場平均を下回る傾向があるとしています。


3.関連改正:スタンダード市場への区分変更要件の見直し

この見直しに関連して、スタンダード市場への市場区分変更の形式要件(利益の額:年1億円以上)も撤廃される見通しです(2025年12月を目途)。これは、成長企業がグロース市場で一定の成果を上げた後、利益水準を理由に移行をためらうことがないよう配慮した措置です。


4.今後求められる「成長企業の姿勢」

東証は、グロース市場上場企業に対し、以下のような積極的な成長対応を求めています。

  1. 成長状況と市場評価の分析

  2. 成長戦略・目標の明確化と見直し

  3. 投資家への積極的な情報開示(IR活動)の推進


投資家が求めるのは「持続的な成長を裏付ける説得力のあるエクイティ・ストーリー」です。一方で、「増資=希薄化」への懸念や「赤字=評価されない」との誤解から、企業側が慎重になりすぎる傾向も見られます。

東証は、短期的な赤字を恐れずに成長投資を進めることこそが、グロース市場の存在意義であると強調しています。


5.まとめ:グロース市場は「選ばれる企業」へ

今回の見直しにより、グロース市場は「上場しやすい市場」から「真に成長力ある企業が集う市場」へと進化していくことが期待されます。特に、5年という早期段階での成果を求める新基準は、経営計画・資本政策・IR戦略を一体的に進める必要性を高めるでしょう。



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