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取適法が施行、勧告を受けると賃上げ税制が使えない?

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 2 時間前
  • 読了時間: 3分

おはようございます!代表の安田です。


令和8年1月1日から、中小受託取引適正化法(いわゆる「取適法」)が施行されました。

これは、従来の下請法を見直し、取引の適正化を一層進めることを目的とした法改正です。


一方で、企業実務において見落とされがちなのが、取適法違反による「勧告」を受けると、賃上げ促進税制を適用できなくなる可能性があるという点です。


本記事では、取適法の概要と、賃上げ促進税制との関係、実際にあった勧告事例を踏まえた注意点について、税理士の立場から解説します。


賃上げ促進税制と「パートナーシップ構築宣言」の関係

賃上げ促進税制には、

  • 全企業向け

  • 中堅企業向け

などの区分があり、一定の賃上げ要件を満たす法人が税額控除等を受けられる制度です。

このうち、一定規模以上の企業が税制を適用するためには、「パートナーシップ構築宣言」を公表していることが要件となります。


ところが、この宣言を行っている企業が、取適法(旧下請法)に違反して勧告を受けた場合、宣言の掲載が取りやめられることがあります。


その結果、賃上げ要件を満たしていても、賃上げ促進税制を適用できなくなるという事態が生じます。


取適法とは?下請法からの主な変更点

取適法は、令和8年1月1日から施行された、中小事業者との取引の適正化を目的とする法律です。

従来の下請法と比べ、次のような点が見直されています。


  • 適用基準に「常時使用する従業員数」が追加

  • 新たに「特定運送委託」を対象取引に追加

  • 協議に応じない一方的な代金決定の禁止

  • 手形払等の禁止

  • 不当な代金減額時の遅延利息の支払義務化


取引慣行として行なわれてきた対応が、法令違反に該当するリスクが高まっている点に注意が必要です。


実際にあった主な勧告事例(下請法時代)

取適法施行前の下請法に基づくものですが、令和7年度には、勧告によりパートナーシップ構築宣言が取りやめられた企業が複数存在します。


①下請代金の減額

振込手数料名目などで、発注後に下請代金を実質的に減額していたケース。


②不当な返品

受入検査を行わず、瑕疵を理由に返品し、送料まで下請事業者に負担させていたケース。


③単価の据置き(買いたたき)

発注数量が減りコストが上昇しているにもかかわらず、下請事業者と協議せずに量産時の単価を据え置いたケース。※令和7年度に初めて勧告が出された事例です。


④不当な経済上の利益の提供要請

金型等を無償で長期間保管させていたケース。


なぜ税務にも影響するのか?

取適法や下請法は、一見すると税務とは無関係の法令に見えます。しかし実際には、


  • 勧告 → パートナーシップ構築宣言の取消

  • 宣言取消 → 賃上げ促進税制が使えない


という形で、法人税の計算に直接影響します。


「賃上げをしていれば税制は使える」と思い込んでいると、思わぬ税務リスクにつながる可能性があります。


企業が今すぐ確認すべきポイント

企業としては、次の点を改めて確認しておくことが重要です。


  • 自社が取適法の適用対象となるか

  • 下請・委託先との取引条件が一方的になっていないか

  • 単価改定について協議の実態があるか

  • パートナーシップ構築宣言の掲載状況


特に、賃上げ促進税制の適用を予定している企業は要注意です。


まとめ|賃上げ税制を守るためにも取引慣行の見直しを

取適法の施行により、取引適正化と税制優遇がこれまで以上に強く結び付く時代になっています。

賃上げ促進税制を確実に適用するためには、

  • 賃上げの実施

  • 適正な取引慣行の維持

  • 法令違反による勧告を受けない体制づくり

が不可欠です。


取適法への対応や、賃上げ促進税制の適用可否について不安がある場合は、税務だけでなく制度全体を見据えた対応が可能な税理士へ、早めに相談することをおすすめします。



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