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適時開示の英文開示が急拡大|プライムは96.8%到達、実務で押さえる同時開示と翻訳体制

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 5 日前
  • 読了時間: 3分

おはようございます!代表の安田です。


東京証券取引所が公表した「英文開示実施状況調査集計レポート(2025年12月末時点)」によると、英文開示の実施率が大きく伸び、とりわけ適時開示の英文開示が急増しています。プライム市場では、英文開示義務化の影響が顕著で、英文開示の実施がほぼ定着した状況がうかがえます。


本日は、最新データのポイントと、上場企業(特にプライム)で実務的に重要となる「同時開示」「全文/抜粋」の選択、そして翻訳・開示体制の整え方を整理します。


1. 英文開示の実施率:全市場61.5%、プライムは99.8%に

調査による英文開示実施率(対象書類のいずれかを英文開示した会社の割合)は、全市場で61.5%、プライム上場会社に限ると99.8%に達しています(全市場の回答率は90.2%、プライムは全社回答とされています)。


2. 特に伸びたのは「適時開示」:プライムで96.8%(前年差+37.6pt)

英文開示実施率を資料別に見ると、プライム市場の適時開示は96.8%で、前年から+37.6ポイントと大幅増です。一方、スタンダード・グロースはどの開示書類でも前年比±1ポイント前後の変動にとどまり、全市場の伸びは主にプライムが牽引したと整理されています。


3. 「全文」英文化が主流に:プライムの適時開示は81.3%が全文英文

英文開示義務化では、英文開示の範囲を「一部・概要」でも要件を満たすとされていました。しかし実態として、プライム上場会社の適時開示では、81.3%が「全文」、**15.5%が「抜粋・一部」**の英文開示となっています。

決算短信でも、全文57.9%、抜粋・一部41.7%と、全文が過半を占めています。


4. 「抜粋・一部」英文化の弱点:定性情報・注記は英文化が進みにくい

決算短信を「抜粋・一部」で英文化しているプライム上場会社の内訳を見ると、

  • サマリー情報:98.6%

  • 財務諸表:80.1%に対して、

  • 定性情報:11.7%

  • 注記事項:13.1%

にとどまっています。


背景として、サマリーや財務諸表は支援システム等で比較的英文化しやすい一方、定性情報や注記は翻訳工数が重くなりやすい点が示唆されています。


5. 実務で最重要:「同時開示」対応が95%超

プライム上場会社では原則として日本語と同時の英文開示が求められます。調査では、同時開示の割合が、

  • 決算短信:96.4%(同日0.8%、翌日以降2.4%)

  • 適時開示:95.4%(同日0.4%、翌日以降0.9%)

と、95%超が同時開示できています。


また、招集通知(通知本文・参考書類)やIR説明会資料も「同時」開示が約6割とされています。で示されています。投資家対応を意識するなら、どの範囲まで英文化するか(最低限の定性、重要注記の優先翻訳など)を設計しておくと、情報ギャップを抑えやすくなります。


6. 外部ベンダー活用時の責任分界を明確に

翻訳会社・開示支援会社を活用する場合でも、最終的な開示責任は会社側にあります。そのため、用語集(グロッサリー)、過年度訳の管理、レビュー責任者、差分管理(日本語改訂があった時の反映)をルール化するのが現実的です。


まとめ:プライムの英文開示は「実施」から「運用品質」フェーズへ

東証の調査では、プライム上場会社で英文開示がほぼ定着し、特に適時開示の英文開示が大幅に増加しています。今後は、同時開示を継続しつつ、定性情報・注記も含めた英文化の運用品質(スピード×正確性×一貫性)をどう高めるかが、企業の課題になっていくでしょう。


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