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令和7年度改正を踏まえた年末調整の重要ポイント

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 7 日前
  • 読了時間: 4分

おはようございます!代表の安田です。


令和7年(2025年)の年末調整は、例年に比べて「改正項目が非常に多い」ことが特徴です。扶養控除・基礎控除・給与所得控除・特定親族特別控除など、複数の制度が同時に改正されており、企業の人事労務・経理担当者にとって要注意ポイントが多い年といえます。


特に従業員側の申告書記載ミスが想定される部分も多く、事前の確認・周知がこれまで以上に重要になります。


本日は実務で押さえるべき主要ポイントを整理して解説します。


1.扶養控除の判定が大きく変わる

特定扶養親族と特定親族(特別控除)の混同に注意!

記事では冒頭から、以下の誤りが典型例として挙げられています。

扶養控除の特定扶養親族として書かれた子を、特定親族特別控除の欄にも二重で記載してしまうケース

これは今年の制度改正が原因です。


● 特定扶養親族(扶養控除枠)

  • 年齢:19歳以上23歳未満

  • 合計所得金額:58万円以下(給与収入 123万円以下)


● 特定親族(特定親族特別控除枠)

  • 年齢:同じく19歳以上23歳未満

  • 合計所得金額:58万円超 123万円以下(給与収入 123万円超 188万円以下)


【実務対応】

  • 従業員本人に どちらの区分に該当するかを必ず確認

  • 記載誤りがあれば二重線修正または申告書再提出

  • 特定親族に該当するなら、扶養控除等申告書は「異動」として補正

年末調整時に最も混乱が予想される部分です。


2.基礎控除が5区分に細分化

58万円〜95万円へ拡大、従業員の記載ミスに注意

従来48万円で一律だった基礎控除が、令和7年分から5区分(58万〜95万円)に分かれるようになりました。合計所得金額の記載が必須であり、記載が誤っていれば控除額も誤るため注意が必要です。


担当者は、

  • 所得見積額欄の未記載

  • 控除額の誤記載がないか必ずチェックすべきです。


3.給与所得控除も改正 ― 新しい年末調整金額表を使用

給与所得控除の最低保障額が55万円 → 65万円へ引き上げとなりました。

これに伴い、「給与所得控除後の給与等の金額表」が改正されているため、令和7年分の新しい表を必ず使用することが求められます。


また、配偶者控除・配偶者特別控除の判定にも影響するため、夫婦双方の所得確認にも注意が必要です。


4.特定親族特別控除の創設

令和7年度改正の目玉ともいえる制度です。

● 特定親族特別控除

  • 対象:特定扶養親族に該当しない 19〜23 歳

  • 所得要件:58万円超 123万円以下

  • 控除額:最大63万円(所得に応じ逓減)


従業員が 誤って特定扶養親族と特定親族の両方に記載する可能性が高いことから、企業側での確認が必須です。


5.扶養親族等の所得要件引き上げ

合計所得金額が50万円で従来対象外だったが、今年から対象になるケースの増加が見込まれています。


年末調整時に対象者が増えるため、従業員への周知と確認が必要です。


6.改正の適用時期に注意

令和7年12月1日以前に退職・出国した従業員について年末調整を行なうケース(年内の再就職が見込まれないケース)では、旧制度で年末調整を行なう必要があります。


その従業員が改正後制度の適用を受けたい場合は、本人が確定申告で対応することになります。


7.マイカー通勤手当の非課税限度引上げの精算も必要

4月以後の課税済み通勤手当は年末調整で非課税枠を再判定し精算が必要です。


8.令和8年分の扶養控除等申告書の変更点

・「源泉控除対象親族」欄が新設

令和8年分の扶養控除等申告書には新しく源泉控除対象親族の記載欄が追加されています。


源泉控除対象親族とは:

  • 控除対象扶養親族

  • または特定親族のうち、合計所得金額100万円以下の者(給与収入165万円以下)

特定親族の所得上限(123万円以下)とは異なるため注意が必要です。


税理士からのコメント

今年の年末調整は、制度改正が多く例年の倍の確認ポイントが存在します。

特に、

  • 扶養区分の判定(特定扶養親族・特定親族)

  • 基礎控除の細分化

  • 新しい給与所得控除額

  • 通勤手当の非課税限度

  • 来年申告書の「源泉控除対象親族」欄追加

これらは従業員の誤記載が発生しやすく、担当者側でのチェックが不可欠です。




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