top of page

法人税申告前の自主点検が重要|国税庁の「申告書確認表」と「自主監査」の活用ポイント

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 3 日前
  • 読了時間: 7分

おはようございます!代表の安田です。


3月決算法人では、決算確定後から申告期限までの限られた期間に、法人税・地方法人税・消費税など多くの税務対応を進めなければなりません。


この時期は、別表作成、添付書類の確認、税額計算の見直しなど作業が重なり、申告直前のミスが起こりやすくなります。


実際、申告書を提出した後で誤りに気づくと、修正申告や更正の請求が必要になることがあります。こうした事後対応は手間もかかり、場合によっては社内説明や追加資料の準備も必要になるため、できるだけ避けたいところです。


提出前の確認手段として国税庁公表の2つの自主点検用資料の活用が考えられます。


今回は、法人税申告の精度を高めるために活用したい、「申告書確認表」と「大規模法人における税務上の要注意項目確認表」について、実務の視点から整理して解説します。


申告書提出前の自主点検がなぜ重要なのか

法人税申告では、単純な計算誤りだけでなく、添付書類の漏れ、税制改正の反映漏れ、申告調整の見落としといったミスも起こりやすいものです。特に決算月が集中する時期は、社内経理担当者も税理士事務所も業務量が増え、確認が形式的になってしまうことがあります。


そのため、申告作業の終盤で「これで本当に漏れはないか」を点検する仕組みを持っておくことが重要です。当初申告での添付書類等の漏れを防ぐために、国税庁が公表している自主点検用資料を活用することが一法とされています。


国税庁が公表している2つの確認資料とは?

国税庁が公表している自主点検用資料は、大きく次の2つに分かれます。

1つ目が申告書確認表、2つ目が大規模法人における税務上の要注意項目確認表です。


この2つは似ているようで、使うタイミングも目的も異なります。

したがって、単に「チェックリストがある」という理解ではなく、それぞれをどう使い分けるかが重要です。


「申告書確認表」は提出直前の最終チェック用

申告書確認表は、申告書の提出直前に行なう最終チェック、つまり自主点検のための資料です。原則として、資本金1億円以上の調査課所管法人向けに公表されており、内国法人用、内国法人(グループ通算制度適用)用、外国法人用の3種類が用意されています。

この確認表は、申告書が完成した後に、

  • 添付書類に漏れがないか

  • 別表の記載に誤りがないか

  • 改正項目の反映ができているか

といった点を最終確認するのに向いています。


つまり、「申告書を作り終えた後の最後の見直し」に使うイメージです。


グループ通算法人向け確認表では121項目をチェック

令和7年4月1日以後開始事業年度等分の「内国法人(グループ通算制度適用)用」については、121項目の確認内容があります。


また、留意事項の例として、令和7年度改正により、中小企業者等の法人税率の特例の対象法人の範囲から通算法人が除外されたことを踏まえ、中小通算法人の軽減対象所得金額以下の部分に適用される税率は19%となる旨が記載されています。


この点からも分かるように、確認表は単なる一般論のチェックリストではなく、最近の税制改正を踏まえた申告実務上の注意点も盛り込まれていることが特徴です。


「要注意項目確認表」は申告書作成前の自主監査用

もう一つの資料である「大規模法人における税務上の要注意項目確認表」は、申告書提出直前ではなく、申告書作成前の段階で活用する資料です。


こちらは決算調整事項や申告調整事項の把握漏れ等を防ぐための「自主監査」用として提供されており、役員給与や交際費などの主要な勘定科目ごとに適否を確認できるようになっています。


つまり、こちらは完成した申告書を点検するというより、そもそも必要な税務調整が漏れていないかを確認するための資料といえます。


2つの資料の違いをどう理解するか

実務で分かりやすく整理すると、両者の違いは次のようになります。


  • 申告書確認表は、申告書がほぼ完成した段階での最終チェック

  • 要注意項目確認表は、決算整理や税務調整の段階での事前監査


この違いを意識せずに使うと、本来は作成前に洗い出すべき論点を提出直前まで見落としたり、逆に最終確認を十分にしないまま提出してしまったりするおそれがあります。


したがって、理想的には、

  • 申告書作成前に「要注意項目確認表」で自主監査を行ない

  • 提出直前に「申告書確認表」で最終点検を行なう

という流れが有効です。


提出義務はないが、活用状況は見られている

この2つの確認表について、提出義務はないと明記されています。

ただし、活用状況の把握のため、会社事業概況書の総括表に活用の有無を問う欄が設けられているとされています。


ここは実務上、見落としやすいポイントです。税務署に確認表そのものを出す必要はありませんが、「活用しているかどうか」は一定程度意識されているということです。


そのため、特に大規模法人や調査課所管法人では、税務コンプライアンス体制の一環として、これらの資料を使った点検プロセスを整備しておく意味があります。


税務CGとの違い

税務CG(税務コーポレート・ガバナンス)の充実に向けた取組との違いにも触れられています。税務CGの取組は、調査課所管法人のうち、特に大規模な特官所掌法人を対象に、税務調査時に当局が自主的対応を直接働きかけるものです。


これに対して、今回の確認表は、申告誤りや税務処理誤りにポイントを絞り、広く一般に活用されることで税務コンプライアンスの維持・向上を目指すものと整理されています。


つまり、確認表は一部の超大規模法人だけの話ではなく、より広い企業実務で活用しやすいチェックツールといえます。


税理士事務所としての活用ポイント

税理士事務所の立場から見ると、これらの確認表は単なる参考資料ではなく、申告品質の安定化に役立つツールです。特に次のような場面で有効です。

  • 決算月が重なり、案件ごとの確認が属人的になりやすいとき

  • グループ通算制度適用法人など、改正影響が複雑なとき

  • 顧問先内で経理担当者が交代し、申告実務にばらつきがあるとき

  • 申告書作成はできていても、最終チェック体制が弱いとき

こうした場面では、確認表を業務フローに組み込むことで、見落としの予防と説明可能性の向上の両方が期待できます。


企業が今のうちに整えておきたいこと

企業側でも、申告期限直前に慌てて対応するのではなく、あらかじめ自主点検・自主監査の流れを決めておくことが有効です。たとえば、

  • 申告書作成前に論点整理を行なう担当者

  • 提出直前に最終確認を行う担当者

  • 税理士との確認タイミング

を明確にしておくことで、チェックが形式だけで終わりにくくなります。


特に、税制改正の影響を受けやすい項目や、毎年誤りやすい勘定科目については、自社版の確認ポイントを加えて運用するのも有効です。


まとめ

法人税申告では、提出後に誤りが見つかると、修正申告や更正の請求が必要になることがあります。そうした事態を防ぐために、国税庁が公表している「申告書確認表」と「大規模法人における税務上の要注意項目確認表」の活用は有効です。申告書確認表は提出直前の最終チェックを行なうための自主点検用、要注意項目確認表は申告書作成前の決算調整・申告調整漏れを防ぐための自主監査用として位置づけられています。


両確認表に提出義務はありませんが、会社事業概況書では活用の有無を問う欄が設けられていることも押さえておきたいポイントです。


申告書の品質を高めるには、単に作成するだけでなく、作成前の監査と提出前の点検を分けて考えることが重要です。決算・申告の繁忙期こそ、こうした確認資料を上手に取り入れ、ミスのない申告体制を整えていきたいところです。


神戸の税理士事務所ロゴ

コメント


bottom of page