税制改正)暗号資産は分離課税へ
- 安田 亮
- 1月5日
- 読了時間: 3分
おはようございます!代表の安田です。
令和8年度税制改正では、これまで総合課税(最大税率55%超)とされてきた暗号資産の課税について、一定の要件を満たす取引を対象に「分離課税(20.315%)」へ移行する方針が示されました。
株式等と比べて不利とされてきた暗号資産課税が見直される一方、対象となる暗号資産や取引方法には明確な線引きがあります。本記事では、制度の概要と実務上の注意点を整理します。
1.改正の背景:投資家保護と国際的な整合性
暗号資産投資の拡大に伴い、
株式等(分離課税20.315%)との不公平
高い累進税率による市場の歪み
が課題とされてきました。今回の改正は、投資家保護のための法整備を前提に、金融商品としての位置づけを明確にし、課税の中立性を高める狙いがあります。
2.改正のポイント①:分離課税の対象は「特定暗号資産」
分離課税の対象となるのは、暗号資産取引業(仮称)を行う者に対して譲渡等を行う「特定暗号資産」です。
税率
20.315%(所得税+復興特別所得税)
重要な点
すべての暗号資産が自動的に分離課税になるわけではありません
取引相手が登録された暗号資産取引業者であるかが重要です
3.改正のポイント②:損失の「3年間繰越控除」が可能に
特定暗号資産の譲渡等で生じた損失については、当年分で控除しきれない場合、一定の要件の下で翌年以後3年間の繰越控除が可能となります。
これは、株式等の分離課税と同様の考え方で、価格変動の大きい暗号資産において実務上大きな改善点といえます。④暗号資産の分離課税化
4.注意点:総合課税が残るケースも多い
一方、総合課税のまま残る暗号資産取引もあります。主な取扱いは次のとおりです。
譲渡所得の特別控除(50万円)は適用なし
長期保有(5年超)による1/2課税は適用なし
生じた損失は、他の総合課税所得との損益通算不可
また、
取引業者を通さない譲渡
私的な交換・決済に近い取引
などについては、課税関係の判定を慎重に行う必要があります。④暗号資産の分離課税化
5.適用時期:法改正の施行後から
分離課税は、金融商品取引法の改正法の施行日の属する年の翌年1月1日以後に行なう特定暗号資産の譲渡等から適用される予定です。
→ 施行日をまたぐ取引については、売却時期の判断が極めて重要になります。
税理士の視点:実務で押さえるべきポイント
✔ 保有する暗号資産が「特定暗号資産」に該当するか
✔ 取引相手(業者)の登録状況
✔ 含み益・含み損の状況を踏まえた処分時期の検討
✔ 繰越控除の適用要件(申告の継続等)の確認
✔ 他の所得との関係(総合課税が残る取引の整理)
暗号資産は取引形態が多様なため、一律の判断ができない点に注意が必要です。
まとめ
暗号資産の分離課税化は、
税率の明確化
損失繰越の導入
株式等との課税バランス改善
という点で、投資環境に大きな影響を与える改正です。
一方で、対象となる暗号資産・取引方法を誤ると、従来どおりの総合課税となる可能性があります。
当事務所では、
暗号資産取引の課税区分判定
売却時期を含めた税務シミュレーション
確定申告・損失繰越の実務対応
までサポートしています。
暗号資産の税務でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。



