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残業時のタクシー利用とインボイス制度

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 5月9日
  • 読了時間: 3分

おはようございます!代表の安田です。


年度末や繁忙期には、残業によって終電を逃し、タクシーで帰宅するケースも珍しくありません。その際のタクシー代について、インボイス制度上どのように取り扱うべきか、ご存じでしょうか?


本記事では、残業後のタクシー利用に係る消費税の仕入税額控除について、制度上の特例との関係を整理します。


インボイス制度と「公共交通機関特例」

「公共交通機関特例」とは、1回あたりの税込金額が3万円未満の旅客運送(鉄道、バスなど)について、インボイスの保存がなくても、帳簿に一定の事項を記載することで仕入税額控除が認められる特例です(消費税法57の4①、施行令70の9②一)。

しかし、タクシーはこの「公共交通機関」に含まれていないため、当該特例の対象外となります。


「出張旅費等特例」の適用可否

また、「出張旅費等特例」は、出張等に通常必要と認められる費用について、インボイスの保存がなくても帳簿のみで控除を認める制度です(消費税法30⑦、施行令49①一・ニ等)。

ただし、この「出張」は、「勤務場所を離れて他の土地で業務を行う場合」に限られており、たとえば「本社勤務者が出張で大阪支社へ赴く」などが該当します。残業後に通常の勤務先からタクシーで帰宅する行為は「出張」ではなく、あくまで「通勤」と整理されるため、この特例も適用できません。


では、インボイスが必要になるのか?

タクシー利用が「通勤手当」として会社から支給される場合、その金額が「通常必要と認められる範囲内」であれば、「帳簿保存のみ」で仕入税額控除が可能です(消費税基本通達15の4三)。

つまり、残業後のタクシー帰宅が会社の通勤手当規程などに基づき合理的に支給されている場合には、インボイスを受け取って保存する必要はありません。


交通費として処理する場合は要注意

一方で、タクシー代を「交通費」として処理する場合には、原則としてインボイスの保存が必要となります。インボイスの交付を受けずに仕入税額控除を適用することはできませんので、取り扱いにはご注意ください。

まとめ

利用区分

インボイス保存

帳簿保存で

控除可能か

備考

公共交通機関(電車・バス等)

不要(3万円未満)

「公共交通機関特例」対象

タクシー(出張時)

必要

×

「出張旅費等特例」の対象外

タクシー(通勤手当)

不要(通常必要な範囲)

通勤手当として支給される場合

タクシー(交通費処理)

必要

×

通常の仕入税額控除の要件に従う


経理実務への影響

タクシー代は実務上の処理誤りが生じやすいポイントでもあります。

特に、通勤手当としてのタクシー代支給は、社内規程の整備や帳簿記載内容の明確化が求められます。

経理・人事部門の皆様におかれましては、社内ルールの見直しや運用の再確認をおすすめいたします。




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