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特定親族特別控除の同一世帯内での適用重複に注意

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 6月25日
  • 読了時間: 2分

おはようございます!代表の安田です。


令和7年度税制改正では、子育てや教育支援の一環として、大学生世代(19歳以上23歳未満)の子どもを対象とした「特定親族特別控除」が新設されました。これにより、これまで控除対象外となっていた“中間層の学生”についても、所得控除のチャンスが広がります。

しかし、実務上は「配偶者特別控除」との重複適用ができない点に要注意です。


■ 「特定親族特別控除」とは?

この新たな控除制度では、以下の条件を満たす特定親族を扶養している親族(通常は親)が、最大63万円の所得控除を受けることができます。

◯ 特定親族の要件:

  • 生計を一にする親族であること

  • 年齢が19歳以上23歳未満

  • 合計所得金額が58万円超123万円以下(給与のみの場合は123万円超188万円以下)

  • 控除対象扶養親族に該当しないこと

このように、扶養控除と重複しないゾーンを対象とする点が特徴です。


■ 同一世帯における“重複適用の禁止”とは?

もし特定親族が、配偶者の一方にとっては「特別控除対象配偶者」(=配偶者特別控除の対象)に該当し、同時に親からは「特定親族」となる場合、この2つの控除は併用できません。

例えば次のようなケースです:

  • 長女(20歳、既婚)が夫とともに実家に居住

  • 長女には一定の収入がある

  • 父親が「特定親族特別控除申告書」を提出

  • 一方、夫も「扶養控除等申告書」に長女を記載

このような場合、どちらか一方の申告書の記載によって「誰の控除対象になるか」が決まります。両方で控除を受けることはできません。


■ 決着がつかない場合は「配偶者特別控除が優先」

仮に、父親と夫の間で申告の整合が取れず、申告書上の調整ができなかった場合、優先順位としては「夫側の配偶者特別控除」が適用されるという扱いになります(所令218の2②)。


■ 実務上のチェックポイント

チェック項目

解説

対象年齢

19歳以上23歳未満

所得要件

合計所得58万円超123万円以下(給与のみなら188万円以下)

控除の併用可否

扶養控除・配偶者特別控除との併用不可

申告書の判断基準

「どちらの申告書に記載されたか」で所属が決定

調整不能時

原則、配偶者特別控除を優先

■ まとめ:家族内での申告整合がカギ

この新制度の運用にあたっては、「誰がどの親族を控除対象として申告するか」について、世帯内での事前調整が極めて重要です。特に同一世帯内に夫婦と親が同居するようなケースでは、申告書上の記載ミスによる控除漏れや否認リスクが高まります。



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