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手形・小切手の交換廃止はいつ?2026年9月末までに企業が対応すべきポイント

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 1 日前
  • 読了時間: 7分

こんばんは!代表の安田です。


紙の手形・小切手を利用している企業にとって、決済手段の見直しは待ったなしの状況になっています。


全国銀行協会は、電子交換所における手形・小切手の交換廃止時期を2027年3月31日とすることを明確化しました。これにより、2027年4月以降は、これまでと同じように金融機関間で手形・小切手を交換し、決済する仕組みが使えなくなっていきます。


一見すると「まだ2027年3月まで時間がある」と感じるかもしれません。しかし、実務上はもっと早い対応が必要です。多くの金融機関では、紙の手形・小切手の最終振出期限を2026年9月30日に設定しています。


つまり、実質的には2026年9月末までに、取引先との支払方法や回収方法を見直しておく必要があります。


本日は公認会計士の視点から、手形・小切手の交換廃止が迫る今、企業が対応すべきポイントを解説します。


手形・小切手の交換廃止とは?

手形や小切手は、商取引の代金決済に使われてきた伝統的な支払手段です。企業が手形や小切手を振り出し、受け取った側が金融機関に取立てを依頼すると、金融機関間で手形・小切手の情報をやり取りして決済が行われます。


現在は、紙そのものを物理的に交換するのではなく、電子交換所を通じて手形・小切手のイメージデータを送受信する形で処理されています。


しかし、紙の手形・小切手は、発行、郵送、保管、取立て、印紙税、紛失リスクなど、企業・金融機関の双方に事務負担やコストが発生します。そのため、政府方針や金融界の取組みにより、手形・小切手機能の全面的な電子化が進められてきました。


今回、電子交換所における手形・小切手の交換廃止時期が2027年3月31日と明確化されたことで、紙の手形・小切手から、でんさいやインターネットバンキングによる振込などへの移行が本格的に求められることになります。


重要なのは「2027年3月」ではなく「2026年9月」

制度上の廃止時期だけを見ると、2027年3月31日まで猶予があるように見えます。

しかし、多くの金融機関では、紙の手形・小切手の最終振出期限を2026年9月30日に設定しています。最終振出期限を過ぎて振り出された手形・小切手については、原則として当座勘定からの支払ができなくなる可能性があります。

そのため、経理実務では「2027年3月までに対応すればよい」と考えるのではなく、2026年9月末までに取引先との支払・回収方法を切り替えるというスケジュール感で動く必要があります。

特に、次のような企業は早めの確認が必要です。

  • 仕入先への支払いに手形を使っている

  • 得意先から手形や小切手で回収している

  • 当座預金、小切手帳、手形帳を利用している

  • 長期サイトの支払いが多い

  • 建設業、製造業、卸売業など、手形取引が残っている業種に該当する


企業が検討すべき代替手段

紙の手形・小切手に代わる主な決済手段としては、次のようなものがあります。


1. でんさい

でんさいは、株式会社全銀電子債権ネットワークが提供する電子記録債権です。紙の手形に近い機能を持ちながら、電子的に発生・譲渡・決済ができる仕組みです。

紙の手形と異なり、紛失や盗難のリスクがなく、保管や郵送の手間も削減できます。また、印紙税がかからない点もメリットです。

一方で、利用には金融機関での手続きや社内ルールの整備が必要です。取引先もでんさいに対応している必要があるため、導入する場合は相手先との調整が欠かせません。


2. インターネットバンキングによる振込

小切手や短期決済の代替としては、インターネットバンキングによる振込への移行が現実的です。

支払日、振込手数料、資金繰り、振込承認フローなどを整理すれば、紙の小切手よりもスムーズに運用できるケースが多いでしょう。

ただし、振込に切り替えることで、支払サイトが短くなる場合があります。資金繰りへの影響を事前に確認しておくことが重要です。


3. 口座振替・自動引落し

継続的な取引や定期的な支払いについては、口座振替や自動引落しも選択肢になります。家賃、リース料、保守料、会費など、毎月定額または定期的に発生する支払いに向いています。経理処理を効率化しやすい一方で、契約変更や口座登録に時間がかかることがあります。


経理担当者が早めに確認すべき実務ポイント

手形・小切手の利用廃止に向けて、企業の経理担当者は次の点を確認しておく必要があります。


1. 現在の利用状況を洗い出す

まずは、自社が手形・小切手をどの程度利用しているかを把握しましょう。

確認すべき項目は、たとえば次のとおりです。

・支払手形の振出先・受取手形の回収先・小切手の利用場面・月ごとの利用件数と金額・支払サイト、回収サイト・当座預金の利用状況・手形帳、小切手帳の残数

特に、取引先ごとの支払条件・回収条件を一覧化しておくと、その後の交渉や社内検討が進めやすくなります。


2. 取引先と支払方法を協議する

自社だけが決済手段を変更したくても、取引先が対応できなければスムーズに移行できません。

支払側・受取側の双方で、次のような点を確認する必要があります。

  • でんさいに対応しているか

  • 振込への変更が可能か

  • 支払サイトをどうするか

  • 振込手数料をどちらが負担するか

  • 請求書や支払通知書の運用をどう変えるか


特に、手形から振込に変更する場合、実質的に資金回収が早くなる側と、資金支出が早くなる側が出てきます。単なる事務手続きの変更ではなく、資金繰り条件の変更として慎重に検討する必要があります。


3. 社内規程や承認フローを見直す

手形・小切手を廃止し、でんさいやインターネットバンキングへ移行すると、社内の承認フローも変わります。


たとえば、これまで紙の小切手に押印していた会社では、インターネットバンキングの承認権限やワンタイムパスワードの管理、振込データの作成・承認・実行の分担を明確にする必要があります。


電子化により便利になる一方で、不正送金や誤送金のリスクもあります。担当者任せにせず、権限設定、ダブルチェック、承認履歴の保存など、内部統制の観点からも整備しておくべきです。


4. 資金繰りへの影響を確認する

手形取引を振込に切り替えると、支払日や回収日が変わる可能性があります。

たとえば、これまで支払手形で数か月後に決済していたものを振込に変更すると、支払いが前倒しになることがあります。反対に、受取手形を早期に現金化していた企業では、回収条件の変更により資金繰りに影響が出ることもあります。

そのため、単に「手形をやめる」という話ではなく、資金繰り表に反映して影響額を確認しておくことが大切です。


中小企業こそ早めの対応が必要

手形・小切手の廃止対応は、大企業だけの問題ではありません。むしろ、経理担当者が少ない中小企業ほど、早めの準備が重要です。


取引先への確認、金融機関への相談、でんさいの利用申込み、インターネットバンキングの権限設定、社内ルールの変更など、実際に進めてみると意外に時間がかかります。


また、取引先の都合により、すぐに希望どおりの決済手段へ切り替えられないこともあります。2026年9月末の最終振出期限が近づいてから慌てるのではなく、今のうちから取引先別に対応方針を整理しておくことが望ましいでしょう。


まとめ

電子交換所における紙の手形・小切手の交換は、2027年3月31日に廃止される予定です。ただし、多くの金融機関では、紙の手形・小切手の最終振出期限を2026年9月30日に設定しています。


そのため、企業実務では、2026年9月末までに手形・小切手から、でんさい、インターネットバンキングによる振込、口座振替などの代替手段へ移行することが重要です。


手形・小切手の廃止は、単なる支払方法の変更ではありません。取引条件、資金繰り、社内承認フロー、内部統制にも関わる重要なテーマです。


現在も手形・小切手を利用している企業は、まず自社の利用状況を洗い出し、取引先や金融機関と早めに相談を始めることをおすすめします。

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