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JICPAが「一体書類」向け監査報告書ガイダンス案を公表|有報×事業報告等の一本化に備える監査実務の要点

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 6 時間前
  • 読了時間: 3分

おはようございます!代表の安田です。


日本公認会計士協会(JICPA)は、事業報告等と有価証券報告書の一体書類に含まれる財務諸表等に対する監査報告書について、監査基準報告書700の実務ガイダンス案(2026年版)を公表し、2026年3月17日まで意見募集を行なっています。


法制審議会では、有報と事業報告等の一体化に賛成意見が多数とされ、今後、上場会社が一体書類を作成する可能性が高まっている状況です。こうした流れを踏まえ、現行法制度の下での監査報告書の文例を改めて検討し、より実務的なガイダンスとして整理したものと位置づけられています。


1. 「一体書類」とは?なぜ監査報告書の整理が必要になるのか

一体書類とは、会社法の事業報告等と、金融商品取引法の有価証券報告書を、実務上一つのパッケージとして取りまとめる形態を指します(制度改正の方向性として議論が進行中)。


このとき問題になるのが、「どの財務諸表等に対して、どの監査報告書を、どの表現で付すのか」という点です。書類の見た目が一体化すると、利用者(投資家等)から見ても監査の対象範囲が分かりにくくなり得るため、監査報告書の文例・記載の考え方を実務的に整理しておく必要が高まります。


<ガイダンス案のポイント:現行法制度の下で「文例」を再整理>

本ガイダンス案は、有報と事業報告等の一体化議論が進む中、上場会社が一体書類を作成する可能性が高いと考えられるため、現行法制度における一体書類に対する監査報告書の文例を再検討し、より実務的に取りまとめたもの、とされています。


実務上は、制度が一本化方向へ進む過程で「先行的に一体書類的な運用」を行う会社も想定されるため、監査人・会社双方にとって、監査報告書の取り扱いの共通理解を持つことが重要になります。


3. 企業側の実務影響:監査対応・開示プロセスに“追加論点”が生まれる

一体書類の方向性が強まると、会社側(経理・開示・監査役等)には次のような影響が出やすくなります。


(1)開示書類間の整合性チェックがさらに重要に

有報と事業報告等をまとめて見せるほど、記載内容の食い違いは目立ちます。財務数値だけでなく、重要な会計方針、リスク情報、後発事象などの整合性管理が重要になります。


(2)監査スケジュールの設計が変わる可能性

書類の取りまとめ方が変わると、監査人側のレビュー順序や証跡の揃え方にも影響します。決算早期化・承認プロセス(取締役会等)も含め、全体の段取りを見直す必要が出る場合があります。


(3)監査役等/監査委員会の説明ポイントが増える

「監査の対象範囲」「一体書類のどこが監査対象か」を、社内外に説明できる状態にしておくと、対外対応(投資家・取引先)でも混乱が減ります。


4. 今からできる準備:一体書類を前提にした開示×監査の棚卸し

制度が確定する前でも、企業が先回りして整備できることがあります。

  • 有報・事業報告等の重複/差分の洗い出し(定性情報の整合も含む)

  • 財務諸表注記、後発事象、重要な見積りなどの横串管理

  • 「承認(取締役会等)→開示→監査」のプロセスの見直し

  • 監査人と、一体書類想定の監査コミュニケーション計画(いつ何を出すか)


まとめ:一体書類の普及を見据え、監査報告書の“実務標準”が整備されつつある

JICPAは、一体書類に含まれる財務諸表等に対する監査報告書について、実務ガイダンス案(2026年版)を公表し、意見募集を開始しました。有報と事業報告等の一体化が進む中、監査報告書の文例を現行制度の下で再整理し、実務的な指針を示す動きといえます。


企業側も、制度改正が本格化する前に、開示書類の整合性・監査対応・承認プロセスの棚卸しを行なっておくと、移行局面での負荷を下げやすくなります。


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