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有報と事業報告等の一体開示の議論
おはようございます!代表の安田です。 今回は、企業のディスクロージャー実務に関わる重要なテーマ、有価証券報告書(有報)と事業報告等の「一体開示」および「一本化」 の議論についてご紹介します。 1. 一体開示と一本化とは? 一体開示:有報と事業報告等をひとつの書類としてまとめて開示する仕組み 一本化:有報提出企業について、事業報告等の開示を免除する仕組み すでにEDINETでは、一体開示された有報を提出した場合に事業報告の電子提供が不要となる「EDINET特例」が設けられています。 2. 議論の背景 法務省・法制審議会では、株主総会の3週間前開示を巡る議論とあわせて、一体開示や一本化の是非が本格化しています。 賛成意見: 実務効率化につながる 一体開示が進まない現状を踏まえると、一本化が不可欠 懸念点: 事業報告にしか記載されない固有の情報が失われる可能性 有報のみに一本化しても、情報の質が担保できるかが課題 3. 今後の方向性 事務局案では、 一体開示を進めるために、事業報告等に固有の開示事項を削除し、有報に統合する案が示されています...
安田 亮
2025年10月13日


会計監査確認手続のデジタル化
おはようございます!代表の安田です。 2025年9月8日、大手監査法人が共同で設立した「会計監査確認センター合同会社」と、外資系金融機関でも広く利用されているトムソン・ロイター株式会社が、監査業務における銀行残高確認手続のデジタル化推進に向けた協働を開始しました。 背景:監査における「残高確認手続」とは? 企業の監査業務においては、財務諸表に記載された現預金や売掛金などが正確かどうかを裏付けるために、金融機関や取引先に直接確認を依頼する「残高確認手続」が行なわれます。この手続は従来、紙ベースや郵送によるやり取りが中心でしたが、デジタル化による効率化と信頼性向上が強く求められてきました。 両社のシステム連携で利便性向上へ 会計監査確認センターは2019年からオンライン確認サービスを提供し、2025年7月時点で123の監査法人・会計事務所が利用するなど、着実に普及しています。 一方、外資系金融機関や国内金融機関の海外拠点ではトムソン・ロイター社のシステムが使われており、監査担当者は両システムを使い分ける必要がありました。 今回の協働により、2028年
安田 亮
2025年10月12日


SSBJが示した「重要性の判断」の考え方
おはようございます!代表の安田です。 今回は、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)が8月29日に公表したハンドブックに盛り込まれた「重要性の判断」についてご紹介します。 1. 公表の背景 SSBJは、サステナビリティ情報開示に関する実務の理解を促すため、ハンドブックを追加発行しました。今回の更新では 12の参考情報が新たに収録され、その中で「識別したリスクおよび機会に関する情報の重要性判断」が大きな注目を集めています。 2. 重要性判断の基本的な考え方 重要性の有無は、単に数値基準で判定するものではありません。むしろ、投資家など主要な利用者の意思決定に影響を与えるかどうかが基準となります。 具体的には以下の2つの観点を組み合わせて評価します。 定量的要因:キャッシュ・フローへの影響、市場シェアなど 定性的要因:企業の立地、予期しないトレンド変化や差異など 3. 影響規模と発生可能性のマトリクス ハンドブックに掲載された図表では、情報の重要性を「潜在的な影響の規模」と「発生可能性」の2軸で整理しています。 規模が大きく発生可能性が高い情報 → 重
安田 亮
2025年10月4日


東証、市場区分の見直しと要件緩和の方向性
おはようございます!代表の安田です。 東京証券取引所は、グロース市場の上場維持基準を大幅に見直す方針を公表しました。従来は「上場10年経過後に時価総額40億円以上」とされていましたが、2030年以降は「上場5年経過後に時価総額100億円以上」へと引き上げられる予定です。 変更の背景と狙い 東証は、企業が利益基準を満たすために成長投資を抑制することを避けたい考えを示しています。そのため、スタンダード市場への変更を検討する企業に対しては、従来の「利益1億円以上」の基準を緩和する方向が検討されています。これは、プライム市場からスタンダード市場に移行する場合にも適用される見込みです。 企業への影響 2025年7月時点で上場維持基準を満たしていない企業は208社(プライム65社、スタンダード102社、グロース41社)に上り、そのうち47社がスタンダード市場への移行を検討しています。基準緩和が進めば、グロース市場だけでなくプライム市場からの移行も増加する可能性があります。 実務への示唆 市場区分の要件は、企業の中長期的な資本政策や上場維持方針に大きな影響を与
安田 亮
2025年10月2日


プライム市場における英文開示
おはようございます!代表の安田です。 今回は、東京証券取引所が公表した「英文開示の実施状況」に関する調査結果をご紹介します。海外投資家とのコミュニケーションを重視する企業にとって、非常に重要な動きですプ。 1. 英文開示義務化の背景 2025年4月から、プライム市場上場会社に対し、決算短信や適時開示情報を英文で同時開示することが義務化されました。これは海外投資家に対して情報の公平性を確保し、グローバル市場での信頼性を高めることを目的としています。 2. 調査結果の概要 東証の調査によると、以下のような結果が得られました。 95%の企業が決算短信を英文で同時開示 48%の企業がIR説明会資料も英文開示 適時開示情報を全文英訳した企業は76%(前年調査より48ポイント増) 一方で、招集通知や有価証券報告書など「その他の書類」については、英文開示の進展がまだ緩やかです。 3. 海外投資家の評価 東証が実施した海外投資家アンケートでは、約9割が「英文開示の状況は改善している」と回答しました。 「情報の非対称性が解消されつつある」 「大企業の開示は国際的に
安田 亮
2025年9月29日


リースの「借手」「貸手」の定義が改正
おはようございます!代表の安田です。 今回は、令和7年8月に公布・施行された改正財務諸表等規則等における「リース会計基準の借手・貸手の定義改正」についてご紹介します。 1. 改正の背景 今回の改正は、企業会計基準委員会(ASBJ)が公表した改正移管指針や「リースに関する会計基準」の修正を受けたものです。リース会計に関する規定の明確化と、国際的な基準との整合性確保が目的とされています。 2. 借手・貸手の定義の見直し 従来の規定では、借手・貸手を「企業」として定義していました。しかし、これでは個人や企業以外の主体がリース契約を行なう場合の解釈に曖昧さが残っていました。 改正後は「企業」から「者」に改められ、より広い主体が対象になることが明確化されました。 借手:リースにおいて原資産を使用する権利を一定期間にわたり対価と交換に獲得する者 貸手:リースにおいて原資産を使用する権利を一定期間にわたり対価と交換に提供する者 3. 金融商品に関する注記の改正も 同時に、金融商品会計実務指針の改正を受け、一定の要件を満たす組合等への出資に関する注記も改められま
安田 亮
2025年9月25日


有報における「人権」情報の開示が拡大
おはようございます!代表の安田です。 近年、企業の有価証券報告書(有報)における「人権」関連の開示が急速に広がっています。サステナビリティ経営やESG投資の広がりを背景に、労働環境や人権対応が企業価値の評価に直結するようになってきました。 1. 開示件数の増加 金融庁の調査によれば、有報のサステナビリティ欄で「人権」に関する記載を行なう企業は、 2023年3月期:756社 2024年3月期:903社 と大きく増加しています。この背景には、ハラスメント事案の社会問題化や多様性確保への社会的要請の高まりがあります。 2. 開示される主なテーマ 企業が有報で「人権」に関して触れている内容には、以下が多く見られます。 職場における多様性確保 ハラスメント禁止・防止体制 労働時間や安全衛生に関する課題 社内外の通報窓口の設置(救済アクセスの確保) 単に課題を列挙するだけでなく、リスク認識とその対応策を明示することが重要視されています。 3. 好事例に見るポイント 金融庁がまとめる「記述情報の開示の好事例集2024」では、「課題をどのように管理し、解決してい
安田 亮
2025年9月14日


最終回)適用時期・経過措置・準備ロードマップ
おはようございます!代表の安田です。 本日は新リース会計基準シリーズ最終回です。 1. 適用時期と早期適用 本基準は2027/4/1以後開始の期首から適用(早期適用:2025/4/1以後可)。 2. 主な経過措置 従来の第13号の経過措置を継続適用可 IFRS16の趣旨も踏まえた日本版の経過措置:累積的影響額を期首に一括振替、リースの識別の経過措置、借手・貸手・SALB・借地権等、多岐にわたる救済・選択肢が整理されています 3. 実務準備の7ステップ 契約棚卸し:賃貸借・保守・サブスク等の“埋れたリース”を識別 データ定義:リース期間(延長/解約OPの合理的に確実)、指数・レート、残価保証、割引率の方針 方針決定:短期/少額の簡便適用、ROU表示様式、割引率カーブ、再測定のトリガー管理 システム対応:割引計算、再測定、仕訳連動、注記レポーティング 内部統制:契約レビュー承認、条件変更・重要事象のモニタリング、年次見直しの証跡 試算・コミュニケーション:財務指標・コベナンツ影響試算と金融機関/投資家への説明準備 開示ドラフト:要件に合わせた雛形を先
安田 亮
2025年9月12日


第4回)財務諸表・指標・開示
おはようございます!代表の安田です。 本日は新リース会計基準シリーズの4回目です。開示等を取り扱います。 1. 表示(借手) 使用権資産の表示: ①対応する原資産の科目に含める ②「使用権資産」として区分表示——のいずれか リース負債・利息費用は区分表示または注記 2. 表示(貸手) リース債権とリース投資資産は区分表示(重要性が乏しければ合算可)。P/Lでは販売損益の純額、受取利息相当額、オペリース収益を区分表示または注記。 3. 注記事項(開示目的ベース) 開示目的:リースが財政状態・業績・CFに与える影響を評価できるようにすること 借手の標準開示(会計方針/リース特有取引/当期・将来金額情報)、貸手の標準開示 連結作成会社の個別では、一部注記省略可 4. 財務指標への影響(実務アラート) 総資産・総負債が増加:D/Eや自己資本比率に影響 EBITDAは概ね改善:従来の賃借料が減価償却+利息に置換されるため ROA・インタレストカバレッジ、コベナンツ(EBITDA/有利子負債など)の影響試算と再定義交渉が必要 セグメント情報やKPI(店舗あた
安田 亮
2025年9月11日


第3回)貸手の処理・セール&リースバック・サブリース
おはようございます!代表の安田です。 本日は新リース会計基準シリーズの3回目です。貸手の会計処理とセール&リースバック・サブリースを取り扱います。 1. 貸手の分類と判定 ファイナンス vs. オペレーティングは従来踏襲 ファイナンス判定: 現在価値基準:貸手リース料のPV ≥ 現金購入価額の概ね90% 耐用年数基準:リース期間 ≥ 経済的耐用年数の概ね75% 残価保証は貸手のリース料に含め、第三者保証も含む点に注意。 土地付きは原則オペレーティング推定、土地/建物の配分を行なって建物で判定 2. 会計処理の骨子 所有権移転外ファイナンス: 製造・販売を事業とする貸手は、開始日に売上とリース投資資産を計上(利息相当額控除後)。販売益が軽微なら利息へ組込可 事業の一環以外は売却損益計上+リース投資資産など オペレーティング:原則定額法で期間配分。フリーレントなど無償期間の扱いも明確化 3. セール&リースバック 一体処理の金融取引とする場合/資産売却+リース会計とする場合の判定枠組みを整備 Topic 842モデルを参考に、収益認識基準との整合性を
安田 亮
2025年9月10日


第2回)借手の会計処理
おはようございます!代表の安田です。 本日は新リース会計基準シリーズの2回目です。借手の会計処理を取り扱います。 1. 初度認識(リース開始日) リース負債:未払のリース料の現在価値(固定リース料、指数・レート連動分、残価保証の支払見込、購入オプション行使価額、解約違約金等のうち該当分)を割引計算(貸手の暗黙利率が判明しない場合は追加借入利率)。指数・レート連動の変動分は原則含めますが、業績/使用量連動は原則含めません(発生時費用)。将来見積りを用いる選択適用も可能 使用権資産:上記リース負債額 + 開始日前支払額 + 付随費用 + ARO相当額 − 受取インセンティブ 割引率は「暗黙利率優先、なければ追加借入利率」。実務ではスワップレート+信用スプレッドや新規長期借入の金利等を参照。 2. 簡便法(短期・少額) 短期リース:12か月以内・購入OPなしなら、ROU/負債の計上を省略可(発生期間で費用、グループ単位で選択可)。 少額リース:①減価償却資産の少額基準以下、または②事業内容に照らし金額・規模が小さいもの/新品価値が小さいもの等。従来の3
安田 亮
2025年9月9日


第1回)新リース会計基準の全体像
おはようございます!代表の安田です。 今週は新リース基準に関してのシリーズを書いていきます。 1. なぜ今、基準が変わるのか 2007年に整備された従来基準(企業会計基準第13号)は当時の国際基準と整合的でしたが、その後IFRS16(2016年)と米国基準Topic 842(2016年)が登場し、借手はほぼ全リースを資産・負債としてオンバランスする世界に移行しました。 日本も国際比較可能性や財務情報の透明性を高める観点から、「使用権モデル」を採用する新基準(企業会計基準第34号、適用指針第33号)を2024年9月に公表しています。 2. 基本方針の要点(借手) 単一モデル(IFRS 16型):ファイナンス/オペレーティングの区別にかかわらず、借手は使用権資産(ROU)とリース負債を計上し、減価償却費+利息の形で費用化します 貸手会計は大筋従来踏襲(第3回で詳述) 3. 適用範囲と主な除外 原則、契約名称にかかわらずリースに関する会計処理・開示に適用。 ただし、公共施設等運営権、収益認識基準の知的財産ライセンス(一定条件下)、鉱物・石油・天然ガスの
安田 亮
2025年9月8日


公認会計士試験の「バランス調整」
おはようございます!代表の安田です。 土曜日なので内輪ネタ的なものを。 金融庁の公認会計士・監査審査会が公表した「公認会計士試験のバランス調整」について解説します。これは、会計士試験の合格者の資質や能力をより正確に評価するために行なわれる見直しです。 1. 背景 公認会計士試験は平成18年に現在の形式となり、20年近くが経過しました。この間に会計人材は増加しましたが、 受験者数の増加 試験の難易度や出題内容の偏り 会計士に求められる知識・能力の多様化 といった課題が指摘されていました。特に、短答式試験(一次)と論文式試験(二次)の合格率や出題傾向にアンバランスが生じていたのです。 2. 見直しの主なポイント (1) 合格率の調整 短答式試験の合格者を増やし、論文式試験に進める受験者を拡大 一方で、論文式試験の合格基準を「52% → 54%」に引き上げ➡ 結果として、論文式試験の合格率は 30%台後半 → 20%台後半 に低下する見込み。 (2) 短答式試験の改善 財務会計論・管理会計論など計算問題がある科目で問題数を増加 1問あたりの配点を小さく
安田 亮
2025年9月6日


「再リース」の新リース基準における取扱い
おはようございます!代表の安田です。 今回は、リース取引における日本特有の商習慣である 「再リース」 について、最新の会計基準との関係を整理してみます。 1. 再リースとは? 再リースとは、リース契約の解約不能期間終了後に、当初と同程度の年間リース料で1年間の契約を結び直す取引 を指します。日本固有の商習慣であり、不動産賃貸借における契約更新とは性質が異なる点が特徴です。 2. 旧リース会計基準の取扱い 旧リース基準では、再リース期間をリース資産の耐用年数に含めない場合、その再リース料は原則として 「発生時の費用」として処理 することとされていました。つまり、追加契約としてその都度費用処理するシンプルな考え方でした。 3. 新リース会計基準での位置付け 新リース基準では、IFRS第16号に規定のない再リースを日本の実務に合わせて整理しました。 借手がリース開始日や契約条件変更時に再リース期間をリース期間に含めていない場合、再リースは当初のリースとは独立したリースとして会計処理することが認められています。 その結果、再リース部分が短期リースに該当す
安田 亮
2025年9月3日


「継続企業の前提」評価基準が変わる?
おはようございます!代表の安田です。 今回は、今後の監査実務や会計実務に大きな影響を与える可能性のある、「継続企業の前提」評価の見直しについてご紹介します。 1. 何が変わるのか? 国際監査基準(ISA570)の改訂を受け、企業が「継続企業の前提(Going Concern)」を評価する起点が変わります。 これまで:期末日から12カ月間 ↓ 改訂後:財務諸表の「公表承認日」から12カ月間 つまり、評価のスタート時点が後ろにずれるため、企業は 1~3カ月程度、より長い期間をカバーして継続性を検討する必要 が出てきます。 2. 日本における課題 この改訂を日本の基準に取り入れるにあたり、次の課題が指摘されています。 (1)「公表承認日」という概念が存在しない ASBJはすでに対応を進めており、「財務諸表の公表を承認する権限を有する社内の機関や個人が承認した日」として定義を示しています。 (2)二重評価の可能性 日本では、 会社法に基づく事業報告等 金融商品取引法に基づく有価証券報告書 それぞれに「公表承認日」があるため、同じ会計期間で二度評価が必要に
安田 亮
2025年8月29日


ASBJ「のれん」に関する公聴会を開催
おはようございます!代表の安田です。 2025年8月12日、企業会計基準委員会(ASBJ)にて「のれんの会計処理」をめぐる公聴会が実施されました。今回は、この公聴会での議論の内容と実務への影響について整理してみます。 のれんをめぐる議論の背景 現在、日本基準では「のれん」を規則的に償却(通常は20年以内)することが求められています。一方で、IFRS(国際財務報告基準)では償却は行なわず、減損テストのみで対応する方式が採用されています。 この違いにより、上場企業の資本コストやIPO評価に影響しているとの指摘があり、ASBJでは 「のれんの非償却導入」や「償却費の計上区分変更」 が検討されています。 公聴会での意見 第1回公聴会では学識経験者2名から意見聴取が行なわれました。 野間幹晴教授(一橋大学大学院) プライベート・エクイティ業界では「のれん償却がIPO価格を押し下げる懸念」があると説明 日本基準企業はIFRS適用企業に比べ資本コストが高いとされ、特にスタートアップやグロース市場ではのれんの償却負担が大きな課題になると指摘。...
安田 亮
2025年8月27日


後発事象の会計基準
おはようございます!代表の安田です。 2025年7月、企業会計基準委員会(ASBJ)は、会計実務に大きな影響を与える「後発事象に関する会計基準(案)」を公表しました。この動きは、従来の実務ルールを見直し、より国際的な基準に近づけるものとして注目されています。 後発事象とは?基本をおさらい 「後発事象」とは、決算日以後に起きた出来事のうち、財務諸表の利用者にとって重要な情報となりうるものを指します。たとえば、決算締め後に大きな損害が発生した場合、それが財務諸表に影響する可能性があります。 これまでは、日本公認会計士協会(JICPA)の監査基準報告書に基づき、後発事象の扱いが監査の視点から整理されていましたが、今後は会計基準として明確に位置づけられる予定です。 大きな改正ポイント:基準日が「監査報告書日」から「公表の承認日」へ 最も注目すべき変更点は、「後発事象の基準日」の見直しです。従来は「監査報告書日」が基準とされていましたが、新しい会計基準案では、これを「財務諸表の公表の承認日」とする方針が示されました。 これは、国際会計基準(IFRS)との整
安田 亮
2025年8月26日


事業報告と有報との一体開示の検討
おはようございます!代表の安田です。 日本経済団体連合会(経団連)は、2025年5月13日、政府・与党に対して上場企業の開示規制緩和に関する提言を公表しました。特に注目すべきは、「有価証券報告書(有報)」の位置づけ明確化と、それに伴う「会社法上の事業報告等の開示免除」の要請です。 ■ 現状:有報と事業報告は別モノ扱い 現在の開示制度では、 金融商品取引法に基づく「有報」 会社法に基づく「事業報告・計算書類等」 が別個の書類として作成・提出されており、記載内容が重複することが多く、企業側の負担や投資家の混乱を招く要因ともなっていました。 ■ 経団連が提言する主な改革案(抜粋) 今回、経団連が求めた提言内容のポイントは以下のとおりです 有報の位置づけを会社法上も明確化 → 「有報が会社法上の報告書類と同等」と整理すれば、重複排除が可能に。 有報提出会社に対する事業報告等の開示免除 → 有報提出企業に対し、会社法上の「事業報告」や「附属明細書」の作成・交付を不要とする。 書面交付の完全電子化、単体決算の開示廃止 → 電子開示を原則化し、紙ベースの配布義
安田 亮
2025年8月24日


住民税均等割の表示区分見直しの動き
おはようございます!代表の安田です。 今回は、企業会計基準委員会(ASBJ)で議論が進んでいる「住民税均等割の会計処理」見直しについてご紹介します。実務に影響する可能性があるため、今後の動向に注目していただきたいポイントです。 背景:法人税等会計基準の見直し ASBJでは、2025年5月から「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」の見直しに着手しています。従来の基準は「税金ごとに個別の取扱いを定める方式」でしたが、今後は 「課税対象利益を基礎とする税金」という原則定義を設ける その定義に該当する税金を補足文書で列挙する という形に改める方向性が検討されています。 住民税均等割の位置づけの変更可能性 現行制度では、住民税均等割は「法人税、住民税及び事業税」の区分に含められ、損益計算書では「税引前当期純利益の下」に表示されています。 しかし、新しい原則定義では「住民税均等割は課税対象利益を基礎とする税金に該当しない」とされる可能性が高いです。その場合、 住民税均等割は 販売費及び一般管理費などの営業費用として表示 その結果、税引前当期純利益の金
安田 亮
2025年8月21日


金融庁が有報の記載削減を本格検討へ
おはようございます!代表の安田です。 企業にとって、年々煩雑さを増す有価証券報告書(以下、有報)への記載義務。 これに対し、金融庁が記載項目の見直しや、虚偽記載の責任に関するルール整備に動き出しました。これは単なる事務負担軽減にとどまらず、法制度全体の再設計につながる動きです。 ■ 背景:ディスクロージャーWGが始動 2025年6月25日、金融審議会・金融分科会の合同会合において、加藤金融担当大臣が金融商品取引法改正に向けた諮問を行いました。これを受けて、金融庁内に新たにディスクロージャーワーキンググループ(DWG)が設置され、以下の4つのテーマで検討が開始されました。 ■ 検討テーマ①:セーフハーバー・ルールの導入 「セーフハーバー・ルール」とは、一定の要件を満たす場合に、開示情報に虚偽記載等があっても法的責任を免除する仕組みです。これまでサステナビリティ情報に限定的に適用されていたものを、将来的にはすべての将来情報に拡大する構想が提示されています。 これにより、企業は責任回避ではなく、積極的な情報開示を安心して行えるようになることが期待されま
安田 亮
2025年8月19日
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