連結グループにおける「リースの識別」の進め方
- 安田 亮
- 2 日前
- 読了時間: 4分
おはようございます!代表の安田です。
新リース会計基準の適用に向けて、多くの企業で進められているのが「契約がリースを含むかどうかの識別(リース識別)」です。
リース識別は、オンバランスされる使用権資産・リース負債の金額に直結するため、会計上・監査上ともに極めて重要なプロセスと位置づけられています。
特に、連結決算を行なう企業では、「親会社・子会社を含めて、どのようにリース識別を進めるか」が大きな実務課題となっています。
1.新リース会計基準における「リース識別」の基本
新リース会計基準では、契約締結時に、その契約がリースを含むか否かを判断します。
判断の軸は、次の2点です。
① 特定された資産があるか
明示的に特定されている
または、暗黙的に特定されている
② その資産の使用を支配する権利が移転しているか
使用方法を決定する権利を有しているか
使用から得られる経済的利益のほぼすべてを享受しているか
これらを満たす場合、その契約は 「リースを含む契約」 と判定されます。
実務では、新リース会計基準の適用指針に示されているフローチャートに沿って判断することが基本となります。
2.なぜ「連結グループ」での対応が難しいのか
単体企業であっても、リース識別は契約内容の精査を伴うため負荷の高い作業です。
これが連結グループになると、さらに次のような課題が生じます。
子会社ごとに契約件数・契約内容が異なる
会計・契約管理の体制にばらつきがある
人的リソースが限られている子会社も多い
その結果、「すべての子会社で同一レベルの対応を行なうことが現実的でない」ケースも想定されます。
3.実務的な解決策:子会社ごとに対応レベルを変える
連結グループにおける実務的な対応として、子会社の重要性や体制に応じて役割分担を行なうという方法が考えられ、例えば、次のような整理が考えられます。
A社(重要子会社)
「特定された資産」の判定までを自社で実施
「使用の支配」の最終判断を親会社がサポート
B社(体制が整っている子会社)
リース識別を含め、すべて自社で完結
C社(小規模子会社)
親会社が契約内容を一括して確認・判定
このように、グループ全体で網羅的に識別できる体制を構築することが重要なポイントとなります。
4.監査対応の観点で重要なポイント
リース識別は、オンバランス金額に大きな影響を与えるため、監査上も重要な論点とされています。監査対応を見据えると、次の点が特に重要です。
リース識別の判断プロセスが明確であること
フローチャート等に基づき、判断が一貫していること
子会社間で対応が異なる場合でも、その理由が合理的に説明できること
網羅性(識別漏れがないか)をどのように担保しているか
「一部の子会社だけ簡易的に対応している」場合でも、なぜその対応で問題ないのか を説明できる体制が求められます。
公認会計士の視点:今から意識しておきたいこと
新リース会計基準対応では、「最終的な仕訳」よりも、その前段階である識別プロセスの設計が重要です。特に連結グループでは、
✔ 早い段階で親会社主導の方針を定める
✔ 子会社の実態を踏まえた現実的な役割分担を行う
✔ 判断基準・手順を文書化し、監査対応に備える
といった対応が、後工程の負担軽減につながります。
まとめ
新リース会計基準におけるリース識別は、「正確さ」と「網羅性」の両立が求められる重要な作業です。連結グループでは、
全社一律の対応にこだわらず
子会社の重要性・体制に応じて
親会社と子会社が連携して進める
という考え方が、実務上有効といえます。
当事務所では、
新リース会計基準導入支援
リース識別プロセスの設計・整理
連結決算・監査対応を見据えた実務アドバイス
などを行なっています。
新リース会計基準対応でお悩みの企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。




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