税制改正)青色申告特別控除が大きく見直されます
- 安田 亮
- 2 日前
- 読了時間: 3分
おはようございます!代表の安田です。
令和8年度税制改正では、個人事業者や不動産所得者にとって重要な青色申告特別控除の制度が大きく見直される予定です。
今回の改正は、単なる控除額の変更ではなく、「どのような記帳・申告を行なっているか」によって、控除額に大きな差が生じる制度設計となっています。
本記事では、改正の内容と実務上の注意点を解説します。
1.改正の背景
会計ソフトの普及や e-Tax 利用率の上昇を背景に、税務行政では、
正確な記帳
電子申告
電子帳簿保存
を一体的に進める方針が強まっています。
今回の青色申告特別控除の見直しも、「デジタル時代にふさわしい申告方法を選択した人を優遇する」という考え方に基づくものです。
2.正規の簿記による記帳をしている場合の改正内容
①e-Taxで申告している場合(従来どおり)
正規の簿記の原則に従って記帳し、
貸借対照表・損益計算書を作成
e-Taxにより期限内に申告
している場合の控除額は、65万円のまま変更ありません。
②優良な電子帳簿保存等を行なっている場合は「75万円」へ引上げ
さらに、次のいずれかを満たす場合には、控除額が65万円 → 75万円へ引き上げられます。
仕訳帳・総勘定元帳を電子帳簿保存法の要件を満たして電磁的に保存している(いわゆる優良な電子帳簿)
請求書等の電子取引データを、会計ソフトと連携し、一定の要件を満たして保存している場合
→ 電子申告+電子帳簿保存まで対応している事業者が、最も優遇される仕組みです。
③書面申告の場合は大幅減額に注意
一方で、正規の簿記で記帳していても、
申告書等を書面で提出している場合
には、控除額が55万円 → 10万円へ大幅に引き下げられます。
これまで書面申告を続けてきた方は、実質的な増税となる可能性があります。
3.簡易な簿記による記帳の場合の見直し
簡易な簿記で記帳している場合についても、改正の影響は小さくありません。
改正後の取扱い(概要)
前々年分の事業所得・不動産所得の収入金額が1,000万円以下→ 控除額 10万円(変更なし)
前々年分の収入金額が1,000万円超→ 控除額 0円(控除なし)
→ 事業規模が大きいにもかかわらず簡易簿記のままの場合、青色申告特別控除が受けられなくなる点に注意が必要です。
4.適用時期
この見直しは、次の時期から適用される予定です。
2027年(令和9年)分以後の所得税
2028年(令和10年)分以後の個人住民税
今後1~2年のうちに、記帳方法や申告方法の見直しを進めることが重要となります。
5.税理士の視点:今から検討すべき対応策
今回の改正を踏まえると、個人事業者の方は次の点を検討すべきです。
✔ 正規の簿記による記帳へ切り替えるか
✔ 会計ソフトを導入し、e-Tax申告に対応するか
✔ 電子帳簿保存・電子取引データ保存に対応するか
✔ 書面申告を続ける場合の税負担増を許容できるか
特に、「これまで55万円控除を受けていたが、書面申告のまま」という方は、対応をしなければ大幅な控除減となる可能性があります。
まとめ
令和8年度税制改正による青色申告特別控除の見直しは、
電子申告・電子帳簿を強く後押しする一方
従来型の記帳・申告を続ける事業者には厳しい内容
となっています。
控除額の差は最大65万円(75万円と10万円の差)にも及び、事業所得者にとっては無視できない影響です。当事務所では、
青色申告特別控除の適用可否判定
会計ソフト導入・電子申告対応のサポート
電子帳簿保存法を踏まえた実務整理
まで一体的に支援しています。
「今のやり方で大丈夫か不安」という方は、ぜひ一度ご相談ください。




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