接待を受けるための旅費は交際費? 取引先主催の懇親会に参加する費用を税理士が解説
- 安田 亮
- 3 時間前
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おはようございます!代表の安田です。
取引先との関係を深めるため、懇親会や祝賀会、開店記念パーティーなどに役員や従業員が参加することは珍しくありません。その際、会社では参加者の交通費や宿泊費、タクシー代などを負担することがあります。
ここで経理担当者が迷いやすいのが、その費用を交際費等として処理すべきかどうかです。
特に、次のような疑問は実務でよく出てきます。
取引先が主催する懇親会に参加するための旅費は交際費なのか
自社が接待したわけではなく、接待を受けに行った場合でも交際費になるのか
懇親会に持参した手土産代はどう扱うのか
少人数の会食で、どちらが主催か曖昧な場合はどう判断するのか
交際費等は損金算入制限があるため、処理を誤ると法人税の申告にも影響します。
今回は、接待を受けるために支出する旅費等は交際費等に該当するのかについて、税理士の視点からわかりやすく解説します。
1.交際費等は「何のための支出か」が重要
法人税の実務では、取引先との飲食、贈答、接待、供応などに関する支出は、まず交際費等に該当するかを確認します。
ただし、単に懇親会や接待に関連する費用だからといって、すべてを交際費等に含めるのではなく、誰が主体となって接待を行なっているのかを確認することが重要だと整理されています。
つまり、費用の名目だけではなく、その支出が自社による接待のためのものなのか、他社から接待を受けるためのものなのかを見分ける必要があります。
2.取引先主催の懇親会に参加する旅費は交際費等ではない
取引先が主催する懇親会に自社の役員や従業員が出席するための往復旅費について、「接待を受けるための費用」であり、自社が得意先に対して接待を行なうための支出ではないため、交際費等には該当しないと整理されています。
たとえば、取引先が新店舗を開店し、その記念懇親会を主催したとします。自社は招待を受け、役員が参加するための交通費だけを負担した場合、その交通費は取引先による接待を受けるための支出です。この場合、自社が相手方を接待しているわけではないため、交際費等に含める必要はないという考え方になります。
3.「懇親会に関係する費用」でも結論は分かれる
実務では、懇親会に関連して発生した費用をすべて交際費等として処理する会社もあります。たしかに、「懇親会に関する費用」という意味では、交際費等に近いようにも見えます。
しかし、取引先が主催する懇親会に参加するための旅費について、懇親会に関連する費用であっても、自社が接待を行なうための支出ではないという点を重視しています。
したがって、経費精算では「懇親会」という言葉だけで判断せず、自社が接待する側なのか、接待を受ける側なのかを確認することが大切です。
4.自社主催の懇親会なら旅費も交際費等になり得る
一方で、自社が懇親会や会食を主催する場合は結論が異なります。
自社が懇親会を主催する場合に支出する旅費等は、自社が行なう接待のための支出であるため、交際費等に該当すると整理されています。
つまり、同じ交通費やタクシー代でも、
取引先主催の懇親会へ参加するための費用
→ 接待を受けるための費用 → 交際費等に含めない
自社主催の懇親会で接待を行うための費用
→ 自社が接待を行なう費用 → 交際費等に該当し得る
という違いがあります。
5.手土産代は交際費等になる
では、取引先主催の懇親会に参加するときに、自社が手土産を持参した場合はどうなるのでしょうか。
旅費等は接待を受けるための費用として交際費等から除外できる一方、手土産の購入費用は自社が行なう「贈答」に当たるため、交際費等として整理するとされています。
ここは非常に重要です。同じ懇親会に関連して発生した費用でも、
会場までの旅費
手土産代
では、税務上の性格が異なります。
旅費は「接待を受けるための費用」ですが、手土産は自社が相手方へ贈るものです。そのため、手土産代は自社による贈答として、交際費等に該当する可能性が高いと考えます。
6.接待と贈答は分けて考える
「贈答」という行為は、交際費等の範囲において接待とは区分して整理されると説明されています。つまり、取引先主催の懇親会であっても、手土産を渡す行為自体は自社の行為です。「接待を受けに行ったついでだから、手土産代も交際費等ではない」と考えるのは危険です。
実務上は、同じ精算書に記載されていても、旅費と手土産代は分けて処理することが望ましいでしょう。
7.少人数の会食では「誰が飲食代を負担したか」が目安
取引先との会食では、明確にどちらが主催者か決まっていないこともあります。
特に少人数の会食では、招待・被招待の関係がはっきりせず、当日どちらかが飲食代を支払うケースも多いでしょう。
このような場合、実際に飲食代を負担した側が接待行為を行なったものとして考えられています。つまり、飲食代を支払った側は、原則として相手方を接待した側と考えます。そのため、その飲食代だけでなく、飲食の前後に生じたタクシー代なども、接待のための費用として交際費等に含めるべき場面があります。
8.飲食代を払わなかった側のタクシー代はどうなるか
一方で、飲食代を負担していない側が、自社の参加者のタクシー代などを負担した場合はどうでしょうか。
飲食代を支払わなかった側が負担したタクシー代などは、「接待を受けるための費用」として交際費等から除外することが可能と整理されています。
つまり、同じ会食に関するタクシー代でも、飲食代を負担した側のタクシー代と、飲食代を負担していない側のタクシー代では、税務上の位置づけが変わり得るということです。
9.実務では目的確認が欠かせない
この取扱いは理屈としては明確ですが、日々の経費精算では手間がかかります。タクシーに乗車した経緯などを明らかにする必要があるため、実務上は負担があるとされています。
そのため、会社としては、経費精算時に少なくとも次のような情報を確認できるようにしておくと安心です。
どの取引先との会合か
誰が主催した会合か
飲食代は誰が負担したか
自社は接待する側か、受ける側か
手土産や贈答品が含まれていないか
こうした情報がないと、会計処理上も税務申告上も、交際費等の判定が曖昧になりやすくなります。
10.形式基準を設けることも実務上は有効
日々の経費精算で旅費等の目的確認が負担になる場合、社内で一定の形式基準を設けて画一的な処理をすることも視野に入れるべきと考えられます。
たとえば、会社として、
取引先主催の招待状がある懇親会への参加旅費は旅費交通費
自社が飲食代を負担した会食関連費用は交際費
手土産・贈答品は原則交際費
会食前後のタクシー代は飲食代負担者を基準に判定
といったルールを定めておくと、経費精算の判断が安定します。
もちろん、形式基準は実態と大きく乖離しないように設計する必要がありますが、毎回個別判断で混乱するよりも、社内処理の統一性を保ちやすくなります。
11.接待飲食費50%損金算入特例との関係
交際費等の論点として、グループ通算制度を選択している場合には、通算親法人の資本金が100億円超であれば、通算子法人においても自社の資本金にかかわらず「接待飲食費の50%損金算入特例」が使えない点にも注意が必要です。
このように、交際費等に該当するかどうかは、単なる勘定科目の問題ではありません。
特例の適用可否や損金不算入額にも関係するため、交際費等から除外できるものを正しく整理することは、法人税申告上も大切です。
12.実務でよくある誤解
このテーマでは、次のような誤解が起こりやすいです。
① 懇親会に関係する費用はすべて交際費等
これは誤りです。取引先が主催する懇親会に出席するための旅費は「接待を受けるための費用」であり、交際費等に含める必要はないとされています。
② 接待を受けに行く際の手土産代も交際費等ではない
これも誤りです。手土産は自社が行なう贈答であるため、旅費とは分けて交際費等として整理する必要があります。
③ 少人数の会食では主催者を考えなくてよい
これも危険です。主催が明確でない場合、実際に飲食代を負担した側が接待行為を行なったものとして捉えるとされています。
13.会社が確認しておきたい実務ポイント
接待関連費用を処理する際は、次の点を確認しておくと安心です。
自社が接待する側か、接待を受ける側か
懇親会や会食の主催者は誰か
飲食代を負担したのは誰か
旅費・タクシー代・手土産代を分けているか
交際費等に含める費用と除外できる費用の社内基準があるか
グループ通算制度や資本金規模による接待飲食費特例の適用制限を確認しているか
まとめ
取引先が主催する懇親会に自社の役員や従業員が出席するための旅費は、「接待を受けるための費用」であり、自社が接待を行なうための支出ではありません。そのため、交際費等に含める必要はないと整理されています。
一方で、同じ懇親会に関連する費用であっても、手土産代は自社が行なう「贈答」であるため、交際費等として処理する必要があります。また、少人数の会食などで主催者が明確でない場合には、実際に飲食代を負担した側が接待行為を行ったものとして判断します。
交際費等は損金算入制限や特例の適用可否に関わる重要な項目です。だからこそ、「懇親会に関係する費用」かどうかではなく、「自社が接待・贈答を行なった費用なのか、接待を受けるための費用なのか」という視点で整理することが大切です。




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