変更契約書に貼る印紙税額
- 安田 亮
- 1 日前
- 読了時間: 3分
おはようございます!代表の安田です。
契約の変更を行なう際に作成する「変更契約書」。これにかかる印紙税の課税関係について、実務では迷う場面が多いのではないでしょうか。特に、工期などの条件だけが変更され、請負代金が変わらない場合、「印紙はいくら分貼ればいいの?」という疑問が生じます。
今回は、このようなケースに対して、実際の税務相談事例をもとにその考え方をわかりやすく解説します。
◆ ケーススタディ:変更後も請負金額は同額
ある建設会社(乙建設)が、物流会社(甲物流)から設備更新工事を受注し、その工期延長のために「変更注文請書」を提出することになりました。
この請書には、
変更前の契約金額
変更後の契約金額
変更金額(差額)
の3項目が記載されていますが、今回は工期のみの変更で金額は同じ(差額0円)です。
このようなとき、果たして貼るべき印紙の額面は?
◆ 印紙税法における「記載金額」とは?
印紙税法では、「請負に関する契約書(第2号文書)」について、記載金額に応じて印紙税額が決まります。変更契約書における「記載金額」は、次のルールで判断されます。
【基本ルール】
変更後の契約金額が記載されていれば、それが記載金額となります(例:旧契約1,000万円→変更後1,100万円→記載金額1,100万円)。
変更金額(増額分や減額分)のみ記載されている場合は、その金額が記載金額となります(例:100万円増額と明記→記載金額100万円)。
【特例ルール】
一方で、変更契約書に「旧契約の存在」が明らかであり、かつ「変更金額の差額」が記載されている場合、
増額の場合:差額が記載金額
減額の場合:記載金額なし(=200円印紙)
となる特例も存在します。
◆ 工期変更のみの場合は「記載金額なし」扱い
今回の事例では、金額に変更がなく「差額0円」と記載されています。契約番号等から旧契約が明確に特定でき、また変更契約書の内容が「工期延長に関する事項」に限られているため、これは「記載金額なし」の第2号文書として扱われます。
つまり、貼付すべき印紙は200円です。
◆ 実務上のポイント
変更契約書に記載する金額が「変更前」「変更後」「差額」いずれかのみでも、その組み合わせによって記載金額の取扱いは異なります。
「記載金額なし」であっても、第2号文書である以上、非課税とはならず200円の印紙が必要です。
工事番号や契約番号等により、元契約が明確にひもづけられていれば、特例ルールが適用可能です。
◆ まとめ
変更契約書における印紙税の判定は、契約の「金額の変更有無」と「文書上の記載内容」によって変わってきます。形式的に同じような文書であっても、記載のしかた次第で税額が異なるため、注意が必要です。
