フリーレント契約と貸手の法人税処理
- 安田 亮
- 2 日前
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おはようございます!代表の安田です。
今回は「フリーレント期間が定められた契約に係る貸手の法人税処理」についてご紹介します。令和7年度税制改正と新リース会計基準の適用により、借手側の処理に加え、貸手側の実務への影響も整理する必要が出てきています。
フリーレントとは?
フリーレントとは、賃貸借契約の初期において、一定期間の賃料を無償とする取引慣行をいいます。テナント誘致のために広く利用されますが、法人税上の収益認識をどう行うかが実務上の論点でした。
借手側の処理
令和7年度改正法人税基本通達(法基通12の5-3-2)により、借手は原則として
賃料総額を賃借期間で按分し、各事業年度に損金算入することとなりました(損金経理が前提)。
一方、損金経理を行なっていない場合は、賃料支払日の属する事業年度に損金算入も認められています。
貸手側の処理
貸手側については、明確な新規通達は設けられていません。しかし、新リース会計基準の適用を前提に、会計処理をそのまま法人税でも認める整理がなされています。
つまり、賃料総額をフリーレント期間を含めた契約期間で按分し、各事業年度に益金算入する方法が基本となります。
会計基準との関係
新リース会計基準の適用対象(上場企業等)→ 「契約期間における使用料総額を期間按分で収益計上」=法人税でも同様に益金算入
適用対象外企業(中小企業等)→ 基準に準じた会計処理を行う場合は同様に期間按分→ 基準に準じない場合は「受取日の属する事業年度に益金算入」する方法も可能
実務上の留意点
上場企業は原則「期間按分方式」で統一される
中小企業は、会計方針次第で「按分方式」と「受取日方式」を選択できる
借手と貸手で処理方法が異なる場合があるため、契約書の明確化・双方の認識の共有が重要
まとめ
フリーレントは不動産実務では一般的な取引ですが、法人税処理においては「収益・費用の認識時期」に大きく影響します。特に令和7年度以降は、新リース会計基準の適用有無によって処理が異なる点に注意が必要です。
当事務所では、不動産取引やリース契約を含む法人税の実務対応についてもサポートしております。お気軽にご相談ください。
