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IFRS任意適用企業と新リース会計基準

安田 亮

おはようございます!代表の安田です。


本記事では、新リース会計基準とIFRS任意適用企業のポイントを整理し、会計事務所の視点から実務的な留意点について解説します。


1.新リース会計基準の概要

新リース会計基準は、IFRS第16号と同様に単一の会計処理モデルを採用しています。これにより、すべてのリース取引を「使用権資産の取得」とみなし、以下のような会計処理を行います。

  • 貸借対照表(B/S)への計上:

    • 使用権資産として計上

    • リース負債として計上

  • 損益計算書(P/L)での処理:

    • 使用権資産に対する減価償却費の計上

    • リース負債に対する利息相当額の計上


このように、リースの分類(ファイナンスリース・オペレーティングリース)を問わず、借手は統一された処理を求められます。


2.IFRS任意適用企業における取扱い

新リース会計基準は、IFRS第16号を完全に取り入れるのではなく、主要な内容を適用しつつ、実務負担の軽減を考慮しています。特に、IFRS任意適用企業が個別財務諸表においてIFRS第16号の基準を使用した場合、基本的に修正が不要となることが基本方針として掲げられています。

このため、IFRS任意適用企業にとって、新基準への移行は比較的容易であると考えられます。ただし、次の点に留意が必要です。

  • セール・アンド・リースバック取引:

    • 米国会計基準(US GAAP)の考え方が導入されており、IFRSとは一部異なる会計処理となる。

  • 貸手側の会計処理:

    • 原則として従来の取扱いを変更しておらず、IFRSのモデルとは異なる部分がある。


3.連結財務諸表と個別財務諸表の相違

新リース会計基準では、連結財務諸表と個別財務諸表の重要性の判断が異なる点に留意する必要があります。

  • 連結財務諸表では重要性が低いと判断されるリース取引であっても、

  • 個別財務諸表では重要性が高いと判断されるケースがあり、新たな会計処理が必要になる可能性がある

特に、個別財務諸表での処理を検討する際は、重要性の評価を慎重に行う必要があります。


4.実務的な留意点

本基準を適用する企業や会計事務所にとって、以下の点が重要になります。

  • IFRS任意適用企業の会計処理の整合性個別財務諸表においてIFRS第16号と新基準の違いを理解し、必要に応じた調整を行なうことが求められる。

  • セール・アンド・リースバック取引の再評価新基準ではUS GAAPの考えが取り入れられているため、既存の取引の見直しが必要になる可能性がある。

  • 重要性判断の慎重な検討連結と個別で異なる判断がなされる可能性があるため、事前に重要性基準を明確に設定する。


まとめ

新リース会計基準の導入により、IFRS任意適用企業は個別財務諸表においても比較的スムーズに移行が可能となります。しかし、セール・アンド・リースバック取引や貸手の処理方法の違いなど、実務上の留意点が存在します。

会計事務所としては、クライアント企業の会計方針やリース取引の状況を精査し、新基準の適用による影響を適切に評価することが重要です。今後の適用に向けて、詳細なガイドラインの整備や実務研修を進めることを推奨します。



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