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ふるさと納税のワンストップ特例から確定申告へ切り替えるときの注意点を税理士が解説

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 1 日前
  • 読了時間: 6分

おはようございます!代表の安田です。


ふるさと納税を利用する方の多くは、できるだけ手間をかけずに控除を受けたいと考えます。そのため、会社員の方を中心に利用されているのがワンストップ特例制度です。


この制度は、一定の要件を満たせば確定申告をしなくても寄附金控除を受けられる便利な仕組みですが、実務では次のような相談をよく受けます。


「ワンストップ特例を申請した後に、医療費控除のため確定申告をすることになった」「副業収入や雑所得の申告が必要になったが、ふるさと納税の手続きはどうなるのか」「自治体に取り下げ連絡をしないといけないのか」


結論からいえば、ワンストップ特例を申請済みでも、その後に確定申告を行う場合は、ふるさと納税の控除も確定申告でやり直す必要があります。今回は、ワンストップ特例から確定申告へ切り替える場合の注意点をわかりやすく整理します。


1.ワンストップ特例制度とは

ふるさと納税のワンストップ特例制度は、給与所得者などで年末調整が済んでおり、かつ一定の要件を満たす場合に、確定申告をしなくても寄附金控除を受けられる制度です。

寄附先自治体が5団体以内であれば、確定申告不要で控除を受けられる制度とされています。


確定申告に慣れていない方にとっては非常に便利な制度であり、この仕組みの導入後、ふるさと納税の利用が大きく広がったことも資料で触れられています。


2.ワンストップ特例を申請していても、確定申告が必要になることがある

ワンストップ特例は便利ですが、その年に確定申告が不要であることが前提です。そのため、たとえば次のような事情が生じた場合は、確定申告が必要になることがあります。

  • 医療費控除を受けたい場合

  • 住宅ローン控除の初年度申告が必要な場合

  • 副業収入や雑所得がある場合

  • 2か所以上から給与を受けている場合

  • 事業所得や不動産所得などの申告が必要な場合


医療費控除や雑所得等の給与以外の所得の申告で確定申告を行なう必要があるケースが挙げられています。


つまり、ワンストップ特例を出した時点では問題がなくても、後から事情が変わることは十分あります。


3.確定申告をすると、ワンストップ特例は自動的に無効になる

ここが最も重要なポイントです。添付資料では、ワンストップ特例を申請した後に確定申告を行なう場合について、寄附した自治体に対して別途手続きをする必要はないとされています。


その理由は、確定申告をすると、ワンストップ特例申請は基本的に自動的に無効となるためです。つまり、

  • 自治体に「ワンストップを取り消します」と連絡する必要は原則ない

  • ただし、確定申告の中でふるさと納税分もきちんと申告し直す必要がある

ということです。


この点を誤解している方は少なくありません。「確定申告は医療費控除だけ書けばいい」と考えてしまうと、ふるさと納税分の控除が反映されず、結果的に損をしてしまうおそれがあります。


4.確定申告に切り替えるなら、寄附金受領証明書が必要

確定申告に切り替える場合、寄附を行なった自治体から送られてくる「寄附金受領証明書」を添付して申告しない限り、控除または還付は受けられないと示されています。


これは実務上非常に大切です。ワンストップ特例を申請した方の中には、「すでに自治体へ申請書を出しているのだから、証明書は不要だろう」と思う方もいます。しかし、確定申告に切り替える以上、寄附金控除は確定申告のルールで受け直すことになります。


そのため、次の点を確認しておく必要があります。

  • 寄附先ごとの受領証明書を保管しているか

  • 紛失していないか

  • すべての寄附先分がそろっているか


医療費控除や副業申告の準備に気を取られて、ふるさと納税の証明書を忘れるケースは実務上よくあります。


5.控除の受け方も変わる

ワンストップ特例と確定申告では、控除の反映のされ方も異なります。資料によれば、ワンストップ特例を申請した場合は、その控除額の全額が翌年度の住民税から控除されます。

これに対し、確定申告を選択した場合は、ふるさと納税を行なった年分の所得税からの控除または還付に加え、翌年度の住民税からも控除されます。


つまり、最終的な控除総額の考え方は同じでも、反映されるタイミングや内訳が変わるということです。


この違いを知らないと、確定申告後に住民税決定通知書を見て「ワンストップのときより住民税の控除額が減っている」と不安になることがあります。実際には、その一部が所得税の還付に回っているケースがあります。


6.実務でよくある誤解

① 確定申告をしてもワンストップ特例はそのまま有効だと思ってしまう

これは誤りです。資料では、確定申告をするとワンストップ特例申請は自動的に無効となるとされています。


② 自治体へ取消届を出さないといけないと思ってしまう

これも通常は不要です。特別な手続きは必要ないと整理されています。


③ 医療費控除だけ申告すればよいと思ってしまう

確定申告をするなら、ふるさと納税分も申告に載せる必要があります。載せなければ寄附金控除が反映されません。


④ 受領証明書がなくても大丈夫だと思ってしまう

資料では、寄附金受領証明書を添付して申告しない限り控除または還付は受けられないとされています。


7.ワンストップ特例から確定申告へ切り替えるときの実務ポイント

確定申告へ切り替える場合は、次の流れで確認するとスムーズです。


① まず、その年に確定申告が必要か確認する

医療費控除、副業所得、住宅ローン控除初年度など、そもそも確定申告が必要な事情があるかを確認します。


② ふるさと納税分も確定申告に含める

確定申告をするなら、ワンストップ特例は使わず、寄附金控除として申告書に反映します。


③ 寄附金受領証明書を準備する

寄附先自治体から届いた証明書を整理し、不足があれば早めに確認します。


④ 住民税だけでなく所得税にも反映されることを理解する

ワンストップ特例時と控除の出方が変わるため、還付額や住民税通知の見方にも注意が必要です。


まとめ

ふるさと納税でワンストップ特例を申請した後でも、医療費控除や副業所得などにより確定申告が必要になった場合は、原則として確定申告に切り替えることになります。この場合、ワンストップ特例は基本的に自動的に無効となるため、自治体へ別途手続きをする必要はありません。 


ただし、確定申告で寄附金控除を受けるには、寄附金受領証明書を用意して、ふるさと納税分も忘れず申告書に反映する必要があります。また、ワンストップ特例では控除額の全額が翌年度住民税から差し引かれる一方、確定申告ではその年分の所得税の控除または還付と翌年度住民税控除に分かれる点も押さえておきたいポイントです。


ふるさと納税は手軽に見えて、確定申告が絡むと処理を間違えやすい分野です。

ワンストップ特例を出していたとしても、確定申告が必要になった時点で、ふるさと納税も含めて申告全体を見直すことが大切です。

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