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個人株主による株主提案が増加中

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 2 日前
  • 読了時間: 2分

おはようございます!代表の安田です。


近年、株主総会のあり方が静かに変わりつつあります。これまでアクティビストや機関投資家が主導していた「株主提案」に、個人株主の存在感が急上昇しています。

背景には、投資単位の引き下げや株式分割の促進により、個人投資家が議決権を取得しやすくなったことが挙げられます。


■ 株主提案権とは?

「株主提案権」とは、議決権総数の1%以上、または300個以上の議決権を6カ月以上継続保有している株主が行使できる法的権利です。これにより、株主は株主総会に議案を提出することが可能になります。

例えば、

  • 定款変更

  • 取締役の選解任

  • 配当政策の変更など、多岐にわたる内容を議題として企業に求めることができます。


■ なぜ今、個人株主の提案が増えているのか?

現在、東証を中心に「投資単位の引き下げ」(例:最低単元を100株へ)を進めており、これに加えて企業側も株式分割を積極的に実施。結果として、議決権数の要件を満たしやすくなり、個人株主でも提案権を行使できる環境が整ってきました。

これまでは「ハードルが高い」と思われていた株主提案が、個人投資家にも現実的な選択肢になりつつあります。


■ 提案増加の光と影

メリット:

  • 企業経営に多様な意見を反映できる

  • 投資家との建設的対話のきっかけになる

  • コーポレートガバナンス強化に資する

懸念点:

  • 提案内容が経営の本質と乖離するケースも

  • 提出議案数に法的上限はあるが、議題の記載拒否ができない

  • 対応のための事務・法務コストが増加

現行制度下では、企業はすべての提案議案を株主総会資料に記載しなければならず、準備作業に大きな負担がかかっています。


■ 海外との違いと制度見直しの動き

たとえば米国では、株主はSEC(証券取引委員会)を通じて提案を提出し、一定の基準に合致しないものは「排除」される仕組みが存在します。

これに対し日本では、株主提案の掲載を拒否できる明確な制度がなく、企業側の負担が増しているのが実情です。

現在、法務省の法制審議会では、提案権の要件見直しや、場合によっては株主総会の開催を省略できる制度などが検討されています。


■ まとめ:企業は備えと対話の体制整備を

株主提案の活発化は、企業にとってリスクであると同時に、透明性・対話力を示す好機でもあります。対応のためには、

  • 提案受領から審査・公表までの社内フロー整備

  • IR部門・法務部門との連携強化

  • 株主との誠実なコミュニケーション

といった多面的な対応力が求められます。



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