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のれん非償却化の議論

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 1 日前
  • 読了時間: 2分

おはようございます!代表の安田です。


2025年5月9日、自民党金融調査会と企業会計小委員会による合同会議が開催され、企業会計のあり方について関係機関からのヒアリングが行われました。その中で特に注目されたのが、「のれん会計基準の見直し」および「サステナビリティ情報の保証制度の導入スケジュール」です。


■ のれん会計処理の方向性:「非償却化」ではなく「IFRS適用」で対応?

スタートアップ支援の文脈から、「のれんの償却費が営業利益を圧迫する」として、日本基準でも“非償却化”を導入すべきではないかという議論が行なわれています。実際、内閣府の規制改革推進会議でも、M&A推進の観点から非償却化の声が上がっていました。

しかし、今回の会議では、

  • 「のれんを非償却にしたいのであれば、IFRSを任意適用すればよい」

  • 「基準を変更するよりも、IFRS適用のハードルを下げるべき」

という声が多数を占め、会計基準の大幅な見直しには慎重な姿勢が示されました。


■ 減損テストの負担軽減が今後の論点に?

IFRSの任意適用を推奨する一方で、「毎期の減損テストに係るコストが大きすぎる」との実務的課題にも言及がありました。特にスタートアップ企業にとっては、減損テストの実施が技術的・人的にも負担になっているとの指摘です。

これを受け、会議では、

  • 減損テストの簡素化・標準化

  • 海外事例との比較検討(特にIFRS適用企業での運用実態)

など、IFRS導入促進と並行した実務支援の必要性が議題となりました。


■ サステナビリティ開示の保証制度も具体化へ

同会議では、「サステナビリティ情報の保証制度」についても議論がなされ、金融庁案として以下の導入スケジュールが共有されました。

対象企業

義務化内容

時期

時価総額3兆円以上のプライム企業

情報開示義務

2027年3月期~

同上

保証義務

2028年3月期~

同上

スコープ1・2保証

2028年3月期~(2年間限定)

これらは2026年の通常国会に金融商品取引法改正案として提出予定であり、2025年の骨太方針にも明記される見通しです。


■ まとめ:基準改正ではなく“選択肢の活用”へ

「のれん非償却化」は実務上の負担軽減の観点から継続して議論される見込みですが、自民党会議のスタンスはあくまで、

  • 既存のIFRS制度を柔軟に活用

  • 実務負担を軽減する制度支援を整備

という方向にあります。制度変更よりも、「今ある制度をどう使いやすくするか」に議論の重点が移ってきている印象です。



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