中小経営強化税制「A類型」は新指標に要注意
- 安田 亮
- 1 日前
- 読了時間: 3分
おはようございます!代表の安田です。
令和7年度税制改正により、中小企業経営強化税制が大きく見直されました。
建物を対象とするE類型の新設が注目されがちですが、実務上特に注意が必要なのが、既存のA類型(生産性向上設備)における「生産性向上指標」の変更です。
従来の感覚で判定すると、要件を満たしていると思っていた設備が、実は対象外となる可能性もあるため、慎重な確認が求められます。
1.中小経営強化税制(A類型)のおさらい
中小経営強化税制とは、中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」の認定を受け、その計画に基づいて新品の対象設備を取得・事業供用した場合に、
即時償却または
税額控除(取得価額の10%/資本金3,000万円超は7%)
を選択適用できる制度です(措法42の12の4)。
このうち A類型は、機械装置・ソフトウエア等の生産性向上設備が対象となります。
2.A類型の基本要件は「2つ」
A類型の対象設備となるためには、次の2要件を満たす必要があります。
①モデル要件:一定期間内に販売開始された最新モデル等であること
②生産性向上要件:旧モデルと比較して、生産性が年平均1%以上向上していること
今回の改正は、この②「生産性向上要件」の判定指標に関するものです。
3.生産性向上指標が「3つ」に明確化
改正前は、「生産効率、精度、エネルギー効率等」とやや抽象的な表現でした。
これが改正後は、次の 3つの具体的指標 に整理されています。
① 単位時間当たり生産量
② 歩留まり率
③ 投入コスト削減率
実務上は、メーカーから取得する「工業会等証明書」において、これらの指標のいずれかが用いられることになります。
4.【重要】3指標は「合算不可」:どれか1つで年平均1%以上が必要
ここが最も重要なポイントです。
生産性向上要件の「旧モデル比・年平均1%以上」 については、①~③の合計で1%以上では足りず、いずれか1つの指標が単独で年平均1%以上向上している必要があります。
例えば、
単位時間当たり生産量:+0.5%
歩留まり率:0%
投入コスト削減率:+0.5%
→ 合計では1%向上しているものの、単独で1%以上の指標がないため、要件不充足となります。この点は、中小企業庁のQ&Aでも明確にされています。
5.具体的指標の内容はQ&Aで要確認
令和7年11月14日に更新された中小企業庁「中小企業経営強化税制Q&A集」では、
単位時間当たり生産量
歩留まり率
投入コスト削減率
それぞれについて、どのような数値・比較方法が想定されているか具体例が示されています。
設備投資の検討段階で、メーカー任せにせず、事前に指標内容を確認することが重要です。
税理士の視点:実務で気を付けたいポイント
A類型は「新指標」での再チェックが必須
生産性向上は“感覚”ではなく“数値”で判定
合算不可のため、証明書の記載内容が決定的
設備取得後では修正がきかないケースも多い
特に、申請前の段階で要件を満たすかどうかの確認が税務リスク回避の最大のポイントとなります。
まとめ
令和7年度改正により、中小経営強化税制A類型の「生産性向上要件」はより明確かつ厳密になりました。
指標は3つ
合算は不可
1指標で年平均1%以上が必要
という点を正しく理解していないと、税額控除や即時償却が否認されるリスクがあります。
当事務所では、
中小経営強化税制の適用可否判断
経営力向上計画の作成支援
設備投資前の税務シミュレーション
まで一体的にサポートしています。
設備投資をご検討中の方は、ぜひ事前にご相談ください。




コメント