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限定承認と「みなし譲渡課税」

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 3 時間前
  • 読了時間: 2分

おはようございます!代表の安田です。


相続が発生した際、相続人には 「単純承認」「限定承認」「相続放棄」 の3つの選択肢があります(民法915条1項)。このうち「限定承認」は、被相続人に多額の負債がある場合に有効な制度です。

本記事では、限定承認とあわせて発生する 「みなし譲渡所得課税」 のタイミングについて整理します。


限定承認とは?

限定承認とは、


  • 相続財産の範囲内でのみ債務を引き継ぐ制度

  • プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を差し引きし、それを超える部分は承継しない


という仕組みです(民法922条)。

たとえば、被相続人が借金を多く抱えていた場合でも、プラスの資産を限度として責任を負えばよく、それ以上の債務を個人で背負う必要がありません。特に、被相続人の債務額が不明確な場合などに利用されることが多い制度です。


みなし譲渡課税の発生時期

限定承認をすると、税制上は被相続人から相続人へ時価で財産を売却したとみなされます。

実務では「みなし譲渡所得がいつ発生するのか?」が議論になります。

所得税法59条1項では「相続(限定承認に係るものに限る)」があった場合に、みなし譲渡所得が生じると定めています。この条文の「事由が生じたとき」をどう解釈するかがポイントです。

  • 限定承認を申述した時

  • 官報で公告をした時

などと考える向きもありますが、実際にはそうではありません。


結論:みなし譲渡の発生時期は「相続開始時」 と解されています。


実務上の注意点

  • 限定承認を選択したからといって、課税時期が遅れるわけではない

  • 相続開始時にみなし譲渡が生じるため、所得税の申告にも留意が必要

  • 相続財産の目録作成、官報公告など手続きも煩雑であり、税務・法務の両面から専門家の関与が不可欠


まとめ

限定承認は相続人を債務超過から守る制度ですが、税務上は「相続開始時にみなし譲渡課税が生じる」点を見落としてはいけません。

相続の判断期限は原則3か月以内と短いため、状況に応じて 税理士・弁護士に早めの相談 をすることが肝要です。



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