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令和8年度税制改正大綱

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 5 日前
  • 読了時間: 3分

おはようございます!代表の安田です。


2025年12月、自民党と日本維新の会は令和8年度与党税制改正大綱 を決定する方針を示しました。


今回の大綱は、

  • インボイス制度の経過措置の見直し・延長

  • 大胆な設備投資促進税制の創設

  • 所得税の基礎控除等の引上げ

  • 相続税・消費税・地方税まで幅広い改正

と、企業・個人の双方に影響する内容となっています。


本記事では、税理士の立場から 実務への影響が大きいポイント を中心に整理します。


1.インボイス制度:経過措置は「段階的縮小+延長」へ

●小規模事業者向け「2割特例」の見直し

令和8年9月末までの予定だった 2割特例 について、新たに 令和9年・令和10年を対象とする特例措置が創設されます。

具体的には、一定の個人事業者について、納付税額を売上税額の3割に抑える措置(7割控除) が講じられます。

これにより、インボイス登録後の急激な税負担増を緩和する狙いがあります。


●8割控除等(免税事業者からの仕入れ)の延長と縮小

免税事業者等からの課税仕入れに係る控除割合は、段階的に縮小しつつ、適用期限が延長されます。

期間

控除可能割合

R8.10.1~R10.9.30

70%

R10.10.1~R12.9.30

50%

R12.10.1~R13.9.30

30%

※ただし、年間仕入額が 1億円超の部分は適用不可となる点に注意が必要です。


2.法人税:大型の「設備投資促進税制」を新設

●特定生産性向上設備等投資促進税制(新設)

一定規模以上の設備投資を行なう法人について、

  • 即時償却または

  • 税額控除(原則7%、建物等は4%)

を選択適用できる新税制が創設されます。

対象となる設備は、機械装置・建物・ソフトウェア等の幅広い資産で、経済産業大臣の確認を受けた投資計画が必要です。


大企業だけでなく、中小企業向けの基準も設けられており、戦略的な設備投資を後押しする制度といえます。


●研究開発税制の強化

重点研究開発計画の認定を受けた法人については、試験研究費の40%税額控除(上限10%)など、より強力なインセンティブが導入されます。


3.所得税:基礎控除・非課税枠の引上げ

●基礎控除等の引上げ(物価連動)

令和8年分以後の所得税について、基礎控除等の額が引き上げられます。

あわせて、

  • 自動車通勤手当の非課税限度額の引上げ

  • 食事支給の非課税限度額(月7,500円)への引上げ

など、実生活に直結する改正が盛り込まれています。


●高所得者への負担強化

基準所得金額が1億6,500万円超の場合、税率を30%に引き上げるなど、高所得層への負担調整も行なわれます。


4.相続税・資産税:貸付用不動産の評価見直し

相続開始前 5年以内に取得・新築した貸付用不動産については、通常の取引価額を基に評価する仕組みに見直されます。

従来の評価方法を前提にした相続対策の有効性が変わる可能性があるため、不動産を活用した相続対策は再検討が必要です。


5.地方税:償却資産の免税点引上げ

固定資産税について、

  • 家屋:30万円

  • 償却資産:180万円

へ免税点が引き上げられ、中小企業の税負担軽減が図られます(令和9年度以後)。


税理士の視点:今から準備すべきこと

  • インボイス経過措置の「延命」を前提にしすぎない

  • 設備投資・研究開発は税制とセットで検討

  • 相続・不動産対策は新評価ルールを踏まえて再設計

  • 個人事業者は消費税・所得税の同時見直しが重要


まとめ

令和8年度税制改正大綱は、物価高・賃上げ・投資促進・インボイス対応といった現下の経済課題を色濃く反映した内容となっています。特に、

  • インボイス制度の経過措置

  • 新たな設備投資税制

  • 相続税の評価方法見直し

は、事前対応の有無で税負担が大きく変わる可能性があります。

当事務所では、

  • 税制改正を踏まえた影響分析

  • 設備投資・消費税・相続対策の見直し

  • 個人・法人を横断した税務アドバイス

を行なっています。「今回の改正で自社・ご自身はどう変わるのか?」と感じた方は、ぜひお気軽にご相談ください。



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