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ASBJ「のれん」に関する公聴会を開催

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 2 時間前
  • 読了時間: 2分

おはようございます!代表の安田です。


2025年8月12日、企業会計基準委員会(ASBJ)にて「のれんの会計処理」をめぐる公聴会が実施されました。今回は、この公聴会での議論の内容と実務への影響について整理してみます。


のれんをめぐる議論の背景

現在、日本基準では「のれん」を規則的に償却(通常は20年以内)することが求められています。一方で、IFRS(国際財務報告基準)では償却は行なわず、減損テストのみで対応する方式が採用されています。


この違いにより、上場企業の資本コストやIPO評価に影響しているとの指摘があり、ASBJでは 「のれんの非償却導入」や「償却費の計上区分変更」 が検討されています。


公聴会での意見

第1回公聴会では学識経験者2名から意見聴取が行なわれました。

  • 野間幹晴教授(一橋大学大学院)

    • プライベート・エクイティ業界では「のれん償却がIPO価格を押し下げる懸念」があると説明

    • 日本基準企業はIFRS適用企業に比べ資本コストが高いとされ、特にスタートアップやグロース市場ではのれんの償却負担が大きな課題になると指摘。

    • 非償却導入には賛成だが、償却と非償却の選択制は比較可能性を損なうため不適当との立場

  • 芦澤美智子准教授(慶應義塾大学大学院)

    • 日本のM&A動向を踏まえ、のれん処理が企業評価や経営判断に与える影響について解説


実務への影響

今後、ASBJが「非償却」を導入する方向に動けば、

  • 企業の利益水準が上振れする可能性

  • 減損リスクの把握・開示の重要性が増す

  • M&Aを積極的に進める企業にとっては財務数値の改善効果

といった変化が見込まれます。

ただし「非償却かつ減損テストのみ」という制度は、景気後退局面で一気に大規模な減損が出るリスクもあり、経営者・投資家・監査人にとって慎重な判断が必要になります。


まとめ

  • 日本基準でも「のれんの非償却」導入が検討され始めました

  • 公聴会では「非償却に賛成、ただし選択制には反対」という意見が出ています

  • 今後の会計基準の改正は、M&A戦略や上場準備に大きな影響を及ぼす可能性があります


当事務所では、M&Aに伴う「のれん」の会計処理や税務上の影響分析についてもサポートしています。ご関心のある経営者様はぜひご相談ください。



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