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役員報酬の「自主返納」はOK?――定期同額給与との関係

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 6 日前
  • 読了時間: 2分

おはようございます!代表の安田です。


物価高やトランプ関税などの影響を受け、企業経営に大きな影響が出てきております。

経営層自らが報酬を返納し、会社の財務状況の立て直しに貢献するケースも考えられます。


ここで気になるのが、役員報酬の返納が税務上どう扱われるのか?という点です。特に「定期同額給与」の制度との関係を正しく理解しておくことが大切です。


■定期同額給与とは?その基本

「定期同額給与」とは、法人税法上、損金算入が認められる役員報酬の形の一つで、原則として1ヵ月以内の一定の間隔で、かつ金額が毎回同じである給与をいいます​。

もし期中に給与の金額を変更したい場合は、以下のいずれかの要件を満たす必要があります:

  1. 期首から3ヵ月以内に行われる定時改定

  2. 臨時的なやむを得ない事情による改定(臨時改定)

  3. 業績悪化による改定

これらに該当しない減額や増額は、損金算入が認められなくなってしまう可能性があるため、注意が必要です。


■返納という手段もある

上記のような正規の改定に該当しない場合でも、「返納」という選択肢があります。これは、いったん支給された役員報酬を、自主的に会社に戻すというものです。

この方法であれば、支給額自体に変更はないため、「定期同額給与」としての要件を維持することができます。すなわち、損金算入の要件を満たしつつ、実質的には経営支援としての報酬返上が可能となるわけです。


■ただし注意点も…

返納による調整には以下の点に留意する必要があります。

  • 源泉所得税や社会保険料は返納の有無にかかわらず課される

    報酬は一度「支給」された扱いになるため、給与としての税務処理は変わりません。

  • 返納額は会社側で「雑収入」として計上

    返納された金額は、法人側の会計処理上「収入」として取り扱います。

  • 返納の経緯や金額は文書で明確に残すことが望ましい

    後の税務調査などに備え、返納の趣旨や内容を明記した合意書や役員会議事録などがあると安心です。


■まとめ

業績悪化などを背景とした役員報酬の見直しは、慎重に行なう必要があります。制度上の定めを無視して変更すると、損金算入が認められなくなり、法人税の負担増につながるおそれもあります。

一方で、「返納」という手段を上手く活用すれば、制度を守りながら柔軟な対応が可能です。税務リスクを避けつつ、経営上の判断を反映させる手段として、覚えておいて損はありません。



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