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税制改正)同族会社スキームを封じる社債利子課税の見直し

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 2 日前
  • 読了時間: 3分

おはようございます!代表の安田です。


令和8年度税制改正では、同族会社の役員・株主が受け取る社債利子等に対する課税の適正化が打ち出されました。

これまでの改正で、

  • 同族会社が直接発行する社債

  • 同族会社との間に法人を介在させた一部のケース

については、すでに総合課税(最高税率55%超)へ見直されていました。

しかし、なお残っていた「第三者法人を使った回避的なスキーム」を是正するのが、今回の改正の趣旨です。


1.改正の背景:形式ではなく「実質」で課税

従来の制度では、同族会社が直接社債を発行して利子を支払う場合は総合課税とされていましたが、

  • 第三者の法人(特定法人)を経由する

  • 同族会社同士で社債を発行し合う(いわゆる「たすき掛け」)

といったケースでは、形式上は第三者からの利子として源泉分離課税(20.315%)が適用されていました。


今回の改正は、こうした取扱いを見直し、「実質的に同族会社から受け取っているかどうか」で課税関係を判断する方向へ転換するものです。


2.改正のポイント①ー「特定法人」発行社債でも総合課税に

次のような場合、同族会社以外の法人(特定法人)が発行した社債であっても、その利子は総合課税の対象となります。

  • 同族会社の役員・株主が利子を受け取っている

  • 契約内容や保証関係等からみて、実質的に同族会社から支払を受けていると認められる場合

例えば、

  • 特定法人が発行した社債について、同族会社が債務保証を行っている

  • デフォルト時に、同族会社の社債が移転するなど、同族会社側が実質的なリスクを負っている

といったケースが想定されます。


3.改正のポイント②ー社債利子だけでなく「償還金」も対象に

今回の改正では、社債利子だけでなく、社債の償還金についても総合課税の対象とされます。これは、

  • 利子だけを総合課税にしても

  • 元本の償還で経済的利益を得られる

といった形での回避を防ぐための措置です。

 → 社債取引全体を通じて、課税の一貫性を確保する改正といえます。


4.具体的に想定される対象スキーム

改正により、次のようなスキームは総合課税(最高55%超)となる見込みです。

  • 第三者法人を介在させて、同族会社の役員等が利子を受け取るケース

  • 複数の同族会社の株主が、相互に相手方の同族会社(特定法人)から利子を受け取る「たすき掛け」型のケース

いずれも、形式は異なっても、実質的に同族会社からの利益移転と認められるかが判断基準となります。


5.適用時期

この改正は、

  • 2026年(令和8年)4月1日以後に支払を受けるべき社債の利子および償還金

から適用されます。

 → すでに社債を保有している場合でも、支払時期によって課税関係が変わる点に注意が必要です。


税理士の視点:実務で確認すべきポイント

今回の改正を踏まえ、次の点を早めに確認することが重要です。

  • 社債の発行体が「特定法人」に該当するか

  • 利子受領者が「同族会社の役員等」に該当するか

  • 債務保証や関連契約の内容

  • 「実質的に同族会社から支払を受けている」と評価されるリスク

  • 今後の資金調達・役員報酬設計への影響


特に、過去に節税目的で組成された社債スキームについては、改正後の取扱いを前提に見直しが必要となる可能性があります。


まとめ

今回の改正は、

  • 形式的な法人の介在

  • 同族会社間のスキーム

による課税回避を防ぎ、「実質課税」を徹底する方向性を明確にしたものです。

同族会社の役員・株主にとっては、社債を利用した資金運用・資金調達の税務リスクが一段と高まる改正といえます。


当事務所では、

  • 社債スキームの税務リスク検証

  • 役員・同族関係を踏まえた課税判定

  • 税制改正を見据えた資金調達・報酬設計の見直し

をサポートしています。


既存の社債や今後のスキーム設計について不安がある場合は、ぜひ一度ご相談ください。


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