おはようございます!代表の安田です。
東京証券取引所(東証)は、プライム市場に上場する企業に対し、決算情報や適時開示情報の英文開示(日本語との同時開示)を原則義務化する方針を打ち出しました。しかしながら、全情報の英訳を義務付けるものではなく、「一部または概要」の開示も許容されることとなります。
英文開示の基準とは?
東証は、適時開示情報の英文開示について、以下の要件を満たすことが望ましいとしています。
決定または発生した事実を明示(いつ、何を決定したか/何が発生したか)
その事実が企業へ与える影響(見込み額など)を明確化
海外投資家が概要を把握できる水準での開示
このため、企業は開示内容の範囲を精査し、どの情報を詳細に翻訳するかを検討する必要があります。
東証が示した英文開示の指標とは?
2024年10月、東証は英文開示の指針として、海外投資家にとって重要と考えられる開示項目に「★印」を付した様式例を公表しました。これにより、企業は以下のような基準で英文開示の範囲を検討することが推奨されています。
★印が付いた項目(例:配当予想の修正に関する詳細な図表)
基本的に英文開示が求められる
★印が付いていない項目(例:修正の理由)
日本語文章が長い場合、要約した英文開示が可能
英文開示の実務上の留意点
企業が英文開示を進める際には、以下の点に注意が必要です。
簡潔かつ正確な情報提供特に海外投資家向けには、詳細な数値説明ではなく、端的な要約を含めることで理解を促進できます。
翻訳コストの最適化すべての情報を逐語的に英訳するのではなく、要点を絞ることでコストと時間を削減できます。
開示の一貫性日本語と英語の情報に大きな差異が生じないよう、適切な監査体制のもとで運用を行なうことが求められます。
まとめ
2025年4月から適用される適時開示の英文開示義務化により、プライム上場企業は適切な情報開示戦略を検討する必要があります。東証の指針を踏まえつつ、海外投資家に向けた情報発信の精度を高めることで、企業価値の向上につなげることが重要となるでしょう。
この変更に備え、会計事務所としてもクライアント企業の対応をサポートし、適切な英文開示の在り方を提案していくことが求められます。

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