納税証明書が不要に?
- 安田 亮
- 3 日前
- 読了時間: 3分
おはようございます!代表の安田です。
国税庁は、企業の手続き負担を軽減するため、「納税情報の添付自動化」サービスを開始しています。
これにより、従来必要であった「納税証明書(その3の3)」の取得・提出を省略し、申請システム上で国税庁データベースから自動取得した「納税情報」を入札資格審査などの申請に直接添付できるようになりました。
手数料不要
事前準備不要
納税証明書の郵送・窓口取得が不要
といった大きなメリットがあり、企業の業務効率化が期待できます。
1.どんな手続きで使えるの?
2025年11月時点で利用できるのは次の2システムのみです。
① 建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)(国土交通省)
建設業許可申請や経営事項審査(経審)の電子申請で使用
② 政府電子調達システム(GEPS)(デジタル庁)
物品製造・販売等の統一資格審査申請で使用
両システムを利用した自動添付による申請は年間約1万件とのことです。
一方、納税証明書(書面・電子)の年間発行件数は 約160万件 のため、国税庁はさらなる利用拡大を目指しているとのことです。
2.「納税情報の自動添付」とはどういう仕組み?
申請者 → 申請システム → 国税庁(e-Tax/KSK) → 申請システム という自動連携の仕組みとなっています。
ポイントは次のとおり:
✔ 手数料0円(納税証明書は通常400円/370円)
✔ 申請時に自動取得・自動添付される
✔ e-TaxとKSKシステムがバックエンドで連携
✔ 納税証明書(その3の3)と同等の「未納税額なし」情報を返却
企業側は、申請期限を見据えて証明書を取得する必要がなくなるため、“証明書待ち”による業務遅延や人的負担の削減につながります。
3.従来の納税証明書請求はどうだった?
従来の請求フローは以下の通りです。
【従来の取得方法】
電子請求(電子署名あり) → 書面 or PDF取得
窓口請求(署名不要)
郵送請求(署名要)
手数料:400円(電子370円)
代理人請求には電子委任状、電子署名の添付など運用が煩雑であることが示されています。
4.注意点:最新納付情報が反映されない可能性あり
重要な注意点として、金融機関で納付した直後など、国税庁のデータベースに反映前のタイミングでは最新の納付情報が自動取得されないことがあるため、注意が必要です。
つまり、支払直後の申請は避けたほうが良いという実務上の留意点があります。
公認会計士・税理士の視点:企業として今どう対応すべきか?
納税証明書は、入札だけでなく銀行融資でも必要となるケースが多く、電子化による業務効率化の効果は大きいと考えられます。
企業側として以下を推奨します:
✔ ① 建設業・物品納入企業は自動添付の利用可否を確認
特にJCIP・GEPSは毎年の申請頻度が高いため、導入効果が大きい。
✔ ② 申請プロセスの見直し、社内マニュアル更新
証明書取得手続が不要となるため、申請フローの簡素化を検討。
✔ ③ 最新納付情報の反映タイミングに注意
納付直後の申請は避け、タイムラグを考慮。
✔ ④ 今後の対象拡大に備えて情報収集
国税庁は金融機関向け連携拡大にも意欲を示しているため、融資時の提出手続の簡素化も期待できる。
まとめ
“納税情報の添付自動化”は、企業がこれまで負担してきた納税証明書取得コスト(時間・手数料)を大幅に削減する仕組みです。
現時点では対象手続が限定されていますが、国税庁は連携拡大に積極姿勢を見せており、将来的には融資・行政手続全般で「納税証明書不要」の世界が広がる可能性があります。
当事務所では、
公的申請プロセスの効率化
電子申請導入支援
税務証明書の取得フロー改善
などの業務効率化支援も行なっています。
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