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ファイナンス・リースの判定

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 3 時間前
  • 読了時間: 3分

おはようございます!代表の安田です。


新リース会計基準の導入により、リースとサービス部分を区分して会計処理するケースが増えています。しかし、税務上のファイナンス・リース(FL)判定では、従来と異なる注意点が生じています。

今回は、特に実務で判断が難しいフルペイアウト要件の判定方法についてわかりやすく解説します。


1.会計基準では「リース部分」と「サービス部分」に区分が原則

新リース会計基準では、契約にリースとサービスが混在する場合、次のように会計処理します。

  • リースを構成する部分

  • リースを構成しない部分(サービス部分)

契約対価は、それぞれの独立価格の比率に応じて配分します。

ただし借手は、あえて区分せず「全体をリース部分」として処理する選択も可能です。


2.税務上のFL判定も「区分後のリース部分」で判定する

税務上、ファイナンス・リース取引は、

  • 解約不能要件

  • フルペイアウト要件

の両方を満たした場合に該当します(法人税法64の2)。

会計で区分している場合は、税務でも区分後の「リース部分」の金額でFL判定を行なうことになります。


3.フルペイアウト要件とは?

フルペイアウト要件は、「リース料総額が資産の通常取得価額の概ね90%を超えるかどうか」で判定します。(法人税法64の2③、法令131の2②)

ここでポイントとなるのが、維持管理費相当額を控除するか否かです。


4.維持管理費相当額を控除しないのが新ルール

(ここが実務上の重要ポイント!)

カーリースなどの契約書には、

  • リース料

  • 固定資産税

  • 保険料

などが個別に明記されているケースが多くあります。

旧リース会計基準では、維持管理費相当額をリース料から控除して判定する考え方もありました。しかし、新リース会計基準では維持管理費相当額は対価から控除せず、「リース部分」へ配分する。よって、フルペイアウト要件判定でも控除しないこととなります。


つまり、リース料に維持管理費が含まれていても、そのままの金額で判定するというのが新しい整理です。


結果として、FL判定において「リース料総額」が大きく算出されやすくなり、FL判定に該当しやすくなる傾向があります。


5.区分しない会計処理を選択した場合はどうなる?

借手が会計上「リースとサービス部分を区分しない」処理を選んだ場合、税務上も契約全体の金額(区分前の金額)で判定します。


したがって:

● 会計で区分する → 区分後の「リース部分」でFL判定

● 会計で区分しない → 契約全体でFL判定

実務上は「会計方針」がFL判定に直結します。


6.実務で想定される例

ケース1:カーリース

  • リース料:月額50,000円

  • 固定資産税・自動車保険料:月額10,000円(別記)

  • 資産の通常取得価額:300万円


旧基準:50,000円のみで比較する場合あり

新基準:60,000円で比較(維持管理費も含む)→ FLに該当する可能性が高まる


7.公認会計士・税理士からのまとめとアドバイス

特に次の点に注意が必要です。

  • 会計で区分する場合、区分後の「リース部分」でFL判定

  • 維持管理費相当額は控除せず判定する

  • 会計で区分しない場合は契約全体で判定

  • 結果としてFL判定に該当しやすくなるケースが増える


FL判定に該当すると、税務上は「リース資産」を計上したうえで、リース期間での減価償却が必要になります。


会計と税務のズレが生じやすいため、初年度の契約分析と会計方針の選択が非常に重要です。リース契約の税務判断で迷われる方は、ぜひ当事務所にご相談ください。



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