個人事業主がインボイス登録すると屋号や住所は公表される?公表サイトの掲載内容と手続きの注意点
- 安田 亮
- 7 時間前
- 読了時間: 7分
更新日:58 分前
おはようございます!代表の安田です。
インボイス制度が始まり、取引先から「適格請求書発行事業者の登録番号を教えてください」と言われる機会が増えています。
個人事業主の方からは、登録番号そのものだけでなく、
インボイス登録をすると屋号も公表されるのか
自宅住所まで公表されてしまうのか
請求書には屋号を書いているが、公表サイトでは氏名だけで問題ないのか
といったご相談を受けることがあります。
本日は、個人事業主がインボイス登録をした場合に、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」でどのような情報が公表されるのか、屋号や事務所所在地を追加で公表したい場合の手続き、買手側の帳簿記載との関係について解説します。
適格請求書発行事業者公表サイトとは
適格請求書発行事業者公表サイトとは、インボイス発行事業者として登録を受けている事業者の情報を確認できる国税庁のサイトです。
取引先から受け取った請求書に記載されている登録番号が有効なものかどうかを確認する際などに利用されます。国税庁の公表サイトでは、適格請求書発行事業者の登録を受けた者の氏名・名称や登録番号などが公表されています。
インボイス制度では、買手が仕入税額控除を受けるために、原則として一定事項が記載された適格請求書の保存が必要になります。そのため、売手側にとっては「登録番号が正しく確認できる状態にしておくこと」が、取引先との実務上も重要です。
個人事業主の場合、原則として公表されるのは「氏名」
法人が適格請求書発行事業者として登録された場合、公表サイトでは法人名や本店所在地などが公表されます。
一方、個人事業主の場合は、通常、公表サイトに掲載されるのは氏名が中心です。
個人事業者については通常「氏名」の公表にとどまり、屋号や主たる事務所の所在地等を公表するには別途手続きが必要です。
つまり、個人事業主がインボイス登録をしたからといって、当然に屋号や事務所所在地まで公表されるわけではありません。
たとえば、請求書や名刺では「〇〇デザイン事務所」という屋号で活動していても、公表サイト上は代表者個人の氏名のみが表示される、というケースがあります。
屋号や事務所所在地を公表したい場合は申出書が必要
個人事業主が、氏名だけでなく屋号や主たる事務所等の所在地を公表したい場合には、「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書」を提出します。
国税庁によると、この手続きは、国税庁ホームページでの公表事項について「屋号」「本店又は主たる事務所等の所在地」「外国人の通称又は旧姓氏名」を新たに追加または変更しようとする場合の手続きです。対象者は、これらの公表事項を追加・変更しようとする個人事業者や人格のない社団等とされています。
たとえば、現在は氏名のみが公表されている個人事業主が、取引先にわかりやすくするために屋号も公表したい場合、この申出書を提出することで、氏名に加えて屋号を公表することができます。
登録申請と同時に提出すれば、最初から屋号等を反映できる
これからインボイス登録をする方で、最初から屋号や事務所所在地を公表したい場合には、登録申請書と同時に「公表事項の公表(変更)申出書」を提出する方法があります。
国税庁の案内でも、適格請求書発行事業者の登録を受けようとする事業者が、登録申請書と同時にこの申出書を提出した場合には、申出書の内容を反映した状態で公表されるとされています。
後から追加することも可能ですが、取引先への案内や請求書の表記との整合性を考えると、屋号で事業を行っている方は、登録申請の段階で公表内容をどうするか検討しておくとスムーズです。
提出方法はe-Taxまたは書面送付
申出書は、e-Taxで作成・提出できます。また、書面で作成して送付により提出することも可能です。提出先は、納税地を管轄するインボイス登録センターです。
すでに登録済みの方で、あとから屋号を公表したい、事務所所在地を追加したい、あるいは公表内容を変更したいという場合も、この手続きの対象になります。
ただし、特に個人事業主の場合、事務所所在地が自宅であるケースも少なくありません。所在地を公表するかどうかは、取引上の必要性とプライバシー面のリスクを踏まえて慎重に判断する必要があります。
請求書に屋号しか書いていない場合、買手の帳簿はどうなる?
実務上よくあるのが、次のようなケースです。
売手である個人事業主は、インボイスには屋号のみを記載している。一方で、公表サイトでは氏名のみが公表されており、屋号は公表されていない。
この場合、買手側の帳簿には、公表サイトの表示に合わせて必ず氏名を書かなければならないのでしょうか。
この点について、売手が個人事業者の場合、買手が仕入税額控除のために保存すべき帳簿に記載する「売手の氏名又は主たる屋号」は、公表サイト上の記載に合わせる必要はないとされています。つまり、公表サイトでは氏名のみが表示され、インボイスには屋号のみが記載されている場合でも、帳簿には氏名または主たる屋号のいずれか一方を記載すればよい、という整理です。
したがって、買手側としては、公表サイトに屋号が掲載されていないからといって、直ちにそのインボイスが不備になると考える必要はありません。
もっとも、取引先の確認作業を円滑にするためには、請求書に登録番号を正確に記載することはもちろん、屋号・氏名・登録番号の関係がわかりやすい表記になっているか確認しておくことが大切です。
個人事業主が確認しておきたいポイント
個人事業主がインボイス登録をする場合、次の点を確認しておきましょう。
1つ目は、公表サイトに氏名以外の情報を載せる必要があるかどうかです。屋号で取引している場合、屋号を公表しておくことで、取引先が登録番号を確認しやすくなることがあります。
2つ目は、所在地を公表するかどうかです。店舗や事務所を構えている場合は公表のメリットがある一方、自宅兼事務所の場合には慎重な判断が必要です。
3つ目は、請求書の記載内容です。屋号で請求書を発行している場合でも、登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとの金額、消費税額等、インボイスとして必要な事項が記載されているかを確認しましょう。
4つ目は、取引先への案内です。インボイス登録後は、登録番号を請求書に記載するだけでなく、必要に応じて取引先へ登録番号や公表サイトでの確認方法を伝えておくと、経理処理がスムーズになります。
まとめ
個人事業主がインボイス登録をした場合、公表サイトでは通常、氏名が公表されます。屋号や主たる事務所等の所在地を公表したい場合には、「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書」の提出が必要です。
屋号で事業を行っている方にとって、屋号を公表することは取引先から見たわかりやすさにつながります。一方で、所在地の公表については、事業実態やプライバシーへの配慮も踏まえて判断する必要があります。
また、買手側の帳簿記載については、公表サイトの表示に必ず一致させる必要はなく、売手の氏名または主たる屋号のいずれかを記載すればよいとされています。
インボイス制度では、登録番号だけでなく、請求書の記載内容や公表情報との関係も実務上の確認ポイントになります。個人事業主の方は、登録時または登録後に、自身の公表内容と請求書の表記を一度確認しておくと安心です。
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【この記事の執筆者】
安田 亮(公認会計士・税理士)
安田亮公認会計士・税理士事務所 代表
京都大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格。有限責任 あずさ監査法人、株式会社神戸製鋼所での実務経験を経て、2018年に神戸市で独立。
現在は、中小企業から上場企業に対する税務顧問、決算支援、税効果会計、連結決算、新リース会計基準への対応、組織再編、補助金・助成金に関する支援などを行なっています。また、金融機関や大手企業が運営する税務・会計・経営分野のWebメディアにおいて、記事の執筆・監修にも携わっています。
事務所ブログでは、税制改正や会計基準、経営実務に関する情報を、専門用語をできるだけかみ砕き、経営者や経理担当者の方に役立つ形で解説しています。







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