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第5回:補助金・助成金・資本性資金を活用して資金繰りの持続性を高める

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 7月25日
  • 読了時間: 3分

おはようございます!代表の安田です。

本日は資金繰りシリーズの最終回です。


ここまで4回にわたり、「資金繰りの見える化」「融資の活用」「売掛金の早期回収」「支出の見直し」といった、資金繰り改善の基礎と実践を解説してきました。最終回となる今回は、返済負担のない「補助金・助成金」、そして財務体質を改善する「資本性資金」など、公的・準公的な支援を活用して中長期的な資金繰りの安定を図る方法についてご紹介します。


補助金・助成金とは?返済不要の資金調達

補助金・助成金は、国・自治体・公的機関が中小企業の取り組みを支援するために交付する資金で、原則として返済不要です。事業に直接使える「実質的な自己資金強化策」として、活用しない手はありません。

主な補助金・助成金の種類と特徴
  1. 小規模事業者持続化補助金(商工会議所連携)

    • 販促費や設備費などに最大50万円〜200万円程度まで支援

    • 事業計画書の作成と提出が必要

  2. IT導入補助金

    • クラウド会計、販売管理、在庫管理などITツールの導入に活用可能

    • 最大450万円、補助率1/2または2/3(要件や年度によって異なる)

  3. 事業再構築補助金/ものづくり補助金

    • 新規事業展開や業態転換、大型設備投資などを支援

    • 補助額数百万円〜最大1億円超と高額支援も

  4. 雇用調整助成金/人材開発支援助成金など(厚労省)

    • 従業員への休業手当や研修費用などを支援

    • コロナ禍では多くの企業が利用


活用のための準備
  • 募集時期、条件、申請期限などが頻繁に変わるため、常に最新情報をチェックすること

  • 事業計画書の作成が必要なケースが多いため、専門家(税理士・認定支援機関など)との連携が効果的


資本性資金とは?借入でありながら資本と見なされる資金調達

資本性資金とは、通常の借入とは異なり、返済期限が非常に長く、一定の条件下で元本返済や利息支払が猶予されるため、自己資本とみなされる性質を持つ資金です。これにより、財務内容が強化され、他の金融機関からの借入審査にも好影響を与えることがあります。

代表的な制度:日本政策金融公庫の「挑戦支援資本強化特別貸付」
  • 最長20年返済・5年間据置(元本返済不要)も可能

  • 利息は利益連動制で、赤字の場合は無利息にできる制度もあり

  • バランスシート上で“資本的”に扱われる(金融機関からの評価が高まる)

こんな企業におすすめ
  • 設備投資や事業拡大を考えているが、自己資本が弱い

  • 通常融資では借入限度に達してしまう

  • 将来の資金調達力を高めておきたい


補助金・資本性資金を活用する際の注意点

  • 時間と労力がかかる:申請書類、計画書、審査対応などに一定の時間と負担が伴います

  • 資金の入金時期にタイムラグがある:補助金は事後精算が多く、資金が手元に届くのは半年~1年後ということも

  • 不正受給への注意:補助金・助成金の不正受給は返還義務や企業名公表など厳しい措置が取られます


まとめ:公的支援を使いこなす企業が生き残る

資金繰りの悩みは、単なる借入や売上の問題だけではなく、情報の収集力・制度の活用力・計画性といった「経営力」そのものに関わっています。返済不要・低利の公的支援制度を上手に使いこなすことで、企業のキャッシュ・フローは大きく改善し、外部からの信用も高まります。

経営者は、「困った時に調べる」のではなく、「平時から制度を学び、活用準備をしておく」姿勢が何より大切です。ぜひ信頼できる専門家とタッグを組み、自社に合った支援策を見極め、戦略的に活用してください。


5回にわたる連載は以上となります。資金繰りはすべての企業にとって永遠のテーマです。今回の連載が、みなさまの経営の一助となれば幸いです。

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