【2026年4月以後】「切放し法」適用時の注記が必須に|中間・四半期の減損/棚卸切下げと防衛特別法人税の表示も明確化
- 安田 亮
- 1 日前
- 読了時間: 4分
おはようございます!代表の安田です。
2026年3月31日、「財務諸表等規則・連結財務諸表規則」の一部改正に関する内閣府令(令和8年内閣府令第28号)が公布・施行されました。今回の改正は、期中財務諸表の新しい会計基準(企業会計基準第37号等)が公表されたことを受け、期中に「切放し法」を適用した場合の注記規定を新設するとともに、防衛特別法人税の表示取扱いを明確化するものです。
本記事では、上場企業の決算・開示実務で重要になる「切放し法の注記」と「防衛特別法人税の表示」を、公認会計士の視点で整理します。
1. そもそも「切放し法」とは?期中は原則「洗替え法」、ただし例外あり
期中会計基準等では、企業の報告頻度(年次・半期・四半期)によって年次の経営成績の測定が左右されないという原則を採用し、有価証券の減損処理や棚卸資産の簿価切下げについて、期中洗替え法が原則とされています。
一方で、従来から期中に「切放し法」を適用していた企業については、例外的に継続適用が認められ、その場合は「切放し法を適用している旨」の注記が求められる整理になっています。
2. 改正の核心:切放し法を適用したら「計上の有無にかかわらず」注記が必要
今回の改正で新設されたのが「切放し法の適用に関する注記」です。
改正財務諸表等規則等では、中間(連結)会計期間における有価証券の減損処理または棚卸資産の帳簿価額の切下げの方法として、切放し法を適用した場合、評価損・切下額を計上したかどうかにかかわらず注記が必要とされています。
実務上は、「今期はたまたま評価損が出なかったから注記不要」ではなく、方法として切放し法を採用している限り注記が必要だという点がポイントです。
3. 対象範囲が広い:第一種だけでなく「第二種中間財務諸表」も対象
この注記規定は、一般の上場会社が作成する第一種中間財務諸表だけでなく、特定事業会社(銀行・保険等)が作成する第二種中間財務諸表も対象になる、とされています。
第二種中間(連結)財務諸表は、切放し法に関する注記の定めがない別の基準が適用され得るにもかかわらず、一律に注記が求められる点に留意すべきとされています。
金融庁の見解としても、切放し法を適用した事実は、第一種・第二種いずれの中間財務諸表でも、利用者が経営成績を正しく理解する上で重要な情報である、という趣旨が示されています。
4. 適用時期:2026年4月1日以後に開始する中間(連結)会計期間から
切放し法の注記規定の適用時期は、2026年4月1日以後に開始する中間(連結)会計期間からです。3月決算会社であれば、2026年4月から始まる期の第1四半期・中間期から、注記要否の判定が必要になります。
5. 併せて整理:防衛特別法人税の表示取扱いも明確化
同じ改正で、防衛特別法人税の表示取扱いも明確化されています(実務対応報告第48号を踏まえた整理)。
主なポイントは次のとおりです。
防衛特別法人税の未払額は、流動負債の「未払法人税等」に含めて表示
当期の法人税・地方法人税・防衛特別法人税・住民税、利益に関連する金額を課税標準とする事業税・特別法人事業税は、内容を示す名称を付した科目で、税引前当期純利益の次に表示
適用時期は、2026年4月1日以後開始事業年度(連結会計年度)からで、中間も同様とされています。
6. 実務チェックリスト:中間・四半期の開示で落とさないために
自社の期中会計処理が「洗替え法」か「切放し法」かを確認(過年度からの継続適用含む)
切放し法を適用する場合、評価損・切下げ計上の有無に関係なく注記を入れる運用に変更
第一種/第二種の別を問わず注記対象となる点を、開示チェックリストに反映
防衛特別法人税の表示(未払法人税等、損益表示科目)を勘定科目マスタ・注記テンプレに反映
まとめ:2026年4月以後、切放し法は「注記が必須」。税表示も含めてテンプレ更新を
2026年3月31日施行の改正により、期中(中間・四半期)で切放し法を適用した場合は、評価損等の計上有無にかかわらず、その旨の注記が必要になります。
対象は第一種だけでなく第二種中間財務諸表にも及ぶため、開示チェックリストやテンプレの更新が重要です。併せて、防衛特別法人税の表示取扱いも明確化されており、2026年4月期以降の決算・開示実務では早めの反映が推奨されます。




コメント