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企業による奨学金返還支援、課税される?

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 4月9日
  • 読了時間: 2分

おはようございます!代表の安田です。


昨今、企業が人材確保の一環として、従業員の奨学金返還を支援する動きが広がっています。しかし、この「返還支援」が給与課税の対象となるのか、非課税となるのかは、支援の方法次第で大きく異なります。本記事では、税務上の取り扱いについてわかりやすく整理します。


■学生支援機構の「代理返還制度」を使えば非課税

2022年4月より、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)が開始した「奨学金返還支援(代理返還)制度」を活用することで、企業が行う返還支援は非課税の「学資金」として処理されます。

この制度では、企業が学生支援機構へ直接返還額を支払う形式であるため、従業員の給与とはみなされず、所得税法上の非課税規定に該当します。


■注意:大学・団体等の奨学金は制度の対象外

ただし、注意が必要なのは、上記の非課税扱いは学生支援機構の第一種・第二種奨学金に限られるという点です。

大学や民間団体が貸与する奨学金については、この「代理返還制度」の対象外となり、従業員自身が返還を行なうケースが一般的です。


■給与課税の回避には「返還目的が明確」であることが重要

企業が大学等の奨学金返済を支援する場合、返還支援分を従業員の給与に上乗せして支給すると、原則として給与所得として課税されます。

しかし、以下の2点が確認できれば、非課税の学資金として処理することも可能です。

  1. その奨学金が「学資に充てる目的で貸与された」ものであること

  2. 返還支援分が、実際に奨学金の返還に充てられていることが明確であること

この確認が困難な場合や、給与課税を回避する目的とみなされると、課税対象となるおそれがあるため注意が必要です。


■実務ポイント

  • 奨学金返還支援を導入する企業は、まず対象となる奨学金の種類を確認することが重要です。

  • 学生支援機構の制度を活用できる場合は、代理返還による非課税処理が原則。

  • それ以外のケースでは、支援方法の設計と証明資料の整備が必要です。

  • 特定の従業員への経済的利益提供は、税務調査でも指摘対象となりやすいため、慎重な対応が求められます。


【まとめ】

企業が従業員の奨学金返還を支援する場合、その課税関係は制度や方法により大きく異なります。非課税扱いとするには、学生支援機構の代理返還制度の利用や、返還目的の明確化が不可欠です。


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