子どもが扶養から外れても控除がゼロにならない
- 安田 亮
- 3 時間前
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おはようございます!代表の安田です。
年末調整の季節になると、毎年話題になるのが「大学生の子どものアルバイト収入、どこまで稼いでいいの?」 という問題です。
これまでは、扶養控除を維持するために、親が「扶養内におさえてね」と子に働き控えを促すケースが多く見られました。
しかし 令和7年度税制改正 により、今年からは状況が大きく変わります。
✔ 子が扶養から外れても
✔ 一定の所得範囲であれば
✔ 新設された『特定親族特別控除』が適用されるケースがある
この場合、親は最大63万円(従来の扶養控除と同額)の控除を受けられます。
この記事では、大学生の子を持つ家庭や、企業の年末調整担当者が知っておきたい新制度のポイントをわかりやすく解説します。
1.まずは従来の「特定扶養親族」の所得基準が10万円UP
12月1日以後の年末調整から適用される基準は以下のとおりです。
◆ 特定扶養親族(従来の扶養内)の要件
年齢:19歳以上23歳未満
合計所得金額:58万円以下(給与収入のみだと:123万円以下)
親と生計一(※仕送りなどでOK)
令和7年度改正により所得要件は48万円 → 58万円へ10万円引き上げられました。
これにより、扶養を維持できる家庭が増える見込みです。
2.扶養から外れても「特定親族特別控除」が使える!
子が特定扶養親族に該当しなくても、一定の所得範囲であれば『特定親族』に該当します。
◆ 特定親族の要件
年齢:19歳以上23歳未満
合計所得金額:58万円超〜123万円以下(給与収入のみだと:123万円超〜188万円以下)
親と生計一
この場合、親は新設された『特定親族特別控除』の適用を受けられます。控除額は所得に応じて 63万円〜3万円。上限の63万円は従来の扶養控除額と同じです。
3.【実例】アルバイト収入が増えても控除額ゼロにはならない!
具体例を見てみましょう。
◆ 事例
従業員Xが、子A(大学生)を「特定扶養親族」として申告していた。しかし子Aの令和7年の合計所得金額が 70万円 になった場合:
所得70万円 → 58万円超のため扶養から外れる
しかし70万円 ≤ 123万円 → 特定親族に該当
◆ 親の対応
年末調整で「扶養控除から外れる」旨の異動申告書を提出
子Aを特定親族として記載した 特定親族特別控除申告書 を勤務先へ提出
➡ 結果:63万円の特定親族特別控除が適用可能
つまり、扶養から外れたからといって控除がゼロになるわけではありません。
4.企業の年末調整担当者が注意すべきポイント
✔ 扶養控除等申告書の「異動」欄の確認
子の所得が増えた従業員から異動届が提出されるケースがあります。
✔ 新設の「特定親族特別控除申告書」の導入
従業員が提出した場合、控除額の計算・適用が必要。
✔ 所得判定は「合計所得金額」で判断
※給与収入ではなく「所得」である点に注意。
5.税理士からのコメント
これまで「子どもが扶養から外れると控除がなくなる」という理由でアルバイト収入を抑えていた家庭も多く存在しました。
しかし今年からは、収入が増えて扶養から外れても、親が控除を全く受けられないという事態を避けられる ようになっています。
企業の年末調整担当者にとっても、従来の「扶養の判定」だけでなく、特定親族特別控除の判定・申告書管理が新たな実務ポイントとなります。
制度の理解が不十分だと
控除漏れ
誤った扶養判定
従業員からの問い合わせ増加
につながるため、早めの社内周知をおすすめします。



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