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TOB制度の見直しと「僅少買付け等」の新基準

  • 執筆者の写真: 安田 亮
    安田 亮
  • 8月11日
  • 読了時間: 2分

おはようございます!代表の安田です。


2024年5月の金融商品取引法(以下、金商法)等の改正により、TOB(公開買付け)制度の運用が大きく見直されました。この改正は、上場会社をはじめとする多くの企業にとって、株式の取得戦略や支配権の移動に直接影響を与える可能性があります。


今回は特に、2025年7月に公布された政府令で新たに設けられた「僅少買付け等」の除外規定に焦点を当て、実務上のポイントをわかりやすくご紹介します。


■ TOB義務化の閾値が「3分の1超」→「30%超」に引き下げ

従来、TOBが義務付けられるのは「株券等の所有割合が3分の1超」となる買付けでしたが、今回の改正によりこの閾値が「30%超」に引き下げられました。

加えて、市場内(立会内)取引による取得もTOB義務の対象となった点が実務上の大きな変更点です。


■ 「僅少買付け等」はTOB不要に──除外規定の内容とは?

TOB義務の拡大に伴い、負担の過大化を避けるために導入されたのが「僅少買付け等」の除外規定です。

▷ 適用要件(要約)

  • 買付者がすでに30%超の株券等を所有していること

  • 買付け等の直前6か月間に買付け等がないこと

  • 今回の買付けによる所有割合の増加が0.5%未満であること

この3つを満たせば、TOBを実施しなくても買付けが可能となります。


■ 実務上の注意点と解釈の変更

当初のパブリックコメント案では、「1年間での取得株式数-売却株式数」が1%未満であることが基準とされていました。

しかし、このままでは一度大量に売却した後の再取得もTOB不要とされかねず、支配権の移動を適切に捉えられないという問題点が指摘されました。

その結果、最終的には「所有割合」の増加に着目した定量基準へと修正された形です。


■ まとめ:どのような企業に影響があるか?

この改正は、次のような企業・関係者に特に影響を及ぼします:

  • 株式持分比率が30%を超える親会社や筆頭株主

  • M&Aや子会社化を進める上場企業グループ

  • 株式取得を伴うインセンティブ制度を導入する企業


今後は、TOB義務の有無を判断する際に「僅少買付け等」の除外要件を満たすか否かを慎重に見極める必要があります。



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