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税制改正)貸付用不動産の評価方法が大きく変わります

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 13 分前
  • 読了時間: 4分

おはようございます!代表の安田です。


令和8年度税制改正では、相続税・贈与税の分野で特に注目されている「貸付用不動産の評価方法の見直し」が打ち出されました。


これは、近年問題視されてきた市場価格と通達評価額の大きな乖離を利用した節税スキームに対する、制度的な対応といえます。


本記事では、改正の背景と内容、実務への影響を解説します。


■改正の背景ーなぜ貸付用不動産が見直されるのか

現行の財産評価基本通達では、貸付用不動産について、

  • 貸家建付地

  • 貸家

  • 借家権割合

などを考慮した 通達評価 により、市場価格よりも大幅に低い評価額となるケースがあります。

この仕組みを利用し、

  • 相続・贈与直前に高額な貸付用不動産を取得

  • 多額の借入を行い

  • 相続税・贈与税を大きく圧縮する

といった事例が増加していました。

これまでは、通達総則6項(評価方法が著しく不適当な場合の個別評価)で対応してきましたが、

  • 納税者の予測可能性が低い

  • 課税の公平性に課題がある

という指摘もあり、評価方法そのものを見直す必要性が高まっていました。


■改正のポイント①ー相続・贈与前5年以内に取得した貸付用不動産は「取得価額ベース」で評価

改正後は、次の要件を満たす貸付用不動産について、従来の通達評価ではなく、通常の取引価額に相当する金額で評価します。

対象となる不動産

  • 相続・贈与の 課税時期前5年以内 に

  • 対価を伴う取引 により

    • 取得した

    • または新築した

  • 貸付用不動産(土地・家屋)

評価額は原則として取得価額を基に算定されます。


 → 「取得してすぐ相続・贈与」というケースでは、評価減の効果が大きく制限されることになります。


■改正のポイント② ー 一定の場合は「取得価額の80%評価」も可能

ただし、課税上の弊害がないと認められる場合には、

  • 取得価額を基に

  • 地価の変動等を考慮して算定した金額の

  • 80%相当額

で評価することも認められます。

一律に100%評価とするのではなく、一定の調整余地を残した制度設計となっています。


■土地と建物で取扱いが異なる点に注意

貸付用不動産が、

  • もともと所有していた土地

  • その上に新築した貸付用建物

というケースでは、取扱いが分かれます。

  • 土地:課税時期前5年超所有していれば、改正の対象外

  • 建物:課税時期前5年以内に新築していれば、改正の対象


 → 土地と建物で評価方法が異なるため、評価計算がより複雑になる可能性があります。


■経過措置にも注意が必要

次のようなケースは、今回の改正の対象外とされます。

  • 通達発遣日の5年前から所有している土地の上に

  • 通達発遣日前に新築した貸付用建物

  • または、通達発遣日時点で建築中の貸付用建物

 → いつ取得・新築したか、「通達発遣日」が極めて重要になります。


■適用時期

この見直しは、2027年(令和9年)1月1日以後に開始する相続・贈与から適用されます。

すでに貸付用不動産の取得を検討している方は、相続・贈与の時期との関係を必ず確認する必要があります。


■税理士の視点:実務で特に注意すべき点

今回の改正を踏まえると、次のような点が重要になります。

  • 相続・贈与直前の不動産取得による節税は、今後リスクが高い

  • 不動産取得の「時期」と「目的」を明確にする必要がある

  • 借入を前提とした相続対策は再検討が必要

  • 評価減を前提とした資産承継プランは見直しが不可欠

特に、不動産を活用した相続税対策を検討中の方は、改正内容を前提にしたシミュレーションが欠かせません。


■まとめ

令和8年度税制改正による貸付用不動産の評価方法の見直しは、

  • 課税の公平性を高める一方で

  • 従来型の相続税対策に大きな影響を与える

重要な改正です。


「これまで通りの評価が使える」と考えていると、想定外の相続税・贈与税が発生する可能性があります。


当事務所では、

  • 貸付用不動産の評価影響の事前検討

  • 相続・贈与時期を踏まえた対策シミュレーション

  • 不動産を含む総合的な相続税対策の見直し

を行なっています。


不動産を活用した相続対策について不安がある方は、ぜひ早めにご相談ください。


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